石原信雄元官房副長官は20日、衆院予算委員会に参考人招致され、従軍慰安婦制度への旧日本軍や官憲の関与を認めて謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話について、談話の基になった元慰安婦とされる女性の証言の裏付け調査は行わなかったと明らかにした。
河野談話は、慰安婦動員について「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接加担したこともあった」としているが、その根拠が揺らいだ形だ。日本維新の会の山田宏氏への答弁。
石原氏は河野談話作成の際、事務方トップとして調査を指揮。韓国側の要請に応じる形で調査官を派遣し、韓国側が選んだ16人の「元慰安婦とされた人」からヒアリングを行った。
予算委で石原氏は、ヒアリングで「募集の過程で当時の官憲が関わった」「かなり脅しのような形で応募させられた」などの証言を得たものの、「証言の事実関係を確認した裏付け調査は行われていない。裏付けを取ることができるような雰囲気ではなかった」と説明した。
山田氏が「強制性を認めれば納得すると韓国側が示唆したのではないか」とただしたのに対し、石原氏は「作成過程で(日韓の)意見の擦り合わせは行ったと推定されるが、私自身はタッチしていないので確認できない」と答えた。談話発表後も韓国が慰安婦問題を取り上げていることに関し、石原氏は「日本政府の善意が生かされていない。非常に残念だ」と述べた。
予算委で菅義偉官房長官は、安倍内閣として河野談話を継承する方針を改めて強調。ただ、「学術的観点から、さらなる検討が重ねられていくことが望ましい」とも語った。山田氏はヒアリングに関する文書の公開や調査内容の再検証を求めたが、菅長官は対応を明言しなかった。
◇石原元副長官答弁のポイント
1、河野談話作成の際に元慰安婦とされた16人の証言を得た
1、証言の裏付け調査は行わなかった
1、談話作成の過程で韓国側と意見の擦り合わせを行ったと推定される
(2014/02/20-17:30)