こちらマーケットハックの記事ですが、かなり面白かったのでコメント。
企業としてのビヘイビアは、スタートアップのような軽快さではなく、ちょうどロックフェラーのスタンダード石油のように寡占的で、排他的にならざるを得ません。今回の人材談合問題はその好例です。
大体、企業がこういうビヘイビアをするようになったときは、相場は終わります。
相場は予定調和ではありません。
理詰めで考えて、失策をしないように細心の注意を払って、手堅く無難なコースを行く……これはシリコンバレーのエトスと正反対の態度であり、それをバレーのリーダー企業が無意識のうちに率先してやっているわけです。そのコミカルさ、そこはかとない哀しさに気が付かないようでは、まだまだ投資家として青いです。
別の言い方をすれば、今後グーグルやアップルやフェイスブックに、恐ろしい下げ相場が来るということです。
簡単にいうと、Google/Facebookの人材談合事件から、このような事件が起きる場合、それはマーケット的には寡占状態に突入していることを意味する。マーケットの拡大ではなく、シェアの奪い合いになってしまっている現状では、今後下げ相場がくるだろう、とのことです。
さて、この問題をどのように捉えるか、というのはその人がテクノロジーをどのように捉えているか、というのと似ているような気がします。まず、Google/Facebookも広告市場から利益をあげているというのは間違いない事実で、またそれが今後急拡大する予測もあまりなさそうというのはわかります。もう一つの根拠として述べているのが、「家計の中に占める、テクノロジーに対する出費は、たぶんピークをつけたと思われます。」というポイント。僕は、こちらは懐疑的です。というのも、今後発生するだろう変化は、かなり行政側との交渉がモノをいうステージになってくるだろう、と考えているからです。つまり大きな企業のステージです。
たとえば、Googleが開発を進める自動車AI。Googleは4月28日に、自動運転カープロジェクトの進展状況を発表しました。無事故での走行距離は70万マイル(約113万キロ)を超え、以下の動画を見てもらえばわかりますが、状況把握、判断などはすでに普通のドライバー以上の精度には達していると思われます。
Google Self-Driving Car on City Streets - YouTube
ただ、もちろんこの技術が実際に市場に投入されることを考えると、例えばこの自動運転が死亡事故を起こした時に、だれが責任を持つべきなのか。車の運転席に座っている人でしょうか?その場合、過失はどのように考えるべきなのでしょうか?すでに、導入されているEyeSightのようにこの機能はあくまで補助的なものなのか。それとも、それこそどこまでテクノロジーを信じて良いのか。などなどいろいろな疑問がいっぱい噴き出してきます。
このあたりの法的な整理や政府とのネゴシエーションを考えると、今後本当にテクノロジーにとってネックになってくるのは、加速度的に進化するAIの研究成果に対して、どのくらいのスピードでそれを市場に投入できるか、というポイントになってくると思います。たとえば、シンガポールがその競争力を保つためにグローバルな投資環境を整えたように、国にとってAIに代表される今後加速度的に進化するだろうテクノロジーをどのくらい活用できるかの法整備をどのくらいのスピードでできるかどうかが「家計の中に占める、テクノロジーに対する出費は、たぶんピークをつけたと思われます。」という部分の今後の一番の鍵であり、その点で図体がでかくなった企業だからこそ、できることも山ほどあると思うのです。
そんなわけで、僕は「家計の中に占める、テクノロジーに対する出費は、たぶんピークをつけたと思われます。」というポイントにはかなり懐疑的です。まだまだテクノロジーができることは多いし、その中でGoogleが果たす役割はかなり大きいと思います。