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日中韓が大気汚染防止で共同声明
4月29日 18時49分

日中韓が大気汚染防止で共同声明
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韓国で開かれていた日本、中国、韓国の環境大臣会合は、PM2.5などの大気汚染を防ぐため、日本と韓国のこれまでの政策や汚染物質を削減する技術について中国と共有することなどを盛り込んだ共同声明を採択しました。

韓国のテグで開かれていた日中韓3か国の環境大臣会合には、石原環境大臣、韓国のユン・ソンギュ環境相、中国の李幹傑次官が出席し共同声明を採択しました。
共同声明では、PM2.5などの大気汚染を防ぐため、日本と韓国が行ったこれまでの政策や汚染物質を削減する技術について中国と共有するとともに、特に中国側から要望のあったPM2.5の原因物質で塗料などの溶剤に含まれるVOC=揮発性有機化合物の削減や、重機などの排ガス対策について協力していくとしています。
また、日本と中国の都市間の協力関係を強化し、今後5年間、大気汚染の問題に最優先で取り組むとしています。
会合のあと、3か国の環境大臣などが共同で記者会見を開き、この中で石原環境大臣は、「大気汚染の改善に向けて具体的な協力を進めていくことに合意した点を高く評価している。企業や研究機関といった民間の方々の協力も得ながら、日本の経験や技術を地域の大気汚染の改善に活用していきたい」と述べました。
一方、会合中に開催される予定だった日本と中国の2国間の会談は、中国側の事情で今回初めて開かれず、日中関係の政治面での冷え込みが改めて浮き彫りになりました。
これについて石原大臣は「実施できなかったことは残念だが、会合や夕食会の合間に有意義な意見交換を行うことができた」と述べ、会合の結果に影響はなかったという考えを示しました。

中国次官「日韓の経験に学びたい」

会合のあと日本、中国、韓国の3か国の環境大臣などが共同で記者会見を開きました。
この中で中国の李幹傑次官は、「中国の大気汚染問題は長期的な積み重ねによる問題であり、それを管理するには長い時間がかかることを認めなければならない。私自身が絶えず努力を必要とされ、日本や韓国を含む国際的な成功の経験を学んでいかなければいけない」と述べました。
そのうえで李次官は「中国は積極的な態度を取って日韓両国と共に努力をし、地域の環境保護や持続的な発展を促したい」と述べ、大気汚染の改善に積極的に取り組む姿勢を強調しました。
また、韓国のユン・ソンギュ環境相は「今回の共同声明では、大気汚染の改善に向けて事務レベルで話し合う政策対話を今後、定期的に行うことも合意した。来年には韓国で2回目の会合が開かれるので、3か国の対話を着実に進め、実りある結果を出したい」と述べました。

民間レベルでは技術協力の動き

中国で深刻化する大気汚染の改善に向けた技術協力の動きは、民間レベルではすでに始まっています。
日本国内のおよそ300の企業で作る「日中経済協会」では、去年9月、加盟する企業が持っている大気汚染の改善に役立つ技術について紹介するリストを作成しました。
この中には、汚染物質の濃度を測定するモニタリング装置や、排煙から汚染物質を取り除く装置など、合わせて90件の技術が掲載され、企業の問い合わせ先も含まれています。
協会では去年の秋以降、中国政府や地方政府を相次いで訪問し、リストを渡して協力を申し出ていて、これまでに現地や日本国内で商談会も開かれています。
「日中経済協会」の岡本巖理事長は「日本もかつて同じような問題に苦労したため、その知見や技術があるので、それを持ち寄って協力しようという考えでリストを作成した。中国側からは日本の企業と具体的に話をしたいと、大変意欲的なアプローチを受けている」と話していました。
このリストに掲載されている企業の1つ、大阪市の環境装置メーカーの技術は、すでに中国国内で導入が始まっています。
このメーカーを経営する土井潤一社長はPM2.5の原因物質、VOC=揮発性有機化合物の濃度を監視するモニターを製造している埼玉県内の企業と協力して、中国向けのモニターを開発しました。
おととしには、広東省の仏山で現地の企業と合弁会社を設立し、計測した濃度のデータを端末に送信して24時間、濃度の変化を監視できるVOCのモニターを製造しています。
センサー以外をすべて中国製にすることでコストも抑えていて、ことし2月からは地元の一部の工場に導入が始まっています。
土井社長は、中国国内での大気汚染への関心の高まりを背景に、近く地元政府が工場にVOCの濃度の監視を義務づけるなどの対策を行うとみていて、モニターの購入が増えることを期待しています。
さらに将来的には、VOCを回収し排出を削減するための技術を導入したいと考えています。
土井社長は「大臣会合でVOC対策について合意したことは、地方政府にPRしやすくなり、現地のニーズも高まるので非常にありがたい。排出を削減しなければ、大気汚染の改善につながらないので導入を実現させたい」と話していました。

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