おそらく、普通の仕事よりたくさん汗をかかないと、お客さんは驚いたり感動したりしてくれないでしょう。反面、自分がやったことで地球の裏側の人までニコニコしてくれる人たちがいるのを実感できるので、それがどれだけやりがいがあるか考えると、頑張っちゃうんですよ。「それを面白そうだと思う人だけが任天堂には向いている」と私は学生さんに説明会で直接言っています。給料袋だけが欲しい人が一人もいないとは言い切れませんが、それだけの人は少ないと思いますよ。
もっと言えば、任天堂の仕事はモノを作るだけじゃありません。開発に直接携わらない社員も、作ったものを伝えて、届けて、その後のフォローにも関わっているんです。何を作ってもお客様に伝わらなければ仕方ないですから。
さらに、今までにないものを作ると誤解されることは普通に起こるわけで、それを防いで、お客様のよい反応をどうしたら増幅してより多くのお客様に伝えられるかを、社員全員が考え続けていかなければならないですよね。それは広報担当者が事務的に、あるリリース発表文をどこへ持って行けばいいとかいうのとは、まったく違うことなんです。
そのプロセスに参加した結果、お客さんに熱狂的に楽しんでいただいたり、親子で一緒に楽しく遊ばれている光景を自分自身で目撃できたり、地球の裏側で「何の仕事をしているの?」と聞かれても、「ニンテンドーで働いている」と言うだけで理解してもらえたりするんですね。それがどれだけやりがいに繋がるかという点では全社員共通だと思うので、「もし効率よくいい思いがしたいならウチはいい職場じゃない」ということは、開発の人だけに言っているわけではありません。
――つまりどのセクションにいても、お客さんを楽しませたいと思わない人には任天堂はつらい職場だと。
岩田 はい。お客様が楽しんでくれることからエネルギーを得られない人にはつらい仕事だと思いますし、みんなが「お客様を楽しませたい」と思っている集団じゃないといけないと思っています。そうしないとお客さん本位の対応ができる会社にはならないですから。
~後編(5月2日公開予定)に続きます。