日本船差し押さえ:過去に示談「リスクあるが…」海運3社
毎日新聞 2014年04月30日 20時38分
中国司法当局が商船三井が所有する船舶を一時差し押さえた問題について、国内海運大手3社の幹部が30日の2014年3月期決算会見の場でコメントを述べた。各社とも「中国ビジネスのリスク」に言及しつつも、日中間の経済関係の緊密さを重視し、海運業者として従来通りに事業展開を続けていく考えを強調した。
「突然の差し押さえは寝耳に水で、驚いた。しかし、中国の司法制度の下した決定だ。従わざるを得ない」。東京・霞が関の国土交通省で開いた商船三井の決算会見で、高橋静夫常務執行役員は淡々とした表情で差し押さえられた際の感想を述べた。中国・浙江省で停泊中の輸送船が差し押さえられた同社が支払ったとされる供託金は数十億円ともいわれるが、「正確な金額は公表できないが、業績への影響は軽微」(堀口英夫経理部長)と説明した。
また、商船三井は過去にも同様の問題があり、示談したケースがあったことを公表した。詳細は明らかにできないとしたうえで、高橋氏は「リスクは見極めるが、中国でのビジネスは展開していく」と語った。
川崎汽船の山内剛専務も同日の決算会見で「顧客、現地法人と情報をやり取りしながら対応していきたい。リスクを過度に考えると商売にならない」と話した。
日本郵船の宮本教子経営委員IRグループ長は中国での事業展開に変更はないとしつつも、「強引な解決方法。あしき前例にならなければいいが」と今後の影響に懸念をにじませた。【高橋昌紀/デジタル報道センター】