岩田 面白いと思ったのは、経営方針説明会の後に実施した、学生さん向けの会社説明会での反応です。毎年当社は東京と大阪で会社説明会を開催しているんですが、私は毎回出席して講演をしています。
そこで学生さんにお話ししているのは、任天堂がどういう歴史を持つ会社で、任天堂がやっているビデオゲームの産業の仕事が世間で普通と言われる仕事とどう違って、任天堂は今後は何をするつもりなのか、そして社員になる人たちにはこんなことを求めていますというような話です。
今年は、発表したばかりの「QOLを楽しく向上させる」という話もしました。そうしたら、学生さんのウケが私の想像以上にとてもよかったんです。そのときに学生さんに書いてもらった何千枚ものアンケートを私は毎年全て読むようにしているんですが、これが面白いんですよ。
アンケートに書ける内容は限られていますから、話した内容のどこに反応するかは人それぞれですけど、QOLに反応した人がけっこうな割合でいたんです。任天堂がこれからやっていくこととして、学生さんには魅力的に聞こえたということなんでしょうね。逆に我々自身がそういう風に感じられないとしたら、それは「今まで積み重ねてきたものがもたらす固定概念のために、フレッシュな社外のお客様視線で自社の活動を見る感覚が鈍っているのかもしれないな」と思いました。
効率よくいい思いがしたいなら
任天堂はいい職場じゃない
――任天堂に入社を希望する人で、もがき苦しんで本質を探究したい人ってどれくらいいるんでしょうね。社員が欲しいのは、会社を苦しみながら次世代化させて得られる何かよりも、手が届く高給と安定では?
岩田 任天堂に高給と安定だけを求めて入社志望する人がいないとは思いませんが、「もし効率よくいい思いがしたいだけならウチはいい職場じゃないよ」って会社説明会で私は言い放っています(笑)。「はっきり言って、大変だよ」って。