岩田 私は、その境目はどんどんなくなると思っています。「我々はプロフェッショナルだから特別だ」なんてまったく思っていませんし、プロ以上にすごい切り口をもった個人の方もたくさんいらっしゃいます。そういう力を自社プラットフォームのために活用するという点においては、任天堂は決して先頭を走っていませんし、むしろ世の中から遅れていると思っています。
一方でドワンゴさんはそういうところにおいて、すごく尖っていますよね。もちろん任天堂がやってきたことをドワンゴさんがリスペクトしてくれているからこそ、私たちもドワンゴさんという、自分たちができないことができる集団と連携することで、もっと面白いことができそうだと考えているんです。昨年以来の、「ニコニコ超会議」でのお付き合いは、こういう背景があります。
それからニンテンドーダイレクトというものが、海外より先に日本で世の中に広がった大きな理由のひとつに「ニコニコ動画」の存在があると思っているんです。「ニコニコ動画」では、自分が大真面目にしゃべっているところを、いじられたりからかわれたりするわけで、最初は私も正直なところかなり複雑な気持ちで見ていたんですけど、でもこれも含めて「伝えることがエンターテインメントに変わるとはこういうことか」と感じるようになり、そのうちに「こんなことをすれば面白がってもらえるのではないか」と茶目っ気をもって考えられるようになってきたんです。
私たちの世界では、お客様がつくるコンテンツのことを、ユーザー・ジェネレイティッド・コンテンツ(UGC)なんて呼ぶんですが、今後、プロとアマチュアの境目なんて、限りなく見えなくなる方向になっていくと思います。プロのゲーム作家ではないけれど、プロのようにたくさんの人に支持された結果、その経済的な見返りも得られる人がこれからどんどん生まれていくんじゃないでしょうか。
だからそういう人たちに場を提供しながらも、同時にあらゆる表現には喜ぶ人がいる一方で「傷つけられた」「許せない」という人たちも存在しますから、そこは運営の面でも努力しなければならないと思いますね。ただ境界はなくなると思いますし、私は今でもそこに明確な境界があるなんて思い上がってはいません。