グリーンランドの雪や氷に「異変」5月2日 4時08分
北極海に面したグリーンランドを覆う雪と氷に、地球温暖化が加速するおそれのある変化が現れているという研究がまとまりました。
気象庁気象研究所や国立極地研究所などで作る研究チームは、北極海に面したグリーンランドを覆う雪と氷が急激にとけていると指摘されていることから、その原因を詳しく調べました。
グリーンランドでは陸地を覆う氷の上に雪が積もっていますが、夏に雪がとけて氷がむき出しになった面積は、衛星画像などの解析から2000年以降の12年間で2.5倍に拡大しています。
このため雪の粒の大きさを調べたところ、気温の上昇によって粒が年々大きくなる傾向があり、おととし7月には2000年の同じ月の10倍程度まで大きくなったことが分かりました。
積もった雪は粒が大きいほど太陽の光を吸収する特徴があり、解析の結果、2000年の吸収率はおよそ15%だったのに対し、おととしは25%に上がったということです。
また氷の中に生息する微生物が太陽の光で繁殖しやすくなって表面が黒っぽくなる面積が増えていて、光を吸収しやすくなっているということです。
研究チームは、太陽の光を吸収する量が増えて氷がとけやすくなっているとして、地球温暖化が加速するおそれがあると指摘しています。
研究チームの気象研究所物理気象研究部の青木輝夫室長は「北極圏では予測を上回るスピードで氷がとけているのが現状だ。雪の粒の拡大や微生物の影響などを温暖化の予測の中に取り入れていく必要がある」と話しています。
北極海覆う氷の面積は30年余で半分
気象庁などによりますと、北極周辺では氷が著しく減少していて、7月に北極海を覆っている氷の面積を比較すると、2012年までの30年余りでおよそ半分に減っているということです。
またグリーンランドを覆う氷も2011年までの10年間で15%前後減少しているとみられています。
雪や氷は地面や海に比べて太陽の光を反射するため雪や氷が少なくなると光を吸収する量が増え、地球の温暖化が加速するおそれがあると言われています。
さらに氷がとけて極域の海水の塩分濃度が薄まると、浅いところにある海水が深いところに沈みこむ力が弱まって海の循環が変化し、世界各地の気候に影響する可能性も指摘されています。
このため温暖化の予測に氷の影響をどのように組み入れるかが課題となっています。
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