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米国は松ヤニだが…日本では「ワックス」「ベルト」で不正投球

日刊ゲンダイ 4月27日(日)10時26分配信

 米国を騒がせたピネダ(ヤンキース)の不正投球。メジャーではボールにつばなどの異物をつける「スピットボール」、紙ヤスリなどで傷をつける「スカッフボール」などが横行しているが、日本ではどうなのか。

 最も有名なのは00年にロッテに在籍していたウォーレンだろう。西武の東尾監督(当時)から「ボールに傷をつけている」と指摘され、憤慨。翌日の西武戦前の練習ではグラブにヤスリやカッターなどをつけ、皮肉交じりに抗議をした。

 ヤクルト、ソフトバンクで活躍したガトームソンも、不正投球を疑われた。グラブの中でやたらとボールをこねくり回す姿に疑惑の目が向けられるも、本人は「オレは指が短いから、しっかり握らないといけないんだ」と説明した。

 助っ人ばかりではない。球界OBが言う。
「タイトルを獲得したこともある投手は果物用のワックスを愛用。『これが一番効果があるんだよ』と語っていた。パに在籍していた選手は試合中、水たまりに落ちたボールを交換せずに使うと、驚くほど変化球が曲がったとか。髪の毛にグロスを塗りたくり、マウンドでやたら髪をいじっているのもいた。ある有名投手は、ベルトのバックルでボールに傷をつけていると疑われていた」

 不正投球といっても、メジャーと日本では目的が異なる。メジャー公認球は滑りやすいので、ピネダが松ヤニを使ったように滑り止めにするケースが圧倒的に多い。逆に日本のボールは滑りにくいので、滑り止めの意味がない。その代わり、指や表面を濡らせば「抜いて投げる」フォークやチェンジアップなどの変化球が効果的になる。逆に滑りやすくするのだ。ボールに異物をつければ軌道が不規則になるので、そうした効果を狙った不正投球が主だ。

 評論家の小川邦和氏は「僕が73年に巨人に入団したとき、当時の首脳陣に『研究しろ』と言われたことがある」と、こう言う。

「まともに投げては一軍で通用しないと思われたのかと、がっかりしましたね(笑い)。他に研究した投手もいたようですが、結局、うまくいかず不正な投球はやらなかったです。米国の3Aでプレーしたあと、広島に入団したときも、米国で見聞きしたことを参考にしてスピットボールの練習はした。ボールがすごく落ちて、事情を知らないコーチからは『小川はシンカーが一番いい』などと褒められたが、後ろめたくて試合では投げませんでした」

 生存競争の激しいメジャーやメキシカンリーグでは、「オレは野球で生きていくしかない。バレない限りは何でもしてやる」という選手が少なくない。生活環境からくるハングリー精神というか、筋肉増強剤を含めた薬物使用と根っこは一緒だ。

「不正投球をする日本人は、あからさまに挙動不審になるから疑われる。ルール違反をしているという後ろめたさがあるのではないか」(前出のOB)

 明らかな不正なのだから、「後ろめたい」のは当然。インチキで勝っても価値は半減だ。

最終更新:4月27日(日)10時26分

日刊ゲンダイ

 

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