【モスクワ=共同】ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は1日、徴兵制を復活させる命令に署名した。東部で親ロシア派による公的施設占拠が続くほか、ロシアによって領土の一体性が侵害される脅威にも直面する中、軍事力を強化する狙い。
ロシアが一方的に編入したクリミア半島には約1万8千人のウクライナ将兵がいたが、その多くがロシア側に寝返った上、海軍本部や艦船、海兵隊の拠点も失った。ロシアとの関係が改善する兆しは見えず、ウクライナ軍は早急な立て直しを迫られている。
大統領府は徴兵制復活の目的について「ウクライナへの現実的、潜在的な脅威」への対処を挙げた。
タス通信によると、ウクライナでは昨年10月、大統領だったヤヌコビッチ氏が志願制に移行する大統領令に署名したばかり。その時点でウクライナ軍の兵力は約16万8千人。今後5年間で7万人規模に縮小することも検討していたが、対ロ関係の悪化を受け、方向転換を余儀なくされた。
トゥルチノフ氏は4月30日、親ロ派が攻勢を強める東部ドネツク、ルガンスク両州でウクライナ治安部隊や軍が「状況を統制できていない」と認めていた。
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