昨夜自分で書いたものを読み直して、
何を書いたんだか、さっぱりわからん。
まあ、さっぱり、ということはないけれど、
これじゃあ、後になって読み返しても
何を言いたかったのかわからない。
このままでは備忘にすらならない。
いくら、酔っ払っているとはいえ、少し反省したほうが
いいだろう。
前半の、Godley の紹介（？）の部分はいい。
しかし、その後、誰が何を言ったのか、
どっからどこまでがGodley で、どこからが
MMTの話なんだか、わけわからんじゃないか。
また、スリー・バランス・アプローチといっても、
なんだか内容的にも、わかるようなわからないような書き方になっている。
その辺を、少しだけ補足して、
後日の備忘の足しにしよう。
スリー・バランス・アプローチについて、
考え方は、単純だ。何もカレツキーの利潤方程式など持ち出さなくても
（これは、Wray自身が言及していたので、引き合いに出したのだが）、
通常のISバランス式で、十分だ。
( G - T ) + (I - S) + (X - N) = 0
入門レベルのマクロ経済学がわかっていれば、
言葉を補う必要もないだろうが、
あえて、解説しておくと、
G: 政府支出
T: 租税（＝政府貯蓄）
I: 民間実物投資
S: 民間実物貯蓄
X: 輸出（および、その他の対外経常収入）
N: 輸入（および、その他の対外経常支出）
これは、単純なマクロモデルであるが、
均衡関係などではなく、会計的な恒等関係だ、
つまり、いついかなる時でも
必然的に（誤差・脱漏がなければ）成立する関係である。
Gは、政府が裁量によってかなり決定できる、という意味で
モデルの外生変数であり、操作可能変数である。
Tは、法律が変えられない限り、ほぼ国内所得の従属変数である。
長期的にはもちろん法律も変化するが、ここでは単純に
国内所得の従属変数であることにしておく。
Iは、民間部門の実物投資であり、個別の企業・家計が
決定するという意味で、外生変数であり
モデルとしては操作可能な変数ではない。
Sは、国内所得から消費を差し引きしたものである。
一般に、入門レベルのマクロ経済学では
所得と消費（したがって、貯蓄）の間に
一定の関係（消費関数）を想定することで、
ISモデルがそのまま国内所得の決定式にもなる。
X、Nは、ここでは単純に、操作不可能な
外生変数としておく。実際には、MMTは為替ﾚｰﾄへの不介入を
主張しており、これによって、国内的な一種の「均衡」のようなものが達成できる、
としているのであるが、今回は割愛。
まあ、このISバランス式自体は
入門レベルのマクロ経済学の教科書のものと
違いがないのだが、
問題は、この関係はストックレベルでも成立する、
ということだ。
つまり、
��Lg + ��Lp + ��Lf = 0
��Lg: 政府部門債務残高純増（または、債券残高の純減少）
��Lp: 民間部門純債務残高増（または、債券残高の純減少）
��Lf: 海外部門純債務残高増（または、債券残高の純減少）
そうなると、政府部門が黒字であるためには
民間部門が赤字、すなわち、投資超過になっていることが
（海外部門が均衡している、と仮定すると）必要条件となってしまう。
まあ、新興国のような民間投資需要が旺盛な国であれば
そういうこともあるかもしれないし（戦後の日本など、
一時期、そうであったろう）、
産業が発展した国であっても
1年や2年なら、それでも大した問題には
ならないかもしれない。
ところが、まとまった額の政府債務を返済するためには
その返済を行っている間、民間部門が、それだけの赤字を
累積し続けなければならないことになるのである。
（ -��Lg = ��Lp )
つまり、海外部門の債務純額に変化がなければ、
政府債務の減少と等しい民間債務の純増が必要になるのである。
海外部門を省略して
(G - T) + (I - S) = 0
とした場合、政府部門が債務を減らす（あるいは債権を積み上げる）
ためには、一定の期間にわたり、G < T でなければならず、
かつ、その(T - G)の合計額が、その債務の減少額に
一致している必要がある。
当然のことながら
それと同じ期間、(I - S)がマイナスであり続けなければならず、
その合計額が政府部門の債務の減少額と等しくなっていなければならない。
その場合、もちろんI＞Sであり、その値が
条件を満たすのに十分であれば問題ない。
では、Iが、不十分だったら？
海外部門を想定すれば、海外部門が赤字（経常収支黒字）になって
その不足を補えばよいことになる。だが、
海外部門の赤字達成が十分な水準で見込めなければ、どうなるか。
Sがマイナスになるしかない。
つまり、民間部門、特に家計部門までが赤字を継続し、
債務を積み上げる（または債務を純額で減らす）ことによってしか、
この政府部門の債務を減額させることなど
出来はしないのである。
しかし、ごく少額・短期についてはともかく、
長期的にそのような関係が維持できるはずはない。
なぜなら、
家計部門が赤字を続ける、ということは
定義上、家計部門の支出が収入を上回り続ける、
ということだからである。
単純に考えて、そのようなことが
長期的に維持できるわけがない。
「サブプライムローン」が詐欺のような
やり方、と言われていた。なぜなら、
借金で購入した住宅の価格が、金利を上回るペースで
上昇しない限り、借り換えが不可能であり、
借り換えができなかった場合の償還のあては
もともとなかったからである。
だが、これは、詐欺というより、
こうしたマクロ的な構造を
直接、表現していたものだ。
実は、アメリカ政府が資金余剰であったのは
クリントン政権下の"Goldilocks"時代であって、
サブプライムローンの
増加時期とは、時期がずれているのだが、
こうしたサブプライムローンが登場したことによって
ITバブルの崩壊が、深刻な金融危機に陥ることを
避けることができた。その意味では
両者の間には
タイムラグがあるにもかかわらず、
密接な関係があるのである。
実際、合衆国では
建国以来、これまで、政府債務を大規模に減らした時期が
6回あった。そして6回とも、
深刻な経済的不況を引き起こしているのである。
こうした議論が
Godley によるストック＝フロー・アプローチあるいは
スリー・バランス・アプローチといわれるものの
概要である。（超が付くほどの概要だが。）
こうした考え方をベースに
Godleyは、サブプライムローン危機を「予言」したわけだが、
MMTの立場からは、これが次の一連の命題へと
つながるわけだ。すなわち、、
政府は常に、債務を発行し続けなければならない。
政府が極端に債務残高を減らすことは
深刻な危機を生み出すことになりかねない。
そして、主権通貨を発行している国の政府は
決して債務危機に陥ることはない
（ただし、極端なインフレを避け、一般の債券価格を
安定させるためには、
Jog Guarantee Program による貨幣流通残高の管理や
国債や金利維持勘定を利用してのインターバンクレートの管理が
必要になる）。
貨幣とは、民間部門で遊休している資源を雇用するために
政府が発行する負債であり、
国債（あるいは金利維持勘定）とは、民間部門に十分な
金利を生む金融資産が新たに生み出されない状態のとき、
金利が低下し、資産価格が低落することを防ぐため、
政府が金利を維持するために提供している資産なのだ、
と、言った一連の命題である。
このことは、日本にも
大きな示唆を与える。
もしも日本が、増税でも何でもいいから
本気で政府部門の累積債務を減らそうとすれば
当然のことながら、アメリカと同じことが必要になる。
つまり、民間部門の純債務の増加または
民間純債権の大幅な減少である。
民間部門が債務を積み上げれば、
家計部門の債務がたまり、これは深刻な
経済危機の火種になるだろう。しかし、
そうならなければ、政府が
国債を償還するのは無理であろう。
と、いうのは、民間部門が債権の減少で対応することになれば、
それは生産と雇用の急減を引き起こし、
結局、税収を大幅に引き下げることになるからである。
もっとも、この点に関して言うと
日本の場合、もしかしたら
それでうまくいってしまうのではないか、という気も
ないではない。
と、いうのは
これから高齢化の時代を迎えて
現在の家計の金融資産の大きな部分は
取り崩しされてしまうかもしれないからである。
過去の貯蓄（金融債権）を取り崩して
現在の消費に充てる、というのは
マクロ経済的な含意を言えば、
負債を発行して、所得を上回る消費を行うことと
違いはない。そして、
その取り崩しされるキャッシュフローが
どこからファイナンスされるのか、というと
政府部門の国債償還によって、
と、いう構造である。
これは、日本国の経済状態を
取り戻しがたい水準まで、沈滞させることになるだろう。
ただし、すでに人口も減少しており
高齢化もますます進むことを考えるなら、
むしろその方が適切だ、
日本は、他の国に先駆けて、
「超長期循環のソフトランディング」に
成功するのだ、
という考え方が出てきても、おかしくはないかもしれない。
まさに、「経済学とは
陰鬱な科学である」と、いうような感じの結論ですなあ。。。
何を書いたんだか、さっぱりわからん。
まあ、さっぱり、ということはないけれど、
これじゃあ、後になって読み返しても
何を言いたかったのかわからない。
このままでは備忘にすらならない。
いくら、酔っ払っているとはいえ、少し反省したほうが
いいだろう。
前半の、Godley の紹介（？）の部分はいい。
しかし、その後、誰が何を言ったのか、
どっからどこまでがGodley で、どこからが
MMTの話なんだか、わけわからんじゃないか。
また、スリー・バランス・アプローチといっても、
なんだか内容的にも、わかるようなわからないような書き方になっている。
その辺を、少しだけ補足して、
後日の備忘の足しにしよう。
スリー・バランス・アプローチについて、
考え方は、単純だ。何もカレツキーの利潤方程式など持ち出さなくても
（これは、Wray自身が言及していたので、引き合いに出したのだが）、
通常のISバランス式で、十分だ。
( G - T ) + (I - S) + (X - N) = 0
入門レベルのマクロ経済学がわかっていれば、
言葉を補う必要もないだろうが、
あえて、解説しておくと、
G: 政府支出
T: 租税（＝政府貯蓄）
I: 民間実物投資
S: 民間実物貯蓄
X: 輸出（および、その他の対外経常収入）
N: 輸入（および、その他の対外経常支出）
これは、単純なマクロモデルであるが、
均衡関係などではなく、会計的な恒等関係だ、
つまり、いついかなる時でも
必然的に（誤差・脱漏がなければ）成立する関係である。
Gは、政府が裁量によってかなり決定できる、という意味で
モデルの外生変数であり、操作可能変数である。
Tは、法律が変えられない限り、ほぼ国内所得の従属変数である。
長期的にはもちろん法律も変化するが、ここでは単純に
国内所得の従属変数であることにしておく。
Iは、民間部門の実物投資であり、個別の企業・家計が
決定するという意味で、外生変数であり
モデルとしては操作可能な変数ではない。
Sは、国内所得から消費を差し引きしたものである。
一般に、入門レベルのマクロ経済学では
所得と消費（したがって、貯蓄）の間に
一定の関係（消費関数）を想定することで、
ISモデルがそのまま国内所得の決定式にもなる。
X、Nは、ここでは単純に、操作不可能な
外生変数としておく。実際には、MMTは為替ﾚｰﾄへの不介入を
主張しており、これによって、国内的な一種の「均衡」のようなものが達成できる、
としているのであるが、今回は割愛。
まあ、このISバランス式自体は
入門レベルのマクロ経済学の教科書のものと
違いがないのだが、
問題は、この関係はストックレベルでも成立する、
ということだ。
つまり、
��Lg + ��Lp + ��Lf = 0
��Lg: 政府部門債務残高純増（または、債券残高の純減少）
��Lp: 民間部門純債務残高増（または、債券残高の純減少）
��Lf: 海外部門純債務残高増（または、債券残高の純減少）
そうなると、政府部門が黒字であるためには
民間部門が赤字、すなわち、投資超過になっていることが
（海外部門が均衡している、と仮定すると）必要条件となってしまう。
まあ、新興国のような民間投資需要が旺盛な国であれば
そういうこともあるかもしれないし（戦後の日本など、
一時期、そうであったろう）、
産業が発展した国であっても
1年や2年なら、それでも大した問題には
ならないかもしれない。
ところが、まとまった額の政府債務を返済するためには
その返済を行っている間、民間部門が、それだけの赤字を
累積し続けなければならないことになるのである。
（ -��Lg = ��Lp )
つまり、海外部門の債務純額に変化がなければ、
政府債務の減少と等しい民間債務の純増が必要になるのである。
海外部門を省略して
(G - T) + (I - S) = 0
とした場合、政府部門が債務を減らす（あるいは債権を積み上げる）
ためには、一定の期間にわたり、G < T でなければならず、
かつ、その(T - G)の合計額が、その債務の減少額に
一致している必要がある。
当然のことながら
それと同じ期間、(I - S)がマイナスであり続けなければならず、
その合計額が政府部門の債務の減少額と等しくなっていなければならない。
その場合、もちろんI＞Sであり、その値が
条件を満たすのに十分であれば問題ない。
では、Iが、不十分だったら？
海外部門を想定すれば、海外部門が赤字（経常収支黒字）になって
その不足を補えばよいことになる。だが、
海外部門の赤字達成が十分な水準で見込めなければ、どうなるか。
Sがマイナスになるしかない。
つまり、民間部門、特に家計部門までが赤字を継続し、
債務を積み上げる（または債務を純額で減らす）ことによってしか、
この政府部門の債務を減額させることなど
出来はしないのである。
しかし、ごく少額・短期についてはともかく、
長期的にそのような関係が維持できるはずはない。
なぜなら、
家計部門が赤字を続ける、ということは
定義上、家計部門の支出が収入を上回り続ける、
ということだからである。
単純に考えて、そのようなことが
長期的に維持できるわけがない。
「サブプライムローン」が詐欺のような
やり方、と言われていた。なぜなら、
借金で購入した住宅の価格が、金利を上回るペースで
上昇しない限り、借り換えが不可能であり、
借り換えができなかった場合の償還のあては
もともとなかったからである。
だが、これは、詐欺というより、
こうしたマクロ的な構造を
直接、表現していたものだ。
実は、アメリカ政府が資金余剰であったのは
クリントン政権下の"Goldilocks"時代であって、
サブプライムローンの
増加時期とは、時期がずれているのだが、
こうしたサブプライムローンが登場したことによって
ITバブルの崩壊が、深刻な金融危機に陥ることを
避けることができた。その意味では
両者の間には
タイムラグがあるにもかかわらず、
密接な関係があるのである。
実際、合衆国では
建国以来、これまで、政府債務を大規模に減らした時期が
6回あった。そして6回とも、
深刻な経済的不況を引き起こしているのである。
こうした議論が
Godley によるストック＝フロー・アプローチあるいは
スリー・バランス・アプローチといわれるものの
概要である。（超が付くほどの概要だが。）
こうした考え方をベースに
Godleyは、サブプライムローン危機を「予言」したわけだが、
MMTの立場からは、これが次の一連の命題へと
つながるわけだ。すなわち、、
政府は常に、債務を発行し続けなければならない。
政府が極端に債務残高を減らすことは
深刻な危機を生み出すことになりかねない。
そして、主権通貨を発行している国の政府は
決して債務危機に陥ることはない
（ただし、極端なインフレを避け、一般の債券価格を
安定させるためには、
Jog Guarantee Program による貨幣流通残高の管理や
国債や金利維持勘定を利用してのインターバンクレートの管理が
必要になる）。
貨幣とは、民間部門で遊休している資源を雇用するために
政府が発行する負債であり、
国債（あるいは金利維持勘定）とは、民間部門に十分な
金利を生む金融資産が新たに生み出されない状態のとき、
金利が低下し、資産価格が低落することを防ぐため、
政府が金利を維持するために提供している資産なのだ、
と、言った一連の命題である。
このことは、日本にも
大きな示唆を与える。
もしも日本が、増税でも何でもいいから
本気で政府部門の累積債務を減らそうとすれば
当然のことながら、アメリカと同じことが必要になる。
つまり、民間部門の純債務の増加または
民間純債権の大幅な減少である。
民間部門が債務を積み上げれば、
家計部門の債務がたまり、これは深刻な
経済危機の火種になるだろう。しかし、
そうならなければ、政府が
国債を償還するのは無理であろう。
と、いうのは、民間部門が債権の減少で対応することになれば、
それは生産と雇用の急減を引き起こし、
結局、税収を大幅に引き下げることになるからである。
もっとも、この点に関して言うと
日本の場合、もしかしたら
それでうまくいってしまうのではないか、という気も
ないではない。
と、いうのは
これから高齢化の時代を迎えて
現在の家計の金融資産の大きな部分は
取り崩しされてしまうかもしれないからである。
過去の貯蓄（金融債権）を取り崩して
現在の消費に充てる、というのは
マクロ経済的な含意を言えば、
負債を発行して、所得を上回る消費を行うことと
違いはない。そして、
その取り崩しされるキャッシュフローが
どこからファイナンスされるのか、というと
政府部門の国債償還によって、
と、いう構造である。
これは、日本国の経済状態を
取り戻しがたい水準まで、沈滞させることになるだろう。
ただし、すでに人口も減少しており
高齢化もますます進むことを考えるなら、
むしろその方が適切だ、
日本は、他の国に先駆けて、
「超長期循環のソフトランディング」に
成功するのだ、
という考え方が出てきても、おかしくはないかもしれない。
まさに、「経済学とは
陰鬱な科学である」と、いうような感じの結論ですなあ。。。