集団的自衛権:石破氏「将来的には多国間でも」米で講演
毎日新聞 2014年05月01日 10時37分(最終更新 05月01日 15時05分)
【ワシントン及川正也】訪米中の自民党の石破茂幹事長は4月30日、ワシントン市内で講演し、政府・与党内で検討中の集団的自衛権問題について、「集団的自衛権の行使を可能にすることはアジア太平洋地域の抑止力強化の観点から有益だ。将来的に多くの国と、このような関係を築くことができるかもしれない」と述べた。米豪ニュージーランドによる安全保障条約を例示し、同地域での将来的な集団防衛の枠組み構築に意欲を示した。
この条約は、1951年締結のアンザス(ANZUS)条約。3カ国の頭文字から命名された。1国でも武力攻撃を受けた場合、共同して防衛にあたる内容。米同時多発テロ後の米軍作戦に他の2カ国が部隊を派遣した。
石破氏は、集団的自衛権行使容認は、米国と同盟を結ぶ各国が協力し合う「ネットワーク型」の同盟を構築するという「米国の戦略」とも符合すると指摘。多国間の安全保障体制の具体例として「一つのモデルがアンザス条約だ」と述べた。ただ、「当面は必要最小限度の行使容認に向けて国民の理解を得たい」と強調した。
また、外国軍の侵攻に至らない武装集団による離島上陸など「グレーゾーン」への対応について「個別的自衛権の範囲内で、なお必要な法整備に力を尽くしたい」と指摘。「米海兵隊にならい、水陸両用の能力を持った部隊を編成したい」と述べ、離島防衛や奪還などを想定した機動部隊の創設を急ぐ意向を明らかにした。