米国:慰安婦像撤去訴訟、日本人側の代理人辞任
毎日新聞 2014年04月30日 21時34分(最終更新 04月30日 22時10分)
【ロサンゼルス堀山明子】米カリフォルニア州グレンデール市を相手取った慰安婦像撤去訴訟で、原告の在米日本人団体「歴史の真実を求める世界連合会」の弁護士事務所は4月28日、代理人の辞任届を連邦地裁に提出した。弁護士事務所は連合会に対し、慰安婦問題を巡る立場の違いを理由に、弁護費用を無料にする条件で辞任する考えを伝えたという。
原告の代理人を務めていたのは、シカゴを拠点とする大手弁護士事務所。日本人団体代表の目良浩一・南カリフォルニア大元教授は29日の声明で「(弁護士事務所の)トップは『従軍慰安婦説』に反対であるとみられることを恐れているようで、2007年の米下院決議に従った声明を出した」と明らかにした。下院決議は慰安婦問題の解決を日本政府に促しており、「慰安婦は売春婦」だとして、謝罪や補償の必要性はないとする連合会の立場と対立する。
新たな原告代理人は、ロサンゼルス郊外にある別の弁護士事務所が担当する。目良氏は「弁護士事務所の変更は訴訟に大きな影響を与えるものではない」としている。
訴訟を巡っては経済誌フォーブス電子版が4月中旬、「全米トップ級の弁護士事務所が扱う最低の訴訟」と酷評する長文の記事を掲載。法律専門ニュースサイトでも批判記事が相次いでいた。辞任はメディアや法曹業界の批判が影響した可能性がある。
グレンデール市の慰安婦像は昨年7月に設置され、連合会は今年2月、市に撤去を求めて提訴した。