ここはもう飽きるくらい情報が出ていて、特に目新しいこともないので省略。
03年 | 2chのログデータは東京プラス(国内にあるひろゆきの会社)を通じて販売されていた。 |
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09年 | 東京プラスは、シンガポールのパケットモンスター社に2chの諸権利を譲渡したと発表した。 |
12年 | 2ch関係者への家宅捜索が相次いだためか、2ch.netのドメインの登録者をパケットモンスター社からレースクィーン社に変更した。 レースクィーン社の運営者は、レンタルサーバーサービスを行っているNTテクノロジーの社長であるジムであった。 |
13年 | 国税局はパケットモンスター社の収益とされていた金額をひろゆきの個人所得と認定、約1億円の申告漏れを指摘された。 |
まとめると、
この3点が乗っ取りを成立させたと思われる。
※これはひろゆき側の言い分であり、ジム側の言い分では2chを存続させるための収益を出せないため前責任者(=ひろゆき)を解雇したという表現になっている。NTテクノロジー社の経営は芳しくないという点では、ひろゆきとジムは見解を同一としている。
以上を踏まえると、4/1のひろゆきの声明の意味が理解できる。
ただしドメインの所有権はレジストラのWHOISデータベースの登録者、というのが基本的な原則(逆に言えばレジストラに対して正確な所有権者で申請しなければならない)であり、過去にはJPドメインにおいて「紛争が発生した際に、法的にドメインの所有権者を明らかにできない」という理由で、ドメイン名代行(匿名化)サービスが停止されたこともあった。
そのため、「ドメインの乗っ取り」というひろゆきの言い分はややおかしい
もっともそれは絶対的なルールではなく、商標権等の理由でドメイン紛争自体は頻繁に起きるため、ドメイン名紛争処理が存在している。
詳細は斜め読みしかしていないが、中立なパネリストに裁定を下させるというもので2ヶ月強程度で解決するとされている。
13年の国税局の調査の時点では、2ch.netの広告代理店収入はパケットモンスターを通じてひろゆきが得ていたとされている。これは「ドメインによって利益を得ているのが誰か」という点を明確にする点で、ドメイン紛争処理をひろゆき側に有利にする材料のひとつのはずである。
しかし4/1文書では広告代理店が、「現在の2ch」と取引を続けるならば法的な対応も辞さないという脅迫スレスレの声明を出している。
14年4月の時点ではその資金の流れが変わり、NTテクノロジーもしくはその国内代理店であるゼロが広告収益を得ていたということだろうか?あるいはもともといずれかの企業からパケットモンスターへ送金が行われていたということなのか?
2chのボランティアシステムは異様に複雑で全貌を掴みきれていないので、以下の内容の的を外しているかもしれない。
仮にレースクィーン社による乗っ取りだったとしても、2chの複雑な運営体制について無償ボランティアが事情を知りえるとは思えず、運営に携わり続けたという理由で、ジムの共犯として民事・刑事罰が下されるという可能性は極めて低いのではなかろうか。なによりあれを読んだ第三者の心象は(ひろゆきが民事の賠償金を踏み倒し続けていたこともあり)最悪であり、逆効果だったとしか思えない。
しかし実際には一定のボランティアはscに移住した。この謎は内部告発とされる発言から、一定の推論が出ている。2chのボランティアは実はボランティアではなかった。
いずれも明確な証拠は出てきておらず、推論の域を出ないが、ひろゆきが「ボランティア」と指した対象がこれらの利害関係のある人物を指すのであれば、納得できる。
ホットリンク社は現在2chのビッグデータをどこからか仕入れ、サービスを行っている企業である。
主にインサイダー疑惑として盛り上がり、そちらについては既に枯れていると思うので、ここでは別の視点で見る。
03年 | 東京プラスは株式会社ガーラと2chログデータの商用利用独占契約を締結した |
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13年 | ホットリンクは株式会社ガーラの子会社、ガーラバズを吸収合併した。このとき「未来検索ブラジル」との間で2chログデータの商用利用独占契約を締結した |
13年末 | ホットリンクはマザーズへ上場 |
14年 | 2ch分裂騒動が起きる |
ここにも、不可解な点がいくつかある。
プレスリリースと有価証券報告書との間にある、ガーラバズ社吸収合併の6ヶ月のズレは何を意味しているのか?
2chログデータ仕入先が東京プラス社から変更されているのは、パケットモンスター社へ譲渡したと見せかけていたことから分かるのだが、未来検索ブラジル社を代理店とした意図は?
もうこの時期にはパケットモンスターが実質ひろゆきの会社であると判明していたため、未来検索ブラジルを通さなければならなかった意味は見えてこない。
02/19 | ジムが2chの「サーバーを確保した」こと、2chの諸権利はレースクィーンに帰属すると声明を出す。 |
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03/06 | ジムがブラジルのクロールを遮断、ホットリンクへの2chビッグデータ提供が停止する。 |
03/10 | ホットリンクが2chデータ取得に障害が発生していることを公示。 |
03/20 | ホットリンクは2chデータ取得障害が解消されたことを公示。 |
04/01 | ひろゆきは2ch.scの運営を予告。 |
2chのデータ取得障害が解消されたのが3/20であるという点が第一の疑問。この時期まだ2ch.scは公開されていないため、ホットリンクはどこから「2ちゃんねるサイト」の書き込みデータを取得していたのだろうか?
自然に考えればブラジルからであり、ブラジルは2ch.netの書き込みデータを取得するクローラを3/20までに開発し、取得したデータを納品していたことになる。
だが、マザーズ上場企業が取る行動として、権利が不明瞭な(違法転載された)クロールデータを購入し、サービスを展開することがとても真っ当だとは思えないのだが…。
また、ひろゆきは「Jimがホットリンクに連日のように営業を掛け、2chのデータを購入するよう求めたが、権利者である証明を出せないことで引き下がった」としているが、果たして真実なのか。堂々とトップページに権利者であることを掲げている企業が、違法な無断転載データを購入している企業に対してあっさり引き下がったという点が不可解である。
加えて言えば、3/20の時点でブラジルによるクロールデータの転売は再開されていたので、2ch.scを公開する意味はなかった。これは本当にひろゆきの意図なのだろうか。「2ちゃんねるサイト」からデータを取得していると株主に説明したいホットリンク側の要請で生まれたものという考え方もできる。
現在のところレジストラが所有者と認めているのはレースクィーン社のため、法的にも所有権があるとみなされる。
ひろゆきはドメイン名紛争処理などの手段を用いて取り返すと考えられる。
~02/19 | 2chへの書き込みの権利は全て「2ちゃんねる」へ帰属する。 |
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02/20~ | 2chへの書き込みの権利は全て「レースクィーン社」へ帰属する。 |
著作者人格権の放棄および移譲の項目もあるが、実際にこの項が行使されたことはないと思われる(法的にも有効とは思えない)。実際に、「電車男」や「ブラック企業~」など書籍化など大ヒットした書き込みについて、書き込み者を特定して印税の配分を行っている。
ここでの不可解な点は、まず現体制以前の「2ちゃんねる」とは何を指すのか。流出したひろゆきのメールボックスによれば、印税の分配は書き込み者とひろゆきで行うとする出版社からのメールがあったことから、実質的には「2ちゃんねる」=ひろゆきと考えるのが妥当と思われる。現在はレースクィーン社が2ちゃんねるの権利者を名乗り、データを「保全」している状態だが、過去の書き込みも遡及して、レースクィーン社のものになるのだろうか?
また、現在の書き込みはユーザーの意思の元、「レースクィーン社」へ譲渡されている。ならば、
という点が疑問である。
仮に2ch.netの権利がひろゆきのもとへ返還されたとして、2/20からその日までの間、ユーザーはレースクィーン社と契約を結び、書き込み内容の権利を譲渡していたことに変わりはないはずなのだが、レースクィーン社の行為が何らかの「不法行為」と認定されれば、現状未来検索ブラジル社が行っているクローリング行為(明確な著作権侵害、不法行為)は正当化されるのだろうか?
嫌儲的な思想は好まないのだが、カネにまみれていなかったころのネットはもはや帰ってこないし、あの頃に還ることはできないことに一抹の切なさを感じる。
カネにまみれていない清く正しいインターネットのご紹介です!! https://www.gnu.org/ http://www.openbsd.org/