(2014年5月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国はPPPベースで今年、米国を抜いて世界一の経済大国になる見込み〔AFPBB News〕
本紙(英フィナンシャル・タイムズ)は4月30日、中国が今年、米国を抜いて世界最大の経済大国になると報じた。これは歴史的な瞬間だ。何しろ1872年以来、米国が世界一の経済大国だったからだ。
この時が来ることは誰もが知っていた――国際通貨基金(IMF)の予想は2019年が重要なポイントになると示唆していた――が、国際比較プログラム(ICP)の報告書は意外だった。同報告書は、中国経済が2011年に既に米国の規模の87%に達していたと述べていたためだ。
この数字は購買力平価(PPP)の新たな試算に基づくもので、必然的に多くの疑問を提起する。
■国際比較プログラム(ICP)とは何か?
ICPはワシントンの世界銀行が主催する、世界の主要統計機関の緩やかな共同事業だ。欧州連合(EU)統計局ユーロスタットと経済協力開発機構(OECD)が先進国のデータを提供する一方、多くの地域支部、大抵は各国の統計機関がユーロスタットなどの数字に相当するその他の国々のデータを提供する。
全体として世界199カ国がカバーされている。このためICPの結果は、その他の類似研究よりもはるかに包括的だ。
■購買力平価(PPP)とは何か?
PPPは、お金が買えるものを示す指標だ。国内総生産(GDP)などの各国の経済指標を比較のために共通通貨に換算する時、すべての経済においてお金が買える財とサービスの量を知りたければ、利用すべき為替レートはPPPだ。
これは特に非貿易財であるサービス産業にとって重要だ。基本的な中国の散髪は基本的な米国の散髪より安いが、米国人は荷物をまとめて中国の地方部に行くことができないため、市場為替レートには、この2つの価格を均一化する圧力がかからないからだ。
■我々はICPの数字を信頼すべきなのか?
PPPの算出方法が修正された結果、中国とその他アジア諸国が従来思われていたよりも大きく見えるようになったのは確かだ。このことはデータの正確性に疑問を投げかけるだろう。中国当局が研究に参加しなかったため、特にそうだ。
ICPは周期的にPPPの新しい試算を弾き出す。直近の2011年の数字の前には、2005年、1993年に改訂され、さらにさかのぼると、1985年、1980年、1975年、1973年、1970年に改訂されている。