中東呼吸器症候群ウイルスのヒト天然抗体を特定、米研究
2014年04月29日 11:24 発信地:ワシントンD.C./米国
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サウジアラビア・リヤド(Riyadh)の病院の救急病棟を出る医療関係者ら(2014年4月2…
×サウジアラビア・リヤド(Riyadh)の病院の救急病棟を出る医療関係者ら(2014年4月27日撮影、資料写真)。(c)AFP/FAYEZ NURELDINE
【4月29日 AFP】米ダナ・ファーバーがん研究所(Dana-Farber Cancer Institute)などの研究チームは、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome、MERS)を引き起こすウイルスの感染を防ぐ天然のヒト抗体を特定したと明らかにした。論文は28日、米科学誌米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)(電子版)に掲載された。
サウジアラビアで2012年に初めて報告された中東呼吸器症候群は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS CoV)による呼吸器感染症。致死率は40%以上と高く、サウジアラビアでは100人以上が死亡している。今のところ有効なワクチンも治療薬もなく、専門家らは今なおその謎の解明に苦慮している。
中東呼吸器症候群コロナウイルスは、その特定の部分がタンパク質受容体に結合してヒト細胞に感染するが、今回特定された抗体はこの結合を防ぐという。この抗体を用いてMERSの予防や治療の方法を開発するための実験が行われているという。
研究チームを率いたウェイン・マラスコ(Wayne Marasco)氏は、予防効果が3週間程度続く注射薬を開発できるのではないかという見通しを示した。(c)AFP