2014-05-01 21:50:34

自殺未遂の治療に健康保険は効くのか?

テーマ:希死念慮
一般に、交通事故などでは治療費は加害者が支払う。従って、当初、健康保険を利用したとしても、最終的にはその請求金額は加害者の自賠責や任意保険が支払うのが普通である。実際に、日赤などの救急外来の案内にはそういう内容のことが書かれている。

自殺未遂で昏睡状態などに陥った際、救急車で搬送されてICUなどで治療を受けた場合、明確に本人の責任なので、その治療費は健康保険からは支払われないのが原則である。これは最初に挙げた交通事故の話に似ている。

ところが、自殺未遂を起こした本人が精神疾患で加療している場合、その自殺未遂の行為は精神疾患の一連のものと見なされるので、健康保険から医療費は支払われるようである。少なくとも、実際にそうなので、僕はそのように理解している。

したがって、おそらくだが、全く精神科にかかったことがない人がガス自殺未遂を起こし、偶然救命されてその後遺障害のため莫大な医療費がかかった場合、健康保険からは一銭も出ないのではないかと思う。その理由だが、精神疾患のため自殺未遂したと証明できないからである。(実際にそのようなことが原因で家族が困り果て、殺人事件が起こっている)

しかし、精神科で加療中であれば健康保険は利用できる。この差は大きい。

海外では日本のように皆保険ではなく、医療保険は個人的に入るものなので、このような場合、どういう扱いになるのか詳しく知らない。少なくとも、日本人が海外旅行中、物価の高い国で救急医療を利用した場合、短い期間でも容易に医療費は1000万円を超える。(旅行保険のパンフでは、そのような例が多く報告されている。例えば、風邪薬を飲んでスティーブンス・ジョンソン症候群を生じ1300万円かかるなど)

海外の医療費請求例
1、フランス
敗血症で25日入院。1628万円

2、イタリア
ホテルで著しい頭痛。くも膜下出血と診断され36日間入院、手術も実施。2314万円。

3、オーストリア
ホテルで意識を失い、脳梗塞と診断。30日間の入院。1000万円。

4、スペイン
スペインで自転車にぶつかられ転倒。手首および大腿骨骨頭骨折。20日間入院手術。872万円。

5、ギリシャ
写真撮影のために、塀に登ったところ背中から転落。腰椎圧迫骨折、大腿骨骨折を負い、21日間の入院、手術。1753万円。

6、オランダ
空港で意識を失い脳出血と診断。19日間の入院、手術。1536万円。

7、トルコ
カッパドキアの土産物階段で転倒。頚椎骨折、脊損などあり、42日間入院・手術。4110万円。

8、フィンランド
航空機乗り継ぎの際に脳梗塞。28日間入院。1212万円。

9、イギリス
路上で暴漢に襲われ意識不明。頭部外傷のため41日間入院・手術。1124万円。

10、スロベニア
観光中に脳出血。現地病院からヘリコプターで設備がそろった病院に搬送後、30日間入院・手術。3706万円。

11、ロシア
妊娠中、子供がお腹に飛び乗り、胎盤剥離による流産。6日間の入院、手術。1800万円。

12、ハワイ
往路機内で意識障害。肺炎、脳梗塞と診断され、37日間入院。3843万円。

13、アメリカ
風邪様症状のため、受診。肺炎・不整脈と診断。21日間の入院。2500万円。

14、カナダ
バンクーバー発の列車の中で息苦しくなり、急性冠症候群と診断される。チャーター機でシアトルまで医療搬送。43日間入院。3700万円。

15、メキシコ
海に飛び込んだ際に頚椎骨折。11日間の入院手術。2000万円。

16、中国
観光中に意識消失。くも膜下出血、内頚動脈瘤と診断され、13日間の入院手術。2001万円。

17、シンガポール
バス車内で嘔吐、全身けいれん。脳梗塞と診断される。半身麻痺。36日間の入院・手術。1014万円。

18、インドネシア
ホテルで意識消失。脳出血。11日間の入院・手術。1207万円。

19、カンボジア
アンコールワット観光中に階段から転落。脳挫傷、外傷性硬膜下出血、頭がい骨、肩甲骨、ろっ骨骨折などあり、現地からチャーター機でバンコクまで医療搬送。38日間の入院、手術。1875万円。

20、オーストラリア
早朝に激しい頭痛、吐き気。くも膜下出血と診断。12日間の入院・手術。1251万円。

21、ニュージーランド
吐き気、下痢を訴え受診。肝膿瘍、敗血症、腎不全。30日間の入院・手術。2042万円。

22、グアム
飲酒後、激しい腹痛。膵炎、腹膜炎、腎不全と診断。26日間の入院・手術。2717万円。

一方、先進国ではない国では状況にもよるが、医療費は比較的安くなるが、日本人の一般的感覚ではかなり高い。

1、フィリピン
オートバイにはねられ意識不明。全身打撲、脳挫傷のため、144日入院。405万円。

2、エジプト
クルーズ中に呼吸困難。膿胸と診断、13日間入院。538万円。

3、ガーナ
発熱、下痢を訴え、マラリアと診断。9日間入院。349万円。

4、コロンビア
カリビアンクルーズ船内で転倒。腰椎圧迫骨折のため、13日間入院。432万円。

5、マレーシア
朝食後に心筋梗塞。7日間の入院・手術。514万円。

6、インド
発熱、頭痛を訴え、マラリアと診断。現地からニューデリーの病院までチャーター機で搬送後、10日間入院。384万円。

7、ニューカレドニア
ダイビング中に意識を失う。突発性心室細動と診断。10日間入院。740万円。

8、コスタリカ
クルーズ中に見当識障害。認知症と診断(?)。3日間入院。720万円。

9、チェコ
観光中に転倒。膝蓋骨骨折のため、5日間入院。346万円。

10、ハンガリー
階段を上る際に足元がふらつき仰向けに転倒。頭部打撲。脳挫傷のために、30日入院。760万円。

これを見ると、海外旅行には特に年配の人では、個人的に医療保険にかかっていた方が良いことがわかる。今の日本人の旅行者は相対的にお金を持っている年配の人が多いからである。また、個人的に旅行保険に入った場合、帰国後、日本国内でのリハビリの医療費も支払われることが多い。(契約内容によると思うが)。

話が戻るが、原則的に心神喪失で責任無能力の場合、刑事的にも民事的にも責任は問われない。従って、心神喪失の状況で殺人事件を起こした場合、その「殺人事件」の刑事責任が問われないと同時に、殺人事件で亡くなった人への金銭的補償(遺失利益)も支払い責任はない。(もちろん、加害者の家族が支払うのは自由)

このタイプの刑事事件では民事責任も理解しやすいが、実際には民事の部分が大きい場合、責任無能力かどうか鑑定されることの方が稀なので、本当に責任無能力なのかどうかがわからないと思う。

例えば、一時連続して起こった入浴剤を使った硫化水素ガス自殺では、隣人が巻き添えを喰って亡くなるという事件も起こっている。

この事件は自殺未遂に至るまで順序だった操作が必要なので、内容的には到底、心神喪失の状況で起こしたとは考えられない(参考)。このような例では、おそらくだが、本人も死亡しているものの、賠償責任は生じるのではないかと思われる。(本人に資産がなければ補償もできないが)

責任能力について、肯定的な状況が見える場合はまだ良いが、そうではない場合、どのように実際に扱われているのか詳しく知らない。民事と言えば、成年後見制度というものがあるが、このような事件の際に心神喪失かどうかを判定するものとは異なる。実質的にそう言っている内容のものもあるが、今回に挙げたような際には行われないものである。

日本の健康保険制度は、実にサービスが良いというか、いかなる理由であれ、健康を害した人に対し善意の立場で支払われている部分が相当にあるように僕は思っている。

なぜなら、自殺未遂でも国から医療費が支払われているのである。

日本人の一般的な感覚だと、たとえ精神疾患があったとしても、そのようなことは本人が面倒を見てほしいというのが本心だと思われる。日本人は基本的にそういう傾向があるからである。

これは日本では死刑制度を容認する人が非常に多いことに深く関係していると思われる。

参考
自分が自分を殺したら・・
想像力の低下と妄想性障害
天災、事故と生命保険
成年後見制度の鑑定書
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1 ■福祉全般について

欧州流の福祉制度というのは、概して、「現状」を問題として、「原因」を問わない傾向があります。

国民皆保険もそうです。
風邪に罹った人に対して、ふだんからウガイ手洗いを励行していないからだという理由で、保険適応外にはしません。
同様の理由で、精神疾患に起因する自殺未遂に対しても、保険適応するのは妥当な筋です。

福祉制度といえば、他にも公的扶助などもそうです。衣食住に困っているという「現状」が認められれば、その原因理由を追及することなく扶助が受けられます。

原因による差別を行なうと、結局、福祉財政切り詰めのための、要支援者に対する粗探しをする世の中になってしまいます。

最近の日本は、欧州流福祉国家像を否定する傾向が出始めましたね。米国流(?)自己責任論の広がりでしょうか。
公的扶助へのバッシングや、死刑制度の容認などに、それらが見て取れるようです。
そんなに自己責任を吹聴する人は、風邪に罹ったときに自費診療を受けて示しを付けて見てはどうかと言いたくなります。

2 ■迷惑をかけないように

私が自殺する時には
絶対に「未遂」にならないようにしっかり考えます。
逼迫している健康保険の資金を無駄にしたくないし。

そういう心構えですでに数年経ち
もう疲れてきていますが
まだ準備はできていません。
迷惑をかけないようにすることを第一に。

3 ■自死に ついて

壁]ω・)こんばんは
来月は 自死した 長兄の命日があります。
もちろん 精神状態 悪いです。

行政解剖の傷跡まで 覚えています。

再発の トドメは
元職場 駐車場での 硫化水素自殺、「事実の伝聞」です。
壁]ω・)
制度は わかりませんが、遺族の心情は わかります。

4 ■日本人の性格?

自殺未遂は、本人が甘えている。
と、捉えられるのは、日本人独特な考えなんですか~∑(゚Д゚)??
では、海外では、どの様な捉え方なのでしょうか(・・?)
気になります~(*´艸`)

知らなかったですー!確かに、あたしも自殺未遂したことあるけど、私の病気を理解してくれている人は、
「本当に辛かったんだね…」
と言ってくれましたが、
理解出来ていなかった、当時の彼は、
病室で、泣いてる私に、
「自業自得だ。」
と言いました。

それじゃぁ…自殺成功したら…??

どー思うんでしょうね(・・?)
ここで、ようやく、
「本当に辛かったんだね…」となっても、仕方ないのにね。。。

でも、正常な判断が出来ない上の行動とは言え、自殺を考えてしまう方が減ることを祈りますm(__)m

5 ■記事が面白いですね(´∀`)

覗きに来ました(^_^)
記事の書き方など参考になります!
よかったら覗きに来てくださいね☆

6 ■無題

英国では公立病院の入院費は無料だそうです。
その人の経済状態は関係ないようでした。
友人は選挙権は持っていないそうですが、永住権はあると思います。
持ち家があって結構裕福でも、無関係に公立病院はタダみたいです。

日本語の福祉というコトバは可哀想な人を助けてあげている』みたいに響きますが、公共サービスと言い換えたら意識も少しは変わるかな?

「自己責任」という言葉が大好きな首相がいましたね。ハケンで一生安賃金、使い捨て労働者が日本中に充満していても、それは自己責任なんでしょうか?
将来の生活保護受給者を増やすだけですよ。
制度が破綻していなければのハナシですけど。

無責任に米国の後追いをしたって、国民性が全く違いますからね。
チャリティーの精神を日本人が持っているようには思いません。

7 ■違います。

EU圏内に居住している人はそれぞれの国の健康保険で大部分がカバーされます。私の住んでいる英国ではNHSという国民健康保険があり医療費は無料です。自殺未遂で救急車で運ばれようがNHSの管理下で行われる医療行為は無料です。普通に収入のある人は薬代金だけ自己負担です。ただ、このNHSにはイロイロ問題が。。。。GPのアポをとるにも1週間後だったり、検査をする迄に時間がかかったり、NHSの管理下で施される治療法に制限があったりします。NHSの病院Drはインド人ばかりです。
なので、プライベート保険に加入していれば、私立病院でNHSよりもスムーズに快適に白人系のイケメンDrに治療が受けられるという利点があります。でも、この私立病院のイケメンDrを受診するにも、NHS管理下のGPを通す必要があります。
精神科に関して言えば、NHSだけだと、せいぜい精神科医に抗鬱薬を処方してもらい、デイケアで病識を学習する程度。セラピストとのカウンセリングはNHSではカバーされません。セラピストのカウンセリングはプライベート保険の枠ですが、種類によってはカバーしていないプライベート保険もあるみたいです。
以前住んでいたドイツは少し違いますが、精神科に関しての国の保険適用の枠は英国よりも寛大です。

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