改憲意見書:7県議会採択 自民党本部の要請受け

毎日新聞 2014年05月02日 11時36分(最終更新 05月02日 12時20分)

 国会に対し早期の憲法改正を求める内容の意見書を採択する動きが、地方議会に広がっている。動きは3月に本格化。千葉など7県議会で採択され、衆参両院議長に提出された。自民党本部の要請で議会の同党会派が主導し、憲法改正を地方から後押しする狙いがある。一方、採択を見送った議会も複数あり、地方レベルでも改憲の是非を巡るせめぎ合いが激しくなりそうだ。

 ◇東京、大阪、兵庫は見送り

 都道府県議会で採択したのは千葉のほか、石川▽熊本▽愛媛▽香川▽富山▽鹿児島。自民党本部は3月13日付の文書で、全国の党都道府県連の会長、幹事長に、県議会や市町村議会で意見書を採択するよう要請した。どの意見書も内容や表現はほぼ共通する。

 千葉県議会で同党が提案した「憲法改正の早期実現を求める意見書」は、国政与党の公明党のほか、民主党や共産党など5会派が反対したが、自民のほかみんなの党など計4会派が賛成し、3月19日に採択された。

 意見書は、「内外の情勢は劇的に変化を遂げ、東アジア情勢は一刻の猶予も許されない事態に直面し、大災害等への対応が求められている。国会は憲法審査会において憲法改正案を早期に作成し、国民投票を実現することを要望する」などとしている。

 一方、兵庫県議会は「意見書採択では全会一致が原則」としているため、採択を見送った。代わりに、県民から議会宛てに出された「国会への意見書の提出を求める請願」を賛成多数で採択した。

 同様の原則を持つ大阪府議会では、「大阪維新の会」が3月3日の政務調査委員会で、自民と同じ趣旨の改憲を求める意見書採択を提案。自民党は文言を一部修正するよう要求して受け入れる意向だったが、民主が反対の姿勢を示すなど全会一致の見通しが立たず、大阪維新は同5日に提案を取り下げた。

 東京都議会にも全会一致の原則があり、意見書は提案されなかった。一方、石川県議会では、自民党本部から文書で要請される前の2月に先行採択した。

 地方議会の意見書に法的拘束力はないが、自民党本部の担当職員は「憲法改正には国民運動が必要で、地方から機運を高めることが狙い」と説明している。【遠藤孝康、岡崎大輔、島田信幸】

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