JTB社員:高校に偽手紙 手配ミス隠し、遠足中止図る
毎日新聞 2014年04月29日 21時39分(最終更新 04月29日 22時42分)
岐阜県御嵩(みたけ)町の県立東濃高校の遠足を担当していた旅行会社「JTB中部」(名古屋市)の男性社員(30)が、バス11台の調達ができずにミスを隠すため、生徒を装って遠足の中止と自殺をほのめかす内容の手紙を学校に届けていたことが29日、分かった。同校は「生徒の命に関わる内容が含まれており、容認できない」として県警可児(かに)署に手紙などを届けた。同署は偽計業務妨害の疑いもあるとみて調べている。
同校によると、遠足は今月25日に予定されていた。前日の24日、社員が学校を訪れて「玄関のポスト付近に落ちていた」と手紙を持ち込んだ。表には新聞の切り抜きで「先生」、裏には「生徒」の文字が貼られ、「遠足に行きたくない。死ぬよりしんどい。中止してほしい」という内容のワープロ打ちの手紙が入っていた。
同校は調査の結果、該当する状況はないと判断し、遠足の実施を決めた。ところが、25日午前8時ごろ、社員が来て「実はバスが来ません」と打ち明けた。同校は遠足の延期を決め、平井学校長名で保護者宛ての「遠足延期の連絡とお詫(わ)び」を持たせて生徒317人を帰宅させた。
JTB中部によると、社員は25日午前6時ごろ、手配ミスと手紙の存在を上司に報告。同社が原因を調べる中で、27日午後になって「責任を回避するために手紙を自作した」と上司に打ち明けた。同社は29日、同校で開かれたPTA総会で謝罪と説明をした後、記者会見を開き、松本博社長が「社員が自らの責任を回避し、生徒を装って手紙を出すなど大変な迷惑と心配を掛けた」と謝罪、調査を進めて社員の厳重な処分をすると話した。【小林哲夫】