ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は1日、昨年撤廃した徴兵制を復活させる大統領令に署名した。東部で親ロシア派武装勢力の庁舎占拠が拡大しているため、ロシアの軍事介入に備えるための措置。ウクライナのメディアが伝えた。

 トゥルチノフ氏は声明で、徴兵制復活の理由について「東部ドネツク、ルガンスク両州で親ロシア派による政府庁舎への攻撃や占拠がエスカレートしており、こうした政治的、社会的な状況がロシアの介入を招く恐れがある」とした。

 ウクライナでは昨秋、ヤヌコビッチ前政権が徴兵制廃止を決めたばかりだった。復活後の最初の徴兵は5~7月に実施される。

 ロシア軍は、ウクライナとの国境付近で大規模な軍事演習を続けている。トゥルチノフ氏は4月30日の閣議で、「ロシア軍がウクライナ領内で破壊工作を準備しているとの情報がある」と指摘。ウクライナ軍に「戦闘警戒態勢」を命じたことを明らかにしていた。(キエフ=玉川透)