一方、1年間の中絶件数は公称で20数万人と言われています。保険適用外なので実際には2〜3倍近い堕胎があるのではないかと、NPO(非営利団体)法人などが言っています。変な話、これを禁止したら、産まざるを得ない人が出てくる。
中絶の厳格化と、ピルの自由化を同時に進めよ
もちろんこれは相当極端な話で、現実には難しいです。私が言いたいのは、それぐらい「えぐい」テーマにしないとだめだと言う事です。今は、まだ議論がきれいごとで終わっています。
でも即効性を求めるなら、20万人のうちもし半分が中絶できなければ、10万人が生まれてきますよね? そういう極端な議論もひっくるめた、本気の、包括的な議論が必要だと言いたいのです。
でもそういう真正面の議論は出来ない。自民党はずるくて、「中絶は女性の権利だ」と言って逃げていた。でも本来、女性の権利はちゃんと避妊できることで、中絶できることではない。問題をすり替えている。
中絶を厳格化するのと引き換えにピルの自由化をしたら、適正に子どもが生まれてくるでしょう。でもなぜかしていない。ピルが認可されるまでに数十年かかりました。バイアグラは1年ぐらいで認可されたのに(笑)。
少子化は、今ないものを作ること。保育園を作るなど「今いる人」向けの対策を施しても増えません。
―― しかし保育園がないとか、仕事と両立が大変とかで、産む前から怖気づいてしまう面もあります。そこで一部の企業では今、大量に辞められるリスクがあるので、子育て支援に取り組み始めていますね。
ファミリーフレンドリー(※)はもはや義務にする必要がありますね。
※従業員が、仕事と育児・介護などの家庭責任を両立させながら働くことができるよう様々な施策を実施すること
最初は大変かもしれないけれど、結果としていい人材を残すことで、生産性が上がればいい。米国の大手企業なんて当たり前で、いい人材のために託児施設なければ始まらないという考えです。特にIT(情報技術)系企業に多いです。
―― その意味では、企業内保育所も増え、5年前に比べれば日本の大企業も少しずつですが変わってきました。
そうですね。地方の中小企業でも共同組合形式などで、同じ地域の企業体がお金を出資し、そこで働いている人が使えるものにしたらいいのではないでしょうか。
働く女の人が、子どもが生まれ、子育てとの両立ができなくなって辞めると結局は失業保険をもらう。それだったら、雇用を維持してもらった方がいい。そのお金を集積させ、保育施設を10社で1カ所程度持つ。
支える人に報われるオプションを
現場レベルの意識改革も必要です。いざお腹が大きくなって休めるようになっても、現場では独身の女性に負担がかかり、軋轢が生まれる。それは上司や経営者の責任です。負担を引き受ける社員にはボーナスを与えるなど、何らかの手当てをしなければいけません。