(涼)
コミュニティーソーシャルワーカー。
制度の狭間で救われずに苦しむ孤立や貧困
弟の光良くんさえ出てきてくれればさらに状況は好転するかと。
その声にもならないSOSを見つけ出し地域で支える仕組みを作る仕事です
(沢木)えっ?かわづ公園に住み着いてた男性アパートに不法侵入?
(原)自分のもと居たアパートの部屋に窓から入り込んじゃったみたいで。
まあ…。
(梶田)田子さんの工場の横のアパートの人でしょ?かんかんに怒った大家さんが警察に連絡しようとしたらなんと里見さんの名前が出たって。
(久慈)席の温まる暇もなし。
(新保)せっかく新しい座布団買ったのに。
(源治)もうほんと信じられないよあんた。
誰かのまねしてうちの屋根伝ってさぁ。
前に住んでいた部屋でもねここもう出ていったんだから窓から入ったりしたら不法侵入なんだよ。
(木下)はい…すいません。
(大家)すいませんってあんた…。
すいませんじゃ済まないよ。
もう社長も屋根の持ち主としてなんとかしろよ!何だそりゃ?ほんと…すいません。
どうして戻ろうとしたんですか?いや…。
忘れもんかい?いや…。
木下さん。
まず今夜は私の知り合いのやっているNPOの施設に案内しますね。
それで落ち着いたらまず住まいを探しましょう。
それから一度きちんと病院に診てもらわないとダメ。
顔色悪くなってますよ。
いや私はこれで…。
(まなか)ちょっと木下さん!ちょっと待って下さい!私たちも一緒に戻ります公園まで。
里見さん。
あんたには世話になりました。
(園村)いや〜困ったもんでしてねぇ。
あの辺りは閑静な住宅街ですしね。
皆さんね高額はたいて家建てて住まわれてますから。
ホームレスに居つかれちゃ迷惑千万。
(祐一)自治会長さんですか。
一刻も早くあのホームレスを退去させてほしい。
住民の中にもねいろんな人がいるんですよ。
不満がたまると何が起こっても私には止めきれん。
そもそもあなた区の予算の半分近く使いながらああいう人間1人追い出せないなんてのは福祉の怠慢じゃないんですかね。
第一差し入れなんて言語道断。
(水澤)差し入れ?「CSW」って背中に書いたジャケットを着ている女性たち。
福祉課の課長何の用かな?例のかわづ公園のホームレスの件みたい。
居なくなってる?
(近藤)ええ一度不法侵入で騒ぎになりましてね。
施設へのあっせんしたら姿消しちゃって。
それもまずいですね。
どこかで倒れられて最悪の事態になったら困る。
区外に出てればいいが…ですか?今里見が必死に捜してます。
近藤さん。
ひとつだけ申しておきますが社協のやり方は甘い。
甘い?とにかく里見さんにはくれぐれもくぎを刺しておいて下さい。
公園に居つくような余計な世話を焼かないようにと。
誰彼構わず無尽蔵に使えるほど愛も予算もこの世には存在しません。
山倉くん。
君はだいぶ変わったね。
昔新人だった君が僕の下で働いていたころ君こそ里見とそっくりでしたよ。
はっ?あの同じ公園で君のしていた事は今の彼女とうり二つだった。
課長こそ何を恐れているんですか?ありえない。
やっぱり居ないか…。
里見ですけどそっちはどうですか?居ないわ駅にもやっぱり。
この寒空でどこ行っちゃったんだろうね?
(敬子)じゃああの人ずっと無職?私が知ってるのは1年前からだけど。
大昔はほらあれよ何かの職人さんだったって。
(金井)ああそうそう。
長く勤めてた職場を失ってそれからずっと安定した仕事に就けないままって聞いた事あるわ。
それにずっと体が悪いみたいだからそれが心配だわねぇ。
すいません。
ちょっと…。
もしもし。
先輩。
居ました木下さん!えっどこに?
(木下)ほっといてくれ!構わんでくれよ!だからねこういう所に住む事はできないでしょ。
昼間は雨風しのげても夜はまたどこか外に居るんでしょ。
住む所は私たちがしっかり確保するからぜひ私たちに甘えてまず住まいを見つけて下さいよ。
体も悪いし病院に行かないといけないですよ。
あんた何者だい?ほっといてくれと言ってるんだ!そんな目で人を見下ろさんでくれ!いやそんな…。
(近藤)新潟の写真集ねぇ。
木下さん新潟の出身だって聞いた事があります。
そうか故郷の写真か。
ああ…今夜の天気もまるで北国のようになってきたなぁ。
本当にすみません。
お前さんが悪い訳じゃない。
あんなに行政や病院を拒否するなんて何か理由があるんでしょうか?今朝ねここに福祉課の山倉課長が来てさかわづ公園の周りの自治会から彼を退去させろってクレームが入ったらしい。
どうする?この先。
公園から消えたならそれでしかたないのか。
都会の孤立無縁の人…。
打つ手がないか。
やっぱり私かわづ公園に行ってきます。
これから?はい。
なあ里見!これずっとロッカーにあった傘。
バカでかいだろ。
夏祭りの時の特注。
よかったらこれ持ってってその人にあげて。
ありがとう久慈さん!それと…まあ里見なら一番よく知ってると思うけどさ人に言えない事を抱えてる人は多い。
心配される事は重い時もあるよ。
はい。
木下さん。
あったか〜いお芋持ってきたんですよ。
ほっといて下さい。
いらないならいいんです。
私が食べたいから買っただけ。
でもこういう日はこれが一番あったまる!ああ…ちょっと買いすぎちゃったから少しもらってもらえませんか?帰って下さい。
そう言われて帰る訳にはいかない。
あんた!はい。
しつこい。
ええしつこいんです。
やっぱおいしいわ〜!ほくほく!冷めちゃいますよ。
情けない…。
えっ?木下さん。
この間図書館で見てらした写真集故郷ですよね?私もね神戸から出てきたんです15歳の時。
東京はいろんな所から人が集まってくる。
そういう場所だから裏返すと人はここで心を許さない。
でもね私それは間違ってると思うんです。
だって今私たちが住んでるのはこの町なんだから。
ここを故郷だと思ってみんなで助け合って生きていくべき。
そう思うんです。
私はこの町にたくさん助けてもらったから。
だから木下さんも私に何でも相談してね。
東京はいつから?高校出てからだ。
左官の親方についてね…。
40の年まで壁塗り一筋で働いた。
そうですか。
あんた若いから知らんだろうがあのころは東京あちこちコンクリートの建物が増えて左官の仕事は引く手あまたでね。
親方には俺も腕がいいって褒められもした。
日本の成長を支えたんですね。
そんなすごいもんじゃねえ。
一度現場で大けがをしちまって…しばらく休んでた間に会社が潰れた。
俺の腕も結局…思うようには元には戻らんかった。
(木下)他に何の取り柄もねえんだ俺。
あれからまともな仕事に就けなくなっちまった。
この間も言ったよね。
頼むから出てってほしいんだけど。
何度も言わせんなよおっさん!何なんですか?あなたたち。
はっ?何ですか?あんたこそ。
おいおいおい!何だよじじい。
家もねえくせにこんな美人と何してんの?ここは公園なんすよ。
寝泊まりするとこじゃないって何度もみんなで言ってんの!そういう事はきちんと…。
ちょっと引っ込んでてあんた。
俺たちはこんなに一生懸命働いてるってのに何だこれ?人生捨てたんなら人に甘えるなって。
家族が泣いてるぞ。
家族なんかいねえ!ほっといてくれ!ほっとけ!木下さん。
やめて!やめて!俺に…俺に構うな〜!やめろ!山倉課長!がん?うん。
まだもっと詳しく検査をしないと分からんけど胃がんが疑われるな。
このまま出血を放っておくとかなりまずいね。
(医師)あの人家族は?聞いてません。
縁のある人はいないかもしれません。
手術するとなるとうちとしても保証人がいないとね。
ああいう無職の方だから。
分かっています。
どうかよろしくお願いします。
死ぬなよ…。
ともかくどうにか縁のある人を捜そう。
このままじゃな…。
大丈夫でした?課長は。
大丈夫だ。
かえって心配かけてしまったな。
とんでもないです。
ありがとうございました。
課長がいらっしゃらなかったらどうなってたか分かりません。
寄り添い支援というのは一人の人生に深入りする事とは違うんじゃないのか?君に一体何ができるっていうんだ。
木下さんは左官さんだったんです。
たくさんのビルや家の壁を塗ってきた。
東京をつくってきた。
でも社会はいっぺん外れた彼を救う事はできなかった。
最後は…最後だけでも木下さんらしい人生の誇りをもう一度感じてほしい。
かなり悪いのか?はい。
ホームレスを支えているNPOの中にはみとりをやっている所もあるから調べておこう。
簡単に人の人生を救えるなどと思わない方がいい。
なぜいつもそういう事をおっしゃるんですか?そういう事?人を突き放すようなそういう言葉。
僕はね…過去に1人人を殺してるんだよ。
(幸子)帰ってたんだ。
心配しちゃったわよ。
雪降ってきちゃうし社協に電話しても誰も居ないしあんた携帯も出ないし。
ごめん。
あんたの仕事はすばらしい仕事だと思うけどでも気を付けてよ体だけは。
分かってる。
あんたにだけは元気でいてもらわないとね。
母さん…。
この間あんたは来られなかったけど神戸に行った時ね母さん急に思い出した事があるの。
光が生まれた日あの人…あんたたちの父さんねこんな事言ったの。
「光は息子だからこの工場継がせる。
でも本当は涼の方が経営者の才能がありそうな気がする。
だから涼にはこの工場の隣に住まわせて光の仕事を見張らせる」。
5歳のあんたを買いかぶったもんだわね。
(幸子)もしも震災さえなかったら工場だけでも残してあの人の夢かなえられたのに…。
あっ…いけないいけない。
ほんと冬になると母さんダメだねぇ。
年取ると思い出が多すぎるんだわ。
母さん…。
(一郎)おうどうした?ううん。
じいちゃんまだ仕事してたんだ。
ああちょっと心配なもんでな。
これフード付きのお気に入りのコートをまだ受け取りにこんばあさんがいるんだよ。
独り暮らしだ。
こんな寒い毎日に心配でな。
これがなきゃ外出もできんだろ。
そうだね。
やっぱり行ってみるかなぁ。
えっ?おせっかいかね?ううん。
手紙?木下さんの?ええ彼の居た部屋から出てきたんだよ。
あの部屋なかなか借り手が見つからないからさ畳替えようと思ったらこんなのが出てきた畳の下から。
これは…。
何かさ妹らしいんだわ。
「兄さん」って書いてある。
妹さん?
(大家)この前ももしかするとこれ捜してたんだろうか?目を覚まされてますよ。
木下さん。
迷惑かけました。
何言ってるんですか。
(木下)こんなとこ入っててええんだろうか…。
大丈夫ですよ。
何か必要な事があったら言って下さい。
あとね木下さんの身寄りの方は…。
俺の事は…何も調べんで下さいよ。
頼みます。
木下さん…。
俺を救わんでいいんです。
あの…大家さんがこれ。
アパートにあったって。
ここに置いておきますね。
妹さんがいたんですね。
俺は…情けない男だ。
落ちたまんまはい上がれない恥ずかしい男だ。
仕事をなくして体を壊して…。
こんなざまはねえよ。
分かってくれよあんた…。
小さいころから…ずっと2人だけだった。
和歌子には…あいつにだけは迷惑かけられん。
連絡しなくていいですか?こんな兄がいてどうする…。
あいつの幸せ壊すバカはおらん。
分かりました。
もう言わないね。
じゃあまた明日来ます。
里見さん。
あんた兄弟おるかい?はい…弟が1人。
そうかい。
大事になさい。
木下さん。
やっぱり会おう!妹さんに会おう。
何であんた…。
私はもう会えないの弟に。
でも木下さんは会えるじゃない。
木下さんってば!じゃ…伝えてくれ。
はい!「安心しろ。
俺はもうすぐ死ねる」。
それで君はどうする?本気で伝えに行くのか?型破り今日はどこまで行ったやら。
(客)ごちそうさま。
(和歌子)ありがとうございました。
はい何にしましょう?
(客)月見うどん。
はい。
いらっしゃい。
何にしましょう?じゃきつねうどんを。
はいおいしいですよ。
あったまってってちょうだいね。
月見ときつねお願いします。
(店員)はいよ〜。
あの〜このお祭りって…。
えっ?新潟ですよね?まあよくご存じね。
私の出がそこらなんです。
あの〜大変失礼ですが宮部和歌子さんですか?はい。
実はお兄様…木下和男さんの事でお話があって参りました。
兄…。
あなたどなた?お兄様から伝言を預かった者なんです。
これ…。
これ私の出した手紙。
何で?何でこれ…。
病院に?はい。
がんを患われてましてそう長くはないと…。
何で…何でそんなになるまで私に何も…。
伝言って?さっきおっしゃった。
それは…私が無理にお願いしたようなもので。
言って下さい。
何を聞いても驚きませんよ。
「安心しろ。
わしはもうすぐ死ねる」と。
兄らしい…。
私がここに嫁いで5年もしたころ兄は仕事をなくして。
工事現場でも働いてたんですけど体も壊して…。
その時に借金ができてしまったんです。
それを気にして急に「もうお前の前には現れない。
迷惑はかけない」って居場所も知れなくなってしまった。
私どれだけ捜したか分からない。
一度ようやく見つけた住所にこれ送ったんですけど返事もなかった。
そうだったんですか。
昔ね祭りの時兄と獅子舞2人で踊った事があるんです。
私がまだ小学校に上がるかどうかのほんとにちっちゃいころでした。
兄は私が心配で心配で私の方ばっかり見て。
舞い終わった時褒められたのは私の方でそれでも兄は自分の事のように喜んで。
あの人はそういう人なんです。
病院にご一緒して頂けませんか?兄はそれを望んではいないでしょ。
その伝言で来るなと言ってるんですよ。
そんな事ありません。
木下さん妹さんの話をする時本当に優しい顔されますよ。
兄の望みが私には分かる。
兄はね…兄ははつらつと輝いていたころの自分を私の目に焼き付けててほしいんだと思う。
もしよかったらこう伝えて下さい。
「兄さんのおかげで和歌子は幸せにしております。
どうかどうか大事に」。
そうですか…。
幸せでしたか。
じゃあ保証人は無理でも妹さんがひとつき1万の仕送りをしてくれる事になったんだね。
はい。
苦しい生活の中から貴重なものを。
まあよかった。
課長のおっしゃるとおり分かったふりをして深入りしてはいけないのかもしれませんね。
いろいろな家族の形がある。
離れててもつながってる。
他人には分からない絆もある。
幸せの形はひとつじゃない。
じゃあ福祉はどこを追えばいいのか。
これを届けようと思ってね。
退院したあとの彼の最後の施設の参考に。
えっ?じゃ失礼。
課長。
課長はもしかするとやはり以前こうした案件を…。
10年前私が担当したホームレスが消息を絶って亡くなった。
それこそ私の押しつけた幸せの形が彼をかえって追い詰めてね…。
一人ずつに向き合う事は限りなく難しい。
君だけじゃないよ。
でも…それでも私たちは向き合わないと。
いろいろな形があるならその一人一人に向き合ってその人が本当に望む形を一緒に考えていきたい。
その先にある大きな幸せの花を咲かせる事が本当の福祉。
そう思いますから。
おい里見。
びっくりだよ。
えっ?福祉課の山倉課長がさ新予算にはホームレスのシェルター費用を計上するよう部長に掛け合うと言ってきた。
えっ?何か言ったの?課長に。
どうした風の吹き回しだろうな?よいしょ!よいしょと!これくらいあればとりあえず大丈夫かしらね?あの大家さん役に立ててうれしそうだったわよ〜。
「こんな店舗の2階でいいなら格安でOKだ」って。
最高物件じゃない。
ここならさみんなで集まってお茶でもできるしね。
ほんとほんと。
あんたにはかなわない。
感謝してます。
あんた分かってくれた…俺の事。
俺たち兄妹の事を分かってくれたから…。
俺ね…もう一度きちんと生きてみます。
死ぬまでの日を生きてみる。
木下さん。
ありがとう。
・「HeyBabySoMerry」・「HeyBabySoMerry」・「自分も知らない」・「秘密は言えない」・「キミには分かるの?」・「この不思議のこと」・「ねえFriendDarling」・「今日も眠れない」・「ずっときっと」・「不安でどうしようねぇ」・「絶対割れないキミの」・「ガラスの心を伝う」・「涙色の振動に」・「思わず声が出ちゃうよ」・「HeyBabySoMerry」・「HeyBabySoMerry」・「Iwannaholdyourhand」2014/04/29(火) 01:25〜02:15
NHK総合1・神戸
ドラマ10 サイレント・プア(3)「最後の幸せ」[解][字][再]
涼(深田恭子)はホームレスの木下和男(大地康雄)を生活保護を受けて病院に行くよう説得する。かたくなに拒否する木下だが、その理由はあえて縁を絶った妹の存在だった。
詳細情報
番組内容
ホームレスの木下和男(大地康雄)が、家賃滞納で追い出された元の住居へ不法侵入を図った。涼(深田恭子)は生活保護を受けて病院に行くよう説得するがかたくなに応じない。だが木下は公園で吐血し余命わずかとわかる。木下は優秀な左官だったがケガがきっかけで社会からこぼれ落ち、唯一の肉親である妹(結城しのぶ)ともあえて縁を絶っていた。妹の昔の手紙を取りに不法侵入したと知った涼は何とか妹と連絡をとらせようとする。
出演者
【出演】深田恭子,北村有起哉,桜庭ななみ,山口紗弥加,モロ師岡,田口浩正,坂井真紀,小橋めぐみ,久保酎吉,押元奈緒子,千代將太,横田美紀,市毛良枝,米倉斉加年,山田萌々香,馬渕誉,大地康雄ほか
原作・脚本
【作】相良敦子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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