ソニーは1日、2014年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が1300億円の赤字(前の期は430億円の黒字)になったと発表した。パソコン(PC)事業からの撤退を柱とする構造改革を発表した2月時点の予想から赤字額が200億円広がった。PCで追加のリストラ費用を見込むほか、音楽をCDなどに記録するディスク事業の損失も出る。
前期の業績予想を下方修正するのは今回で3度目となり、ソニーの収益回復の鈍さが改めて鮮明となった格好だ。
PC関連で約300億円のリストラ費用を追加で処理した。日本産業パートナーズ(東京・千代田)へのPC事業売却を表明した後、PCの売れ行きが悪化。生産量が計画を下回り、余った部品在庫の損失処理などを迫られた。15年3月期に予定する構造改革費用の一部も前倒しで計上した。
ディスク事業の損失は約250億円。スマートフォン(スマホ)で音楽や映像をダウンロードする人が増えたことで稼働率が落ちた海外工場の資産価値を引き下げた。
本業のもうけを示す営業利益は前の期比89%減の260億円と従来予想(800億円)を下回った。前期の最終赤字拡大で金融危機の09年3月期以降の最終赤字は累計9400億円に達した。
今回の追加処理で今期のリストラ費用は減る見通し。ただ競争が激しいテレビやスマホ事業の先行きは不透明で、市場では収益回復のけん引役不足を指摘する声が多い。「パナソニックのようにさらに踏み込んだ合理化が必要」(メリルリンチ日本証券の片山栄一氏)との見方が出ている。