宇宙発電:無線送電技術進み 30年代後半、実用化目標

毎日新聞 2014年04月03日 13時23分(最終更新 04月03日 14時22分)

送信アンテナ(中央)からロボット(手前)に無線送電して動かす実演=京都府宇治市、山田大輔撮影
送信アンテナ(中央)からロボット(手前)に無線送電して動かす実演=京都府宇治市、山田大輔撮影

 三菱重工業は送電距離500メートル、電力10キロワットというこれまでにない世界初のレベルの無線送電に着手。一方で、火力発電所並みの43万キロワットの宇宙発電所を約6000億円で建設する構想も打ち出した。ロケット36機で宇宙へ資材を運び、3年がかりで直径1.25キロの発送電パネルなどと地上に1キロ四方の受信アンテナを設ける。静止軌道に乗せるなら約3万6000キロを無線送電せねばならず、パネルも段ボール並みに薄くし、ロケットも今の半額にしなければならないが、「不可能でない技術進歩の速さで考えた。実現は射程圏内に入った」と主席技師の安間健一さん(48)。

 同じ周波数のマイクロ波は無線LANなどにも使われており、電波干渉の問題があるほか、マイクロ波といえば電子レンジが思い浮かぶだけに人体や環境への影響について心配の声も起きそうだ。京都大の篠原真毅教授(マイクロ波応用工学)は「電波は広がる性質があり、地上に届いた電波は直径数キロのアンテナで集めなければならないほど弱まっている」としつつ、「安全面を含め人々が納得できるデータを積み重ね、温室効果ガスが出ない電源を実現したい」と話す。

最新写真特集