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ウクライナの混迷が止まらない。いまや本格的な軍事紛争の恐れも漂い始めて…
ウクライナの混迷が止まらない。いまや本格的な軍事紛争の恐れも漂い始めている。
同国東部で親ロシア派勢力は地方政府や治安機関の施設占拠をさらに拡大している。重武装した一部が欧州安保協力機構の監視員らを人質にとるなど、行動も過激化する一方だ。
米国とロシア、欧州連合(EU)、ウクライナは、事態の打開をめざす行動について、先月に合意したばかりだった。だが、それは果たされないまま早くも崩壊した形だ。
その責任の多くは、ロシアにあるといわざるをえない。分離独立やロシア併合を求めて占拠している勢力に対し、ほとんど何の説得もしなかった。
「ロシア情報機関」の関与も疑われている。米国、EU、日本がロシアへの追加制裁に踏み切ったのは当然だ。
ロシアは、占拠をやめさせ、武装を解くよう影響力を行使すべきだ。ロシア自身も、ウクライナとの国境付近に展開している軍の大規模部隊をただちに引き揚げねばならない。
ロシア国防相は「侵略するつもりはない」としている。だが、クリミア半島でもそうした意向を繰り返したあげく、結局は併合したのだ。軍部隊の確実な撤収行動がないまま言葉だけを信用することはできない。
ウクライナ暫定政権は冷静な対応が求められる。合意の後、「反テロ作戦」を始めたが、東部の治安機関の多くが従わず、成果はあがらずにいる。
事態の収拾を武力だけで図ろうとすれば、逆効果を招く。暫定政権は自治権の拡大などへ向け、住民との対話を辛抱強く進めるべきだろう。
今月は政治的な日程が迫っている。親ロシア勢力は11日に東部の分離独立の是非などを問う住民投票をするといい、暫定政権は25日に大統領選挙を予定している。
激しく対立し合うままなら、大規模な衝突の事態が現実味を帯びる。国際社会は対応を急がねばならない。
ロシアは自国単独で一方的に平和維持部隊を導入する可能性を示している。だが、そうした行動は国際法上の根拠も明確でなく、むしろ事態を複雑にするだけだろう。
長期的な安定をめざすには、米、EU、ロシア、ウクライナの4者が合意し、国連安全保障理事会の承認を得た平和維持部隊を展開する方向が望ましい。
このまま危うい情勢を長引かせてはならない。4者は何度でも合意を作り直す覚悟で粘り強く交渉を続けねばならない。
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