金利と為替の関係
金利平価説(金利差の裁定によって為替レートが決定するという考え方)などという考え方があるように、金利と為替レートには深い関係があります。
ドル、ユーロ、ポンドと日本円の関係について、金利差(海外金利ー日本金利)に注目してまとめました。
2010年年初の数値を1とし、そこからの上昇率をグラフにしています(金利差は差軸、為替は右軸)
米金利とドル円
ドル円は特に日米金利差がとの関係が深いと言われており、日米2年債金利差は長い間注目されてきました。
しかし、最近では米国の量的緩和の影響で米国の短期金利がつぶれており(短期金利ほど金融政策の影響を受けやすい)、より長期の金利差に注目が移るようになってきました。
グラフでは、2年債、10年債の金利差を載せました。
ご覧頂いたととおり、金利差の縮小(日本の金利はほとんど動いていないに等しいため、米金利の低下(及びその背景となるドル供給量の増加))により円高トレンドが形成されていて、それがアベノミクスやら黒田日銀の異次元緩和やらで反転した形になってますね。
アメリカが量的緩和からの出口戦略を進める中で、低位安定していた2年金利差も拡大傾向にあることも見て取れます。
このへんがドルの(対円に限らない)基調的な強さを支えている要因ですね。
英ポンドと金利の関係
今度はポンドで。
短期金利差が拡大傾向にありますね。しかし英国のインフレ率は2011年頃をピーク(3.5%くらい)に低下基調が続いているため、長期金利が上昇しにくくなってきています。そのため長期金利差は拡大しにくい状況か。
ポンドは各国通貨に対して買われすぎとの見方も根強く、何とも微妙。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでも、短期筋のデリバティブを用いたポジションが積み上がっている様子が確認でき、ちょっと不安・・・
ユーロと日独2年金利差、独伊10年金利差の関係
ユーロのグラフの作り方は迷いました。
ソブリン危機に見舞われた(ている?)通貨なだけに、金利差が示す意味が本質的に他国と異なっています。
日独金利差も載せましたがこれは他のグラフと形を似せるためって意味が大きいです。
やはりユーロ圏を見る上で大事なのは、支援する側の国(ドイツなど)と支援される側の国(ギリシャ、スペイン、イタリアなど)の金利差でしょう。金利差が大きくなれば、安全な国と危険な国の(国債の評価の)差が広がっているってことで、危機が深刻になっていることを示します。すなわちユーロの信頼の揺らぎですね。
グラフでは、イタリア10年金利ードイツ10年金利 にしてみました(ギリシャ金利のほうがおもしろかったかな)。
結構きれいな逆相関になっていて、金利差が開いているときは、ユーロ相場が軟調なことがわかりますね。
直近はだいぶ落ち着いていることも見て取れます。