半月動静なしの北ナンバー2に失脚説

半月動静なしの北ナンバー2に失脚説

 北朝鮮の権力ナンバー2で、軍の最高実力者とされる崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮人民軍総政治局長の動静が途絶えている。一方で、張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑を主導したとされる黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮労働党組織指導部第1副部長が急浮上している。専門家は北朝鮮の軍部内に微妙な変化があったとみている。

■中央軍事委、短間隔で異例の開催

 北朝鮮の朝鮮中央通信は27日、労働党の中央軍事委員会拡大会議が開かれたと伝えた。中央軍事委は金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が委員長を務め、軍内の人事や軍事政策を最終決定する機関。中央軍事委は先月17日にも開かれており、1カ月半の間隔での開催は極めて異例だ。同通信は今回の会議で「組織(人事)問題」が話し合われたと伝えた。

■消えた崔竜海氏

 朝鮮中央通信は同日の会議で、金正恩第1書記が郡内の「政治事業」を強調したと伝えた。言い換えれば、金正恩氏が自身に対する忠誠度など政治的な綱紀問題に言及したことになる。

 軍内で政治的綱紀問題を担当しているのが崔竜海総政治局長だ。しかし、崔竜海氏は先月11日、最高人民会議(国会に相当)の出席者と記念写真を撮影して以降、公の場から姿を消した。今月15日に平壌で開かれた「第1回飛行士大会」や25日の朝鮮人民軍創建82執念記念行事にも出席しなかった。軍内序列トップが軍の創建記念日に姿を見せないのは意外なことだった。

 崔竜海氏が姿を見せない理由をめぐっては、病気説と失脚説がささやかれている。

 まず、糖尿病を患っていた崔竜海氏について、病状が悪化し、金正恩氏が休養と治療を命じたとの説が浮上している。崔竜海氏は今年初めから足を引きずる姿が見られ、健康状態の悪化が見て取れたことが根拠だ。

 また、金正恩氏が張成沢氏処刑以降、権力を拡大している崔竜海氏をけん制するため、粛清に踏み切った可能性もささやかれている。米ジョンズホプキンス大国際関係大学院のデニス・ハルピン研究員は今月24日、外交安全保障分野の専門誌「ナショナル・インタレスト」への寄稿で、「北朝鮮の抗日闘争は、金日成(キム・イルソン)主席よりも(崔竜海氏の父親である)崔賢(チェ・ヒョン)氏が主導した。そうした事実が金正恩氏を刺激し、崔竜海氏の粛清につながる可能性がある」と指摘していた。

 朝鮮中央通信は26日、金正恩氏が朝鮮人民軍第681軍部隊の砲撃・射撃演習を視察し、「部隊の戦闘準備がよくできていない。部隊の党委員会が党の政治事業を実行できていない」と批判したと報じた。軍部隊別に置かれる党委員会を管轄しているのが総政治局長である崔竜海氏だ。

■浮上する黄炳瑞氏

 仮に崔竜海氏が失脚したとすれば、その地位を継承する可能性が最も高いのは黄炳瑞・党組織指導部第1副部長だ。黄炳瑞氏は崔竜海氏が出席しなかった今月15日の第1回飛行士大会で、大将に昇進したことが確認された。

 朝鮮中央通信は27日、金正恩氏の長距離砲兵軍分隊(放射砲隊)視察を報じ、黄炳瑞氏を軍参謀長である李永吉氏よりも先に紹介した。過去に軍関連行事で李永吉氏より先に紹介されていた人物は崔竜海氏だけだった。

 韓国のシンクタンク、世宗研究所のチョン・ソンジャン首席研究委員は「名前が呼ばれる順序からみて、黄炳瑞氏が(崔竜海氏の地位である)総政治局長に任命されたか、その職務を代行していると見るべきだ」と指摘した。これについて、北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は「崔竜海氏は過去にも1カ月姿を消したことがあるため、もう少し見守る必要がある。失脚説が事実かどうかを確認している」と話した。

黄大振(ファン・デジン)記者
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