消費増税:反動減は「想定内」…導入1カ月
毎日新聞 2014年05月01日 21時38分(最終更新 05月02日 01時20分)
消費税率引き上げから1カ月が過ぎた。増税に伴う駆け込み需要の反動で、大手百貨店の売上高や新車販売台数はマイナスに転じた。企業からは「落ち込み幅は想定内」との声も聞こえてくるが、増税に伴う物価上昇は家計を苦しめている。景気は元の回復軌道に戻れるのか。日本経済の強さが試されている。【種市房子、山口知、高橋直純】
◇食品、軽自動車は健闘
東京都中央区の百貨店「松屋銀座」。連休の谷間の1日も、午前10時の開店直後から地下の食品街はにぎわいをみせた。
同店は4月25日、食品街を24年ぶりに全面改装。目新しい商品を並べて、消費を刺激するという「増税対策」を実施した。国内の百貨店初出店の菓子店や、少量生産で手に入りにくい日本酒をそろえた。
目黒区から友人と訪れたという女性(63)は、一つ400円以上するドーナツを家族向けに五つ購入。「消費増税後も欲しい物は我慢しない」と話した。1粒1000円以上のチョコレートも売れ行きは好調だ。
同店の4月の売上高は前年同月比2.2%減。駆け込み需要に沸いた3月(35.8%増)に比べ、大きく落ち込んだ。高級時計や宝飾品の売れ行きはがくんと減ったが、「5万〜10万円の靴やアクセサリーなどの売れ行きはいい」という。
三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、J・フロントリテイリング、そごう・西武の大手百貨店4社が1日発表した4月の既存店売上高(速報)は、前年同月比7.9%減〜15.3%減。高島屋は13.6%減だったが、週を追うごとに減少幅を縮めた。担当者は「来店客の購買意欲は強く、想定より良かった」と胸をなで下ろし、「ボーナスが出る7月のマイナス解消を期待している」と話す。
スーパー大手のイオンは、4月の売り上げが約1割減。家電などで落ち込みはあるものの、食料品は戻ってきており、こちらも「想定内」。5月は前年並みに戻るとみている。
自動車業界団体が1日発表した4月の新車販売台数は34万5226台で、前年比5.5%減だった。マイナスは8カ月ぶり。軽自動車に限ると2.9%増の15万6362台と前年を上回った。全国軽自動車協会連合会の担当者は「マイナスと見込んでいたので、プラスは驚き」と話す。