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世迷言

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☆★☆★2014年05月02日付

 一時的に避難した場所だが、「住めば都」となるのはやむを得ないのかもしれない。東京都が大震災後都内に避難した世帯にアンケートしたところ、地元に帰りたいと答えたのはわずか2割だった。気がついたら「古里は遠きにありて思うもの」となるのか?▼震災直後外部に避難した際は「復興するまで」「住まいが決まるまで」「仕事が見つかるまで」等々の期限を設けてUターンを決めていたとしても、その復興が思い通りに進まない、住まいにも仕事にもメドがつかないなどの理由が心境を変化させるのだろう▼本県内でも内陸部に移り住んだ世帯へのアンケート結果では、時間と共に「帰心」が薄れていく傾向が顕著に現れ、北上市への移住組では7割が残留希望と東京都での調査とほぼ同様の結果が出ている。戻りたくても戻れない事情とは別に、地価や物価、便利さなど古里にはない魅力を発見する場合もあるようだ▼海のないところには住む気も起きず、まして「岩手の湘南」の良さを満喫している身には、新天地の魅力に抗えずこうして「離郷」していく動きは残念に思うのだが、しかし引き止めるほどの魅力ありやとなると、現実は厳しさだらけなのはいかんともしがたい▼こうした動きは気仙地区にとって確実に人口減となり、それでなくとも過疎化をたどっている現状に追い討ちをかける結果となる。それは中央と地方の関係同様、本県においても内陸と沿岸の格差拡大云々などと言う前に仲間が減っていく悲哀を痛感させられてならない。

☆★☆★2014年05月01日付

 どうやら対話を求めてドアをオープンにしているのは中国側で、これに対し日本政府は頑なに関係修復を拒んでいる。と、読み解ける記事を見つけ、ここはどこの国だろうと疑問を抱いた▼あえて紙名は明かさないが某大手紙の筆者は、日中間の不仲は日本側に原因があると本気でそう信じているらしい。来日の折、尖閣の安保適用を表明したオバマ米大統領だが、その実は中国との相互依存を重視し、世界にとって重要な国だから日本も早く胸襟を開いて関係修復の重い責任を果たせという筆致で現状を分析している▼だが、「日本だけ対中経済関係が冷え込んでいるのに安倍政権は事態を打開しようとはしていない」という筆者の事実認識がどこから生まれたのか、大いに理解に苦しむところだ。確かに表面的には政冷経冷に見える日中間だが、少なくとも経済は水面下で通底しているのは事実▼だから「日中関係の修復には、何より経済重視への戦略転換が求められる」という指摘は言わずもがなだが、そもそも「偏狭なナショナリズムを抑え日中関係を修復しない限り、東アジアの平和も繁栄もない」というご託宣は、視軸がどこにあるのか?▼いくら日本政府が秋波を送っても中国政府は門前払いどころか、次々と反日の矢を放ってくるのが現状である。まさに偏狭なナショナリズムに囚われているのがあちらであって、こちらがいくら歩み寄ってもまったく取り付く島もない相手など放って置けばいいだけの話。国にとっては経済より大事なものもあるのだ。

☆★☆★2014年04月30日付

 「空腹にまずいものなし」は至言で、あれが好きだ、あれが嫌いだというのを聞くと「からかず(文句、不平)語んな」と言いたくなるが、その前に本当の空腹に追い込んだらどうなるのだろうと試してみたくなる。健康もそうで、病気になって初めてその有難味を痛感する。実際、健康ほどの幸せがこの世にあろうか?▼昨日の続きになるが、世に色々な痛みがあるとすれば扁桃腺が腫れた痛みなどまだ我慢できる範囲に属するかもしれない。尿道結石で苦しんだという人の話を聞くと、それは耐えられないほどの苦しみで、結局モルヒネを打ってもらったという。しかしその度合いは異なっても、体のどこかに違和が生じたら辛い点では同じだろう▼腫れが引き通常の生活に戻ると、昨日までの「これからは自制しよう」といった殊勝な気持ちもスーッと引いてしまって晩酌の量も復旧する。被災からの復興もこれほどのスピード感が欲しいところだが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と家人から茶化されながら、元のモクアミに戻っている▼が、苦し紛れに様々な売薬を飲み続けたせいか胃をやられたらしく、昨日は腹痛に苦しむハメとなった。夜中に何度か起き、胃散やら六神丸やらのワンポイントリリーフに期待したが、天網恢々、自業自得の責めをまたも余儀なくされたのである▼ただ大いに勉強にはなった。色々な薬を試すと体は一種の緊急避難をすることが分かったのは収穫というものだろう。体質も変わるのかもしれない。ただこれ以上学びたくはない。

☆★☆★2014年04月29日付

 普通に生きることもこれで案外難しい?70も過ぎて本来なら踰えぬはずの矩を、うかつにも踰えたら罰が待ち受けていた。「おのおの方、ゆめゆめ油断めさるな」と警告したいその相手は目に見えぬ細菌たちである▼風邪で扁桃腺をやられたらしい話を先日書いた。日常の些事にすぎないが、実はその些事に重大な教訓が含まれていることをこっぴどく知らされたのである。「このぐらいなら」という過信と無精とが小石川療養所の門を叩くことをためらわせ、売薬だけでこの場を済ませようと考えたのが運の尽き▼まだ飯も酒も喉を通る間はよかったが、扁桃腺の腫れを感じた翌日の朝あたりからツバを飲み込むにも痛みを感じるようになったからさあ大変。痛み止めを買い、塗り薬を買い、のど飴を飲み、首に冷湿布を貼りと、考えられる範囲であらゆる自己治療を試みたが、事態は好転するどころか悪化するばかり▼とにかく眠れない。ごくりと喉を動かすたびに痛みが走るのだからこれは当然で、かくして3日間というもの、遅出、早退を繰り返し、そのたび周囲から「早く病院さ行がっせん」と忠告を受けるのだが、行きがかりというものがある。やせがまんして台風一過を待った▼だが、4日目ついに榊原伊織先生に膝を屈する結果となった。ルゴールを塗られ、点滴をされて療養所を辞す頃には嘘のように痛みが引いていた。「ああ何たる医学の進歩!」健康のありがたみを感じた瞬間でもあった。輸液が日本酒ならいいなと感じたのも好転の途次だったからか。

☆★☆★2014年04月27日付

 満開の桜と早めに泳ぎ出した鯉のぼりとのコラボ(競演)がのどかさを誘う中登校する児童、生徒たちを見ながら、この子らの将来のためにも誤った歴史観を絶対に広げてはならないと思った▼日米韓3国同盟の強化のため日韓両国を訪れたオバマ米大統領に対して、韓国の朴大統領がまさか今回ばかりは「告げ口外交」も遠慮するだろうとみられていたが、それは日本の情緒的甘い観測だった。なんのなんの朴大統領は北朝鮮の核もそっちのけで、慰安婦問題を重要課題と取り上げたらしい▼らしいというのは、両大統領が会見した翌日の新聞報道が先にこの問題についてふれていたからで、記事というのは内容の重要度に準ずるのが鉄則だから、北より慰安婦だったことは疑いあるまい。だが、オバマ大統領が慰安婦問題について「(元慰安婦の)主張は聴くに値し、尊重されるべきだ」と述べ、日本側に暗に行動を促したというのは聞き捨てなるまい▼朝鮮人女性を強制連行して日本軍の慰安婦にしたという「従軍慰安婦問題」が、それを裏付ける何の史料も証拠もない妄説であることは日本の研究史家たちによって明らかにされているにもかかわらず、韓国側は河野談話を盾にとって事実としあまつさえ20万人を性奴隷にしたなどと誇大宣伝して恥じない▼事情もよくわきまえぬはずのオバマ大統領が、マボロシの歴史を肯定するような愚をなぜ犯すのか、客船事故で支持率ガタ落ちの朴大統領がなぜ執拗にも告げ口するのか、いずれ歴史が証明するはず。

☆★☆★2014年04月26日付

 国賓として来日したオバマ米大統領が、尖閣への安保適用を表明したのは日米同盟の隙間風を埋めるためか、単なるリップサービスなのか、それとも安倍首相の懇願に負けたのか真相は不明だが、同盟の維持にはやはりこのように旗幟を鮮明にする必要があろう▼経済大国としてでなく軍事大国として中国のプレゼンス(存在感)を否応なく感じるようになったためか、尖閣の取り扱い方について近年米国の国務長官クラスまでが微妙な発言をするようになった。オバマ大統領自身、かつて同国の一時期を支配したモンロー主義(相互不干渉)に先祖返りしたような消極的外交を繰り返しており、中国のご機嫌を損なうような対応は無理とも見られていたのである▼だが、日米関係何かと齟齬がみられるようになって、その不協和音が外交にも影響するようになった。だからこそ、大統領の訪日を前に、オバマ政権が日米間の政治協力、軍事同盟の見直しを決意したことが尖閣の安保適用につながったと見てもいいのではないか▼安倍首相の集団的自衛権の行使容認なども今後の同盟強化には不可欠という判断もなにがしか後押しにあずかったのだろう。中国は早速報道官が抗議の意を表明したが、今後日米間の離間のために議会のロビー活動や宣伝戦を強化するだろう。安閑としてはいられないのである▼米国人の対中国人観、対日本人観は大きく異なってきているという。「どちらを取るか」といえば、日本より中国という、近年のその変化も過少評価はできまい。

☆★☆★2014年04月25日付

 友人のA君と遊んでいたら不良に絡まれ、言い合っているうちにA君が殴られた。こういう場合加勢するか、割って入って円満にとりなすかが友人としての務めだが、相手の腕力におそれをなして自分は逃げてしまったらどうなるか?▼たとえは悪いとしても集団的自衛権というのはこういうものだろう。昔から「義を見てせざるは勇なきなり」という。友人の危機に際して何の手助けもできなかったら、これは友情の破綻もさりながら、一生悔いを残すことになろう。周囲からは嘲られ、物笑いの種になることはまちがいない▼しかし個別的自衛権は認めるが集団的自衛権は対象とならないというのが日本国憲法に基づく政府見解だった。内閣法制局が頑として憲法の拡大解釈を譲らず、時々の自民党政権もまた唯々諾々とその判断に従ってきたのである。紛争地へ派遣された自衛隊が、目の前で他国の軍隊が襲撃されても、それを助けることは出来ないという法解釈が世界の常識に反するのは自明▼軍事同盟は双務的なものである。自分は助けてもらうが、相手を助けることはできないという仕組みでは、まさかの時誰が助けてくれようか。そこで集団的自衛権の容認のため、緊迫する世界情勢を踏まえて政府が憲法改正という手順を踏まないことに自民党の領袖たちが待ったをかけている▼憲法改正が先だという言い分は、もっともらしいが、これまでその先送りをしてきたことは棚に上げて、解釈の変更は姑息だというあなた方の方がよっぽど姑息に見える。

☆★☆★2014年04月24日付

 どうも疲れを感じるなと思っていたら喉に軽い痛みを感じ、夕方寒気が襲ってきた。早退して晩酌もそこそこに寝たはいいが、痛みが次第に激しくなってきてまんじりともせぬまま朝を迎えた▼喉の痛みは扁桃腺が腫れた場合が代表的なもので、その痛みに耐えかねて病院で焼き切ってもらったという話をよく聞いたが、そこまではひどくならなかったのか、小欄は対症療法で痛みが引くのを待った。この体験の最後はいつごろのことだったろうか?ただ若い時だったということしか思い出せない▼「懐かしい痛みだわ」は松田聖子の「スイートメモリー」だが、この懐かしい痛みは願い下げだった。ごくりとツバを飲み込むと喉に痛みが走り、それがいやさになるべく口を開けたまま呼吸をするようにするのだが、人間の体はそう都合よくできているわけではない。そんなことで何度も起きて懐かしい「ルゴール」を塗るが、薬石効なし▼普段は親を粗大ゴミ扱いしている息子、娘もさすが心配して民間療法やら薬やらを動員してくれたが、何が効いたか昼頃には大分治まった。こういう場合、医療機関へ駆け込むのが常道だろうが、この化石世代は「自然治癒」を旨とする悪い癖がある。それもこれも軽度だったからで、呼吸困難になったら「懐かしい」などと言ってはおられまい▼帯状疱疹は疲れから来るという。扁桃腺も疲れが体内の抵抗力を弱めるために起きるのではないかと身をもって感じた。風邪は万病の元というが、まずは風邪に注意して頂きたい。

☆★☆★2014年04月23日付

 「海がないのになぜ海軍省があるのかね?」とソ連人に聞かれたハンガリー人が「お国にはなぜ文化省があるのですか?」と答えたというアネクドート(小話)を思い出した。中国にももちろん裁判所はあるが、法治によらず人治で判定するらしい▼商船三井が中国に貸し出していた貨物船が上海海事法院の判決によって差し押さえられたというニュースには、正直驚いた。戦時中、旧大同海運(現・商船三井)に貨物船2隻を貸した海運会社が、その賃貸料の未納を理由に東京で訴訟を起こしたが、時効として退けられた。なにせ戦時中のこと。しかも船は沈没している。契約不履行も時と場合によってやむを得まい▼しかしこの企業は諦めず中国国内で損害賠償を求めて提訴、上海海事法院が商船三井に約29億円の支払いを命令した。被告側が再審理を求めたものの、最高人民法院が申請を退け判決が確定したのが2010年のこと。それから4年後に判決に基づく差し押さえが行われたというのは、中国では時間も止まる、いや止められる?▼商船三井は判決後原告側と示談交渉を進めていたが、その間にこの実力行使が行われたという。寝耳に水だった政府は、法の不遡及の原則を盾に中国に遺憾の意を表明しているが、同国の新民法が時効の概念を覆し、これが原告を勝訴に導いたのだ▼こんな「蒸し返し」が今後続々と引き起こされる可能性は高い。反日で凝り固まった習体制の報復は時空を超えてPM2・5のように飛来して来るだろう。困った隣人だ。

☆★☆★2014年04月22日付

期待度が高い製品は、開発から実用までのスピードが速いのは当然としても、当初の見込みよりはさらに加速するのが常である。まだまだ高根の花である水素燃料自動車がガソリン車並みの価格となるのもあっという間ではなかろうか?▼ガソリンに代わって水素を燃料とし、空気中の酸素と化合して燃料電池で発電、その電気でモーターを動かす仕組みのこの車が「究極のエコカー」と呼ばれるのは、走行中の二酸化炭素排出量がゼロだからで、いいことずくめのようだが、それでも課題は少なくない▼使われる水素が自然にわき上がって来るようなら別だが、これは工業的に生産しなければならない。いくらエコカーと言っても、地球環境にはやさしいが財布にはやさしくないというのでは、普及はしない。だからこそガソリンなど化石燃料より安くすることが至上命令となっている▼車体の価格も問題で、これまでは億単位だったから、使用は試験研究機関などに限定されていたが、メーカーの努力が結実して本格的にデビューする頃には1千万円を切るようになる見込み。その登場だが、トヨタとホンダが2015年に開始する。まだまだ先と思っていたが、指呼の間に迫ったのは驚きだ▼ガソリンスタンドにあたる水素ステーションの整備も進み、夢の車を町中で見かけるようになるのももうじきである。水素の満タンにわずか3分、これで500〜700キロ走るというのだから、他のエコカーの普及を飛び越して水素の時代となれば、日本の独走となろう。


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