文系学生のプログラミング入門

ウェブプログラミングがメインです

単なるインターフェースとしてのネイティブアプリを馬鹿にしてはいけない

なかなかiOS開発に動き出せない自分を鼓舞するために、スマホサイトとネイティブアプリの違いとシンプルなビューワアプリの需要について書いてみました。

目次

  • どうしてスマホサイトではダメなのか
  • ただのビューワアプリの価値を見直す
  • まとめというか雑感

どうしてスマホサイトではダメなのか

昨年の2月、とても短い期間ですが、iOSアプリを作ろうと思って勉強していました(このブログも実はもともとそのiOSの勉強のために開いたものだった)。しかし結局おみくじアプリを手元で動かしたくらいで、「でもこれディベロッパー登録に金かかるんだよな。じゃあスマホサイトでいいんじゃないか...」と、アプリ開発をあっさり諦めてしまいました。

当時自分が作りたかったのはスポーツのニュースサイトで、単にこちらで選んだいくつかのサイトのフィードを表示するだけのアプリだったのですが、そんなものはHTMLで画面を用意してJavaScriptでフィードを取得・表示すればいいだけです。当然スマホからでもアクセスできるし、ホーム画面においてもらえばアプリとほぼ同じように使える。そう思っていました。

ホーム画面になんて置かない

けど、今日ふと自分のiPhoneを見てみたら、ウェブサイトのリンクなんてほとんどホーム画面に置いていないことに気づきました。しかも、iPhoneのホーム画面にウェブサイトのリンクをアプリっぽく置けるということを知らない人もけっこういます。意識・無意識にかかわらず、ウェブサイトをホーム画面に置くという行為はそんなに好ましく思われていないのです。「◯◯したいなら△△アプリ」と考えるのが普通で、ウェブサイトは検索などから意識的に訪れるところだという意識が自然なのではないでしょうか。

タップ数が多くなる

ネイティブアプリなら、ブラウザを通した時よりも利用者の生活に入り込めます。

  • ホーム画面 -> ブラウザ -> スマホサイト
  • ホーム画面 -> アプリ

この差は大きいと思います。ユーザーとして使っているときは敏感なのに、作る側になると低く見積もってしまうのだから恐ろしいところです。情報にアクセスするまでのタップ数が増えるのは、良くないなんてレベルじゃない。価値の半減につながると認識した方がいいでしょう。

朝起きてアプリを起動する、電車の待ち時間にアプリを起動する、飯屋で料理が来るのを待っている間にアプリを起動する...など、そういった隙間の時間、利用者の生活にすっと入り込むには、タップ数が増えてはいけないのです。

Safariの画面に萎える

さらに、ブラウザでそのサイトにアクセスするときの「今HTMLをダウンロードしてますよ」の時間。これも大きい。ネイティブアプリであれば、アプリの起動時はこれに代わってアプリのイメージに合った画像が表示されていることになります。

たとえウェブサイトのリンクがホーム画面に置かれていて1タップで必要な情報に辿り着けるとしても、Safariの画面を見た時点でアプリを使うときの感覚は消え失せるでしょう。


このようにスマホサイトには細かいようで致命的な欠陥がいくつかあります。ネイティブアプリが作れるのだったら、その方が良いに決まっています。

ただのビューワアプリの価値を見直す

「アイディアが無いから」アプリを作り始められないと言う人がいます。というか、自分がそうです。どうせなら新しいものを作りたいし、できるならAppbankとかで「新感覚」ともてはやされるようなものを作ってちやほやされたい。ただこの考えでいくと、いつまでたってもアプリは作れません。斬新なアプリは思いついたとしても前例が無くて作り方がわからないし、誰かに使ってもらえる保証も無いためすぐに気持ちが萎えてしまう。

だとすると、誰かのためになって、かつ自分にも勉強すれば作れそうなものがあればそれを作るべきなのではないでしょうか。それが、単なるインターフェースとしてのビューワアプリです。

1アーティスト1アプリ

具体的には、知り合いのバンドのアプリを作るのはどうでしょう。たとえばそのバンドはすでにホームページのようなものを持っていて、YouTubeSoundcloudのアカウントもあるとする。けれど、これだけだとファンの忠誠心があんまり向上しない。その問題への解決策として、バンドの名前でビューワアプリを提供する。アプリをリリースすれば、そのバンドがわずかなファンの生活に入り込むことに成功する。

そんな上手いこといくのかはわからないけれど、こうやってビューワアプリを見直してみると、アプリ開発のネタに困らなくなりそうです。とてもいい加減ではあるけど、1アーティスト1アプリの需要があると考えれば、いくらでもアプリが作れそうな気になります。

アプリとロイヤリティ

スマホサイトとネイティブアプリの違いなんて既出の話を持ちだしてブログを書いたのは、実は先日、id:razokuloverさんのこの記事を読んで、一度自分の頭でも整理しておきたいと思ったからです。

自分で作ったくせにあれなんですが、たぶんこのアプリ、ボクじゃない方がオモシロいんです。

さっきも出てきたイケダハヤトさんとかのほうが知名度あるし。

Push通知+個人のオモシロさはまだ使われきってない気がするのだけど色々できる気がする。

政治家がさ、選挙活動にPush通知使うとかね。法律的にいいのかどうかわかんないけど。

アイドルとかだったら、ファン向けの程よい距離感でプラットフォーム化できそう。

自分自身のクライアントアプリをiOSアプリとしてリリースしてみた - razokulover publog

このアプリ、僕もダウンロードして使ったのですが、特に何も面白くない割にアプリを起動してしまう不思議な感覚に襲われました(実際にはニュースタブもあったのでまるっきり無駄でもないのですが)。また、自分のiPhoneの中にrazokuloverさんがいる状態になると、不思議と忠誠心のようなものが芽生えてきます。気づけばTwitterの次くらいの頻度でアプリを起動していました。

また個人的な話になりますが、4月にレギュラースタッフとして入ったのに派遣会社ごと切られてなぜか1ヶ月しか働けなかったバイト先が某アイドルの劇場だったことも関係あります。ファンのお金の使い方とか見てて、「もう見境ないなこの人たち。なんでも欲しがるんだな。」と思いました。

具体的には、メンバーへのメッセージを書くための紙をお金出して買ったりしていました。紙に1000円を払う。僕にはちょっと意味がわかりません。きっとアプリなんて出したら、それこそメンバー1人1アプリで5000円とかでも全然買うし、アプリ内課金もばんばんするんだろうな、恐ろしいな、と感じました。 実際にこの手のアイドル閲覧アプリみたいなものはいくつかあるみたいなのですが、あまり多くはないようです。アプローチをちょっと工夫するだけでも、なかなかの商機になるかもしれません。

このようにスマホアプリは、対象(上で述べたrazokuloverさんやアイドルなど)とユーザーとのロイヤリティを高めたり、それを利用した販促のツールとして絶大な力を発揮するのではないでしょうか。

まとめというか雑感

アプリは生活に入り込むと書きましたが、生活というのは人それぞれで、開発者の感覚でそれを感じ取るのはなかなか難しいです。ただ明らかなのは、スマートフォンを通して多くの人に求められているのは、必ずしも新しい仕組みとかイノベーションではないということです。ビューワアプリのような「◯◯しかできないアプリ」を馬鹿にせず、目に見える誰かのニーズを満たせる開発者になりたいものです。