さわやか自然百景「吉野川上流 春」 2014.04.28

(テーマ音楽)深い谷が続く四国吉野川の上流。
激しい流れは巨大な岩を削り荒々しい断崖が続く独特の景観をつくり上げています。
4月。
木々が次々と花を咲かせ険しい渓谷を彩ります。
速い流れにはたくましい生き物たちの姿。
春。
多くの命が輝く吉野川の上流を訪ねます。
四国有数の大河吉野川。
全長およそ200km。
紀伊水道へと注ぐこの川は四国山地に源を発します。
河口から100kmほど遡った徳島県の西の端。
吉野川の上流は険しい山あいを縫うように流れます。
山々を削って出来たV字型の深い渓谷。
川岸には大きな岩が目立ちます。
複雑な地形の断崖が長さ8kmほども続く…断崖を意味する古い言葉「ほき」や「ほけ」からその名が付けられたとも言われています。
不思議な形をした岩や石。
こうした自然の造形は長い歳月をかけて急流が生み出したものです。
この白い岩。
太古の地殻変動で出来た硬い…険しい断崖が続く吉野川の上流。
ユニークな形や模様の岩は今もその姿を変え続けています。
(鳥のさえずり)斜面の森でひときわ目立つのは…他の木々より少し早く花を咲かせ渓谷に彩りを添えます。
水辺を飛び回る鳥がいます。
急流に飛び込み再び岩の上へ。
頻繁に獲物を探し回ります。
たくさんの落ち葉が積もった川の底。
ここには水生昆虫が住んでいます。
葉の下にいたのはカゲロウの幼虫。
羽化に備えて大きく成長しています。
カワガラスは他の鳥より早く子育ての時期を迎えます。
せわしなく動き回りヒナのために水生昆虫をせっせと集めています。
まだ冷たい水の中。
岩陰に魚の姿。
体の赤い斑点が特徴の…海に下らず川で一生を過ごすサツキマスをそう呼びます。
次第に春めいてきた吉野川上流。
日当たりの良い斜面ではフクジュソウが黄色い花を咲かせます。
湿った崖で咲くかれんな花は…四国でも限られた場所でしか見る事ができません。
渓谷沿いに広がる森。
ニホンザルが姿を見せました。
木の新芽や若葉などの食べ物を探しに出てきたようです。
まだ胸元は長い冬毛に覆われています。
急な崖を歩いているのは…生え始めたばかりの草を食べています。
吉野川の上流に本格的な春が近づいています。
天候が変わりやすい季節。
春の嵐が渓谷に吹き荒れます。
(雨と川の音)翌日。
大雨は山からの土砂を押し流し川を濁流に変えました。
水位が増し川は渦を巻いて一気に流れ下ります。
春の嵐から1週間。
川は元の澄んだ流れを取り戻しました。
サクラが満開の時期を迎えています。
ヒヨドリが花の蜜を盛んになめています。
こちらは花の色が少し赤みがかった…かつての徳島藩主蜂須賀家にちなんで名付けられました。
ソメイヨシノに比べて開花が早く長い期間花を咲かせます。
川岸で薄紫色の花が咲いています。
岩の割れ目にしっかりと根を張り急流でたくましく生きています。
キシツツジの花は渓谷に本格的な春の訪れを告げます。
川の水面から白い小さなものが舞い上がって見えます。
水生昆虫が羽化を始めたのです。
羽化の途中で急流に飲み込まれるたくさんの虫たち。
それを水中から狙うのがアマゴです。
流れが少し緩む縁にとどまり流されてきた昆虫を捕まえます。
こちらの浅瀬には魚が群れています。
ウグイです。
昆虫やコケなどを食べて近づく繁殖期に備えます。
速い流れは渓流の魚に多くの恵みをもたらしています。
春を迎えた渓谷の岩場。
カワガラスが子供を連れています。
巣立ったあともしばらくの間親から食べ物をもらいます。
やがてこの急流で独り立ちをし生きていかなければなりません。
急流に飛び込んだ親鳥。
子供は急な流れにちゅうちょしています。
流れの緩やかな水辺を選び恐る恐る水に入ったり出たり。
こうした経験を繰り返す事で独り立ちしていくのです。
急流でカワガラスはたくましく育っていきます。
水辺では羽化する水生昆虫が日に日に増えていきます。
口いっぱいに虫をくわえた…巣で待つヒナのために一度にたくさんの虫を運びます。
鮮やかな夏羽に変わった…渓流の水音に負けないよう大きな声で縄張りを主張します。
ソメイヨシノは満開の時期を過ぎ青葉が目立つようになりました。
渓谷は淡い緑の若葉が目立ち始め日一日と緑の色を濃くしています。
本格的な春を迎えた四国吉野川上流。
新たな命の営みが次々と始まっていきます。
2014/04/28(月) 15:41〜15:56
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「吉野川上流 春」[字]

四国の大河、吉野川。上流は険しい四国山地を縫って流れ、大歩危・小歩危などの渓谷が続く。植物が花を咲かせる春、水温む吉野川で活発に動き出す生きものたちを見つめる。

詳細情報
番組内容
高知県を源に紀伊水道に注ぐ大河・吉野川。その上流は険しい四国山地を削り、深いV字谷を作って「大歩危・小歩危(おおぼけ・こぼけ)」などの渓谷が続く。春、水ぬるむころ、渓流の魚・アマゴが姿を見せ始める。陽気に誘われて、ニホンカモシカやニホンザルが山の斜面に姿を見せる。野鳥は活発に動き回り、カワガラスは早くも子育てに追われる。吉野川上流の雄大な渓谷を舞台に、活発に動き回る生きものたちの営みを見つめる。
出演者
【語り】森山春香

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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