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(米田警部)最近駐車違反が増えてかなわんですわ!はい書類送検どっさり!
(榊田警部補)あれ?今度は鳥の模型作りですか?
(柊茂)バードカーヴィングというんだ。
あぁ吉沢事務官もやっとるやつですな。
あれはバードウォッチング!女子どものもんだで。
これは彫刻。
男の趣味…。
力がいるでよ。
すまんがちょっとお茶淹れてちょ。
あれ?吉沢君休みですか?年休取っとる。
バードウォッチングツアーだと。
大の男がバードウォッチングツアー?軟弱者だで〜!吉沢君女知らんのじゃないすかね?
(米田)嫁の世話してやんなさいよ検事さん!ハハハ…!いや〜恋愛も出来んのに結婚なんて無理無理…!
(笑い声)おみゃあさんよぅかみさんに逃げられて何年になる?あら?忘れました…。
結婚に希望は持てんのでねぇかな?目の前の実例見とると。
目の前の実例って誰のことですか?赤かぶさんの自己反省ですよ!ハハハ…!こくじゃにゃー!おみゃあさんたちのことだわ!
(くしゃみ)
(吉沢事務官)赤かぶさん…違うなぁ…。
(くしゃみ)米田さん…も違うなぁ…。
(くしゃみ)榊田さん…は問題外だしな。
(3人のくしゃみ)わしらの噂しとるヤツがおるでよ。
仲人なんて柄じゃないなぁあのおじさんたち…。
あのおじさんたちことごとく結婚の失敗者って感じだもの。
(霧子)うざったいよね…結納とか仲人とか。
いっそ駆け落ちしようか。
それは過激すぎる!僕検察事務官だよ司法官だよ?よっし!今日はツーショット撮りまくって親に見せてステディーな関係だってバッチリ納得させたる!いっそ一泊しよっか?過激すぎない?
(霧子)「あなたと呼べば〜」
(吉沢)「あなたと」
(霧子)「答える〜」
(霧子)「山のこだまのいとしさよ〜」「あなた」「何〜んだい?」
(2人)「空は青空2人は若い〜」
(霧子)はいいい顔!よしっ!今度あっちあっち!はい…もうちょい左…。
もっともっと…。
そうそうそう…。
うわぁ!
(霧子)何やってんの〜?あ…!な〜にやってんのよぅも〜!
(パトカーのサイレン)何だ…第一発見者ってのはおみゃあさんたちきゃ?吉沢君…すみに置けませんなぁ。
妹?行きずりの人?失礼なこと言わないでください。
あたしたち婚約してるんです。
婚約…婚約って婚約きゃ…?いつ!?そりゃめでてゃ〜ことじゃにゃ〜の!あの喜んで仲人させてもらうでよ。
検事さんそんなことよりお仕事。
あ?
(吉沢)お仕事…。
あそうだそうだ…。
(写真を撮る音)この…白塗ってあるのは何だぁの?
(警察医)生石灰ですな。
後頭部に打撲による挫傷。
胸部に心臓に達する刺傷。
はっきりと他殺です。
身元確認急いでちょよ。
手間取るかもしれませんね…。
は…!?顔両手両耳がひどく損傷しております。
生石灰でそんなになるもんきゃ?強酸を混ぜたものと思われます。
難事件になりそうだ…。
赤かぶ検事の勘でした
あたりでした。
それは赤かぶ検事一家も巻き込む事件になってゆくのです…
(柊春子)そうきゃ吉沢さんもやっと結婚きゃ!めでてゃあめでてゃあ。
仲人の支度すぐかかってちょーよ。
急がんと間に合わんぞ!樽入れ結納。
(柊葉子)相変わらず古式ゆかしき高山方式よね。
もうゆかしすぎてあたしなんかテンポ合わないもんね…。
(柊正男)いやいや…姉ちゃんに合う男いないよね。
ちょっと何よ正男うるさいわね!
(柊誠二)皆強すぎて逃げちゃう。
何で2人でそうやって…!
(春子)し〜ずかにしやぁせ!おみゃあさん…仲人引きで考えてちょうせいよ?もう考えた。
バードカーヴィング。
尾長のサイン入り特別スペシャル。
お父さんそれアイディアグー!グーだかパーだか知らんけどそんなもんでええの?こうつっと…おみゃあさんは紋付羽織袴に私は黒の留め袖…。
あぁ仕立て直さんとサイズがなぁも〜…!尻も根性も太うなったでな。
(葉子・正男・誠二)ハハハ…!
(『LOVEマシーン』の着メロ)誰のでゃ?…あわしのでゃ!
(一同)え〜!?どこだ!?あ〜背広の中!洋服ダンス!モー娘。
?モー娘。
だよ…。
あ検事さん…あの乗鞍の死体…。
身元割れました。
なんとご同業で。
名古屋城南署刑事課長早川宣和48歳。
えっ!?早川君が…!?知っとるも何も…わし名古屋時代に官舎が近うて家族ぐるみのお付き合いだったで。
2週間前から無断欠勤。
自宅へも寄り付かなかったそうだ。
こりゃあ何か暗〜い裏がありそうですぜ。
やりにくいですよ内部捜査は。
しんどい仕事になります。
ともかく名古屋行きですな。
明日行こう…。
向こうに連絡しといてちょ。
つい20日前…早川警部の妻千寿がハードな相談に来たばかりです。
…離婚の
離婚…?穏やかでにゃ〜ぎゃ。
ずっと連れ添ったご亭主とあんた…。
(早川千寿)でも…もう限界です!限界というと…?…主人の借金です。
あたし今内職とパートで稼いでやっと月10万ずつ返してます。
月に10万…!どえらげもにゃあ!それ全部ご亭主の借金きゃあも?とても仕事熱心な人で部下の人たちにお酒のませたり食事させたり…捜査費用を足してあげたり…。
でもそれはいいんです!男は仕事ですからかかるお金も借金のやりくりで何とかなります。
でも…今度ばかりはやりくりのつかない額でした…。
500万…。
500万!?飲み食いと捜査費だけでそんなに!?いえ…。
元部下の会計係長をしている警部補さんが使い込みをして何とか助けてやりたいと…。
何でそこまでやるんきゃあも?その部下が月々返済すりゃあええでないの。
そう言ったんですが…。
早川さんが殺されたんあの件と何かかかわりが…?憶測はやめやぁ。
明日名古屋へ行ってお線香上げてくる。
香典包んどいてちょうよ。
あの生石灰で塗り固められた死体が警察官だったとは…
しかも昔は近所付き合いしていた仲の…

(愛知県警課長)県警では早川君を懲戒免職相当という見解です。
懲戒免職…?彼の強引な捜査はかねがね問題になってまして。
殺される前に担当した事件では違法捜査にまで踏み込んでたようです。
できるだけ詳しく話してちょ。
城南署の諸君からどうぞ。
(城南署刑事)犯罪だとわかっていながら罰せられないのが絶対許せないそんな人でした…。
血の熱い人だった!…んですよ。
(岡島刑事)仕事熱心で部下思いで捜査費いつも助けてくれまして。
生活費も…。
私女房入院した時なんか入院費を!事件のこと話したまえ!事件のことを!まぁまぁそう固ならんで。
な…。
できるだけ細かいとこを詳しく話して聞かせてちょ。
及川鉄三という土建業者を検挙起訴した事件です。
及川はかなり大手の土建屋ですが工事は下請けに丸投げして値切り倒すわ手抜きさせるわ…。
手抜きが問題になると下請けに押し付ける。
クレームには政治力や暴力で圧力をかけるという悪辣なヤツでした。
早川警部にとって決して許せないタイプです。
(及川鉄三)オイ早川!オメェみたいな小者にこの俺がパクれるか!やるならもっと腹据えてかかってこいやぁ!だちかんや〜。
なめとんのか!?及川!帰れ!離せ!離せこの…!
(早川宣和)貴様はなぁ!必ず逮捕してやる起訴してやる!年貢をキッチリ納めさせてやるー!!このままじゃ警察の面目が立たん被害者にもすまん…!この早川警部の執念が1年後に実ります。
及川が施工するはずだったある公共事業が突如キャンセルされたんです。
ほぅ…。
裏で早川警部が「及川みたいな悪徳業者に何させる!?」「賄賂もらってるんじゃないのか!?捜査入れるぞ!」と締め付けたんですね…。
当然及川はその役所へねじ込んで来た…。
(及川)何とか言え!オイッ!?俺んとこへ仕事どうしてもくれんのか…?あ?闇夜の晩に一人歩きできんぞ!あぁ!?海に沈んでもええのか!?及川鉄三…。
恐喝現行犯で逮捕する。
なぁに…?ヘヘヘ…。
何を根拠に…。
俺がいつ恐喝した?証拠はどこにある?「闇夜の晩に一人歩きできんぞあぁ!?海に沈んでもええのか!?」何だこれ…。
生命身体に対する害悪の告知それが恐喝罪だ。
立派な現行犯だろがぁ!ハメたなこの野郎…!及川…!現行犯では逃れ様もなくそして逮捕されたのがわかると被害者が続々名乗り出てついに起訴になりました。
見事なもんじゃにゃ〜の?そんなヤツ相手だとそれくらいの裏技は必要だわ。
しかし早川君はですなこのネタを掴むために及川鉄三の情婦に接近したんです。
へぇ…。
情婦というと…?栄のクラブ「奈加」のママです。
小野奈加子…。
接近言うてもいろいろあるでよ…。
警察官であることを隠し客として接近。
かなり捜査費というか…金をつぎ込んだ。
金を貢いで情を通じたつまり肉体関係もあったようだ。
これは違法捜査です。
しかしあの…クラブのママに貢ぐなんて我々の給料ではしたくてもできないですよね…?借金でだよ!懲戒免職当然だよ。
懲戒は捜査が終わるまでもうちょっと待ってちょ。
及川鉄三はどうなっとるんだ?怨恨の線で動機は十分だがよ。
早川君殺す…。
それは無理です。
及川鉄三は早川君殺害事件の2週間前に死亡したんです。
死亡した…及川がきゃ?起訴後保釈になりましたが発病して病院へ通院治療中公判前に脳出血で死亡しました。
(ヘリコプターの音)あそうだ…。
早川君の借金という別の線があるでよ。
部下のために500万円借りたと聞いとるんだがよ?500万!?そんな大金!そんな借金誰もしてないですよ!いや以前部下だった会計係長が使い込みをしたで貸してやったと奥さん言うとらせた…。
おみゃあさんら何も知らんのけ?会計係長というと…森宮警部補だな。
えぇ…。
昨年病死してます。
後任との引き継ぎも問題なかったです。
不正なんてありえません。
何かの間違いです。
例の女に使ったんじゃないですか?奥さんには嘘をついてたんでしょう。
今度の件はわしの管轄だでできるだけ早う犯人検挙して早川君の霊を慰めたいと思ってます…。
仕事一筋の人でしたから…。
今回のことは殉職だと思います。
本人も…本望でしょう。
息子さん…確か一浪中でしたなぁも。
まこんなこと言って失礼ですが生活の方もできる限り力にならせていただきますで…。
はい。
幸いあたしパートから本採用になりそうなんです。
病院の病理検査の。
あ〜…!そういや奥さん昔鑑識技官でしたなぁも。
そりゃあ良かった!しかし500万の借金は大変でしょう…。
えぇ…。
でも少しずつ何とか…。
ただあの借金ですがなぁも…。
どうも早川君の言っとるようではにゃーですよ。
元の部下の使い込みなんかはなかった…。
どういうことでしょうかなぁも。
…でも!主人はそう申してました。
使い道…何か他に見当つきませんきゃ?捜査のため…じゃないでしょうか?よくわかりません。
死ぬまではずっと家に帰ってませんでしたし…。
いいえ!それに捜査に入るとろくに家に帰ってきませんでしたしね。
互いに重荷でした…。
主人のことは早く忘れて息子と出直します!奥さんによろしくお伝えください。
あぁ。
あ…乗鞍ですきゃ?息子が…山好きなものですから。
あぁ。
では失礼します。

(カラオケ)
(小野奈加子)いつもどうも…。
ママいつも綺麗だね。
いらっしゃいませ奈加子でございます。
名古屋の刑事さんに全部申し上げましたけど?あ〜いやいや…高山の者として一度問題の美女に会うとかないかんと思いましてなぁも。
問題の…?あら何だか怖いわぁ。
いやいや怖いのはおみゃあさんの方だわ。
綺麗な花には刺があるんでハハハ…。
男たぶらかして貢がせたりして…。
い〜え私などいつもお客様のお力にすがって生きてる弱いお商売でございますわよ。
はいはい…。
だがよ…500万貢君をしたという知り合いの者がおるんだがよ…。
お客様のご好意は全てお受けしております。
お断りしたら失礼ですし。
ハハハ…。
あ…ちょっと失礼…。
あぁはいはい。
綺麗な女ですね。
逃げたかも…わからんでよ。
んなことないですよ。
綺麗な人は嘘つかない。
ビールお持ちしましょうか?あもう一本くれる?はい。
ママどうしたの?今日はもう店には戻らないそうです。
へっ!?ほりゃあ!しっかしおめぇさん本格的に女がわかっとらんな。
先行くでよ。
あいや…赤かぶさん…。
さっさと勘定済ませてきぃや!いやいやそんな…!ツケといて!いいマンションに住んでますね!貢君接待用だ。
(チャイム)はい…。
しつこく追っかけるのね。
あ!逃げる者は追っかけるのが習性でよ。
逃げたんじゃありません。
営業に出ましたの。
あぁ…。
早川君も…ここへ引きずり込んだわけきゃ?お客様のことについては一切ノーコメント。
殺人事件だよ。
重要参考人として来て貰うことになるかもしれんよ。
その時は差し障りない限りお答えしますわ。
じゃ今答えても同じだぎゃー。
早川警部を殺したのは及川の手下やくざという疑いもある。
何ぞ聞いとりゃせんか?全く存じません。
お店は楽しい会話の場。
噂話など致しません。
いやいや店でのうてここよ。
…及川も来る。
早川君も来たんでねぇか?さぁ…記憶にございません。
…失礼。
もういいでしょう?あたしまだ眠いんです。
あ…。
あ…この人…!来てたんですねよく?えぇ。
こんなことになるまで毎晩。
…毎晩?ほんで奥さんが追っかけて来てよもめて…。
こりゃろくなことになりゃせんと思っとった。
うん。
奥さんが来た?うん。
あの…それを詳しく…。
後は直に聞いてちょ。
告げ口になるといかんで…。
じゃ。
あ…。
早川さんの奥さんが来てたんですねぇ…。
小野奈加子ってしたたかな女ですね。
水商売のプロですね。
ん…?うん…。
モノにした男からは搾れるだけ搾る。
そんな女が金の卵を産むニワトリシメますかねぇ…?早川さん職務忘れて入れ込んでたんじゃないですか?500万…いやもっと貢いでたとするとそれ殺す理由ないですよ。
あの…何か動機ないですよね。
…ほんで?早川さん家に帰らなかったのは奈加子んところに入り浸ってたんじゃないですか?それを奥さんが知ったとしたら…。
奥さんがやったというのきゃ?
そして乗鞍での聞き込みがローラー作戦で展開され…
一方名古屋では生石灰の大量購入者を洗い出す聞き込みが肥料店や薬品問屋対象に展開されました

(吉沢の鼻歌)吉沢君。
はい。
おみゃあさん何やっとんでゃ?あ…へへへ…。
最近おみゃあさん変化の兆しが顕著だがよ。
すでに尻に敷かれつつあるきゃ…。
いや…心苦しいんですよ。
今乗鞍殺人事件難しいところなのに…。
あ〜…。
ま今日あたり聞き込みの結果が出揃う。
後は結婚式直前の花婿花嫁のように無垢な心で様々な要因を比較検討…そういえばお前さん8月6日だったな結納なぁ?あ…えぇ…。
(西山刑事)失礼します。
おぉ!どうだった?早川千寿が死亡推定時刻の翌朝に6軒の肥料店と薬剤店から生石灰と硝酸を分割購入してます。
写真で確認しました。
死亡推定時刻の翌日に早川千寿は乗鞍の畳平に車で入ってます!目撃者ありです!
(米田)早川千寿直ちに事情聴取ですな!そして家宅捜査!殺害場所!死体処理場所!そして凶器を発見せにゃなりませんな!参考人として任意でまず聴取。
死体遺棄につきな。
殺人につきではなく?証拠のあるところからまずやっていこう…な。
夫婦関係っちゅうのはなかなか底の深いもんだで…。
なぁ経験者諸君。
ど〜もしっくりこん…。
あたしもしっくりこん。
千寿さんがご主人殺すなんて…。
あんなふうにして埋めるなんて…。
どうしても信じられんのだわ。
人間の心の闇っちゅうのは深うて謎に満ちとるもんだでまして夫婦となると他人より憎くなる事もあるかもしれん。
千寿さんが早川さんを殺した言うんきゃ?そこがしっくりこん…。

事情聴取に対して早川千寿は何ひとつ答えませんでした
姓名年齢住所さえ…。
いわゆる黙秘権行使です
高山署は重要参考人として留置取調べに切り替えました
(アナウンス)「松野巡査部長松野巡査部長至急会議室までお越しください」のんびりしとって大丈夫なのきゃお前さんら〜!何を考えとるのかわかりませんなぁ…。
なぜ黙秘するんでしょうか?隠してぇことが何ぞあるんだ。
そこを掘り当てんとこの事件は見えてこん!行ってきます!…どこ行くんでゃ?黙秘する…いうことは何かを隠したいとか誰かをかばいたいとかま大概どっちかだわなぁも…。
奥さんの場合夫のためにということですきゃ?まぁひとつ…奥さんご亭主の死体を隠すだけでなく早いとこ消してしまいたかったようだがなぁも。
どうしてですきゃ?そうしなければならんという強い意志がお前さんにはあるように思うんだがよ?それは…最悪死体遺棄という罪を背負ってでもですきゃ?つらいことだとは思うんですが助けたいと思っとんだわしはおみゃあさんのことわしだけじゃなくみんな。
言ってみてちょ。
言えることからだけでええから言うてみてちょ!
(扉の開く音)
(米田)検事さん…。
おみゃあさんが早川さんを殺しとらん限り…1億円という保険金が手に入る。
早川さん保険かけとったんだ。
受取人は早川千寿。
おみゃあさんだわ。
知らなんだのきゃ…?
(嗚咽)話してちょうだい!「ふぇ〜ん」と泣き出した時はこれで落ちると思うたが。
落ちるってどう?早川君に保険金かけて殺したと?いや〜そこはまだつめてみんと…。
だけど夫殺しの動機ははっきり出たんじゃないですか?夫の浮気金遣いの荒さそれに対抗して殺して保険金を取った。
逮捕状取れますよ!んにゃ…まんだ取れん。
あっちの女の方はどうなっとるんだ?名古屋の連中張り込みやってくれとんのだろ?はい…。
相変わらず隣近所の口がうるさいようですね。
実際そう男出入りはないそうです。
それと妙な噂が立ってるんですが…。
お化けを見たっていうんです。
…お化け?誰の?さぁ…。

(春子)あ!葉子!ちょっとこれ…!後ろ…!春子!ネクタイがない!ネクタイが!ちょっとお母さん動かないでよ。
(春子)ここここ…!
(正男)ねぇ姉ちゃん弁当弁当!何で今言うの!ちょっと自分のご飯ぐらい自分で面倒見てよ…!
(正男)無理だよ…!ベルトはベルト…。
(葉子)うるさい!タクシーはまだかタクシーは!
(誠二)もぅ腹減った!試合に負けちゃうよ!訴えるぞ!これじゃ間に合わんでよ!自転車で行くで!急ぎゃー春子!こんにちは…はい。
えー本日はお日柄も良く結構な結納の品々とりそろえていただき末永く納めさせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
(祝詞)あ…間に合ってよかった。
冷や汗かいた。
検事さんもう汗だらけ。
息戻ってない。
あぁ…。
でも誠実だね。
仲人頼んで良かった。
うん。
結婚の失敗者とも言い切れないみたいだし。
あぁ冷や汗かいたで…。
そろそろ名古屋行きの時間だで。
あぁそうでした!おみゃあさん。
後は宴会だで私に任せといてちょ。
おみゃあさんは千寿さんのために頑張ってちょーよ。
あの人は絶対無実だでね!検察官の職務に雑音入れんでちょーよ!
(女の悲鳴)何を大きい声を出して…。
どうしやぁた?警察の人かね?くだらんこと言っとるんだわうちのが。
くだらんことであらんすか!私はっきり見たんだわ!見たって何をですきゃ?お化け。
幽霊だわ!幽霊って誰のですきゃ?目が悪くて頭もボケとるんだわ。
い〜や!はっきり見たんだわ!あの人隣来とった人!隣…早川さ…あの奥さんがみえて揉めとったかっていう…。
いやほれ…。
あのそれより前に来とった…。
それより前…及川…!あの派手なシャツ着た土建屋風の男ですきゃ?うんその人!あれ死んだんだがね病気で!新聞に出とった。
裁判の始まる前に死んだんだわ。
ほんだで幽霊なんだわ!あ?ここ2〜3日しょっちゅう見るんだわな!いっつも裏口から…。
(チャイム)
(チャイム)はい…。
え…?また…?あ…。
おみゃあさん身体の具合も悪そうでにゃあが何ぞ家におらないかんわけでもあるのきゃ?これからお店に出るんです。
あぁ…。
で何?あいやいや…。
何か毎晩怪しい人影が出入りしとるらしいんでよ危険がにゃーかと…!ありがとう。
用心するわ。
いやいや…!用心だったら専門家に任せなさい!見てあげるでよ!いやこの辺の人もみんな心配しとるで…ねぇ!あ…じゃ失礼しますで…。
あ〜立派な部屋に住んどるでにゃーの…。
台所きゃ?すっきりしとるわなーの。
おみゃあさんあんまり料理しそうもないわなぁ。
あぁここベランダきゃ?あぁ…。
ここは出入りしようと思うとやれんことはないわなぁも。
おみゃあさん入居してここ何年ぐらいになりやす?え…?あ…6年かしら?ほ〜。
この壁紙なんかは新しく張り替えたのきゃ?そういやカーペットもおニューだなぁも。
綺麗にしとかないとお客様が来ますからね。
は〜。
及川鉄三もきゃ?お客様についてはノーコメント。
この前も言ったはずよ。
幽霊が出るらしいんだわ…。
見た人がおるんだがよ。
及川の幽霊だがよ。
あ…馬鹿馬鹿しい…。
さ見たでしょ?帰って。
あたし店に出るんですから。
支度しますから。
こりゃどうも…。
何覗いてんのよ!スケベ!警察呼ぶわよ!あなた検事さんだったわよね…。
もう帰ってよ!寝室ですきゃ…。
(咳払い)あ…こりゃ失礼。
今行きますで。
安川村神明神社…?これ確か奥穂高の…。
おみゃあさんの故郷ですきゃ?どうだっていいでしょそんなこと。
あ…いや…これは失礼しましたで…。
何なのよ!?あんた待ちなさい!
(早川武男)母を助けろ。
…どういう意味?母は父を殺してない。
殺したのはあんただ!お母さんがそう言ってるの?…母は黙ってる。
面会してくれないし無理に面会してもただ黙ってる。
多分父のためにだ。
俺は父のことなんかどうでもいい!母を助けたい!あんた卑怯だ!母が黙ってるのをいいことにとぼけてる!とぼけてる…!?あたし…あたしお母さんの気持ちわかるから…だからあたしもお父さんのために黙ってようって…!嘘だ!あんたみたいな女にそんなこと言わせん!来い…!警察へ一緒に来い!いや!いやぁー!やめてぇ!
(米田)あどうもどうも。
そっちです。
待ってくださいよー。
…あー!
(西山)あどうも!及川鉄三の死亡状況疑問だらけですわ…。
死亡診断書は名古屋市の病院から出てます。
しかし及川は保釈後確かに入院して胃潰瘍の治療を受けてますがすぐに退院してるんですよ。
ほきゃー…。
胃がんでは死んでない。
死亡診断書も出るわけがないんですよ!つまり入院している時に死亡診断書用紙を盗みこっそり公印も押して偽造したんではないかと…。
あの…死亡届は妹の名前で出てます。
あの戸籍係は死亡診断書さえ付いてりゃいちいち病院へは確かめません。
すぐ受理しますよ。
(警官)検事さん!6月10日許可をもらって葬式なしで埋葬したそうです。
妹さんだけが立ち会われて。
確かにその人妹さんでしたかなぁも?
(住職)あ…及川のところは30年前一家でここから出ていきよりましたで…顔は覚えとらんのですわ。
サングラスかけとりましたし。
この人じゃにゃーですか?あぁ!似とりますわ!さすが赤かぶさん!いい勘してますね!つまらんお世辞いうんじゃにゃー。
すいません…。
ところであの絵馬だがよこのあたりのもんですきゃ?はぁそうです。
いやどうもお手数をかけました。
あれと同じ絵馬がよ…あの女のマンションにあったんだわ…。
つまりあの女が及川と組んで及川は死んだことにしてから早川警部を殺したんだわ!しかしそれ…直接証拠がなけりゃ幽霊は指名手配できませんよ。
ところがよ…土葬にしとるんだわ。
ま墓掘り返してみりゃ何ぞわかるで。
…榊田君。
はい!おみゃあさんの出番だ!はいオッケーオッケー…はいよーいしょ…。
はい頑張って!はいやれ早く!榊田君君も掘らんかい!う〜ん…。
早くやってくださいよ…!よーしよしよし…もう開けられるんじゃないか?うわぁ〜!!あ!お…お…及川鉄三です!入ってるはずがにゃーが!待て待てよく調べろ!はい!あ…?2か月前に埋めたにしちゃ死体が新しくないか!?血がにじんでます!あ…棺桶も開けた跡がありますね。
しかもごく最近です。
ごちゃごちゃ言うとらんとさっさと鑑識呼んでちょ!はい!
全く意外な展開でした
直ちに検死が行われ及川の死亡は3日前死因は背中から刺されたためとわかりました
2か月前の砂袋を詰めた偽の埋葬の棺桶へ3日前に殺された及川をまた誰かが密かに埋めたということになります
ここが早川宣和殺害現場の疑いがあるで捜査するでよ。
この新しいなっとる壁紙のところ剥がしてみてちょ。
(警官)はい!それからカーペットも新しいなっとるでどっかにあるはずだで…。
岡島ちゃん探してちょーよ。
やっぱりきゃ…。
ありゃ早川君の血きゃ!?検事さん…ありました。
おみゃあさん…こりゃどういうことでゃ?バレちゃいましたねみんな…。
早川さんはここで及川に殺されました。
及川はあたしが殺しました。
…ここで。
冷房また壊れたんか…。
暑〜い!!及川鉄三とは同じ村の出身だな?えぇ。
お互い子どもの頃に村を出たから…もう顔も忘れてましたけど。
再会したのはあんたのお店で?お客で来てくれてずいぶん派手にお金を使う人でしたから…。
目立ってました。
それであたし思い出して…。
それで愛人関係になったと。
お金です。
お金で繋がったんです。
水商売って急にお金がいる時があるでしょ?土建屋だってそう。
持ちつ持たれつの関係で…。
でも段々あたしの負担ばっかりになってきて…!その辺で及川は早川警部に追われるようになったわけだ。
あんたと早川警部が知り合うようになった経緯から聞こうか…。
ちょっとタバコいただけません?あ…駄目だよ。
あの人刑事なのを隠してお客で来てたの。
及川のことを探りにすごくお金を使ってあたしに近づいてきたわ。
真面目に相手になってくれるのでつい及川の愚痴をこぼしました。
役所の仕事を取るのに賄賂つかまして…。
そのお金をあたしから…。
それで及川は捕まって起訴され保釈になって出てきてすごくあたしに怒ってあたしもマズかったと思ったし早川さんが刑事なのにあたしを利用したことにも腹が立って…。
及川を助ける気になったんです。
死亡診断書をでっちあげ偽の死亡届を出し及川を死んだことにしてお葬式まであげました。
これで及川は完全に自由の身。
だって新しく戸籍を作れば別人になれるんですから。
その後早川さんが来てあたしに刑事だと告げてくれ捜査の上で騙した形になってすまないと言ってくれました。
誠意を見せたい。
ところがそこへ突然及川が現れて…。
早川さんを後ろから襲って…殺したんです。
そのつもりだったのね…あいつ最初っから…。
それで死体の処理は…?及川がやりました。
あたしは血で汚れたカーペットを替え壁紙を貼りなおしただけです。
及川殺害の経緯を訊こうか。
あたし及川が怖くて逃げようとしたんです。
そしたら外国へ一緒に行こうって迫られ…。
断ったらケンカになって殺してしまったんです。
(蝉の声)筋は通ってる事実ともあっております。
うーん…。
小野奈加子を起訴早川千寿釈放ですか?うーん…。
それは…嘘です。
え…?主人は私が殺しました。
自宅で…。
奥さん…。
冷静によーく考えて言いなせえよ…。
冷静です。
今まで黙っててご迷惑かけました。
主人のせいで借金が増えていくら捜査費用でももうかなわない…!それでケンカして…つい殺してしまいました。
早く消えて欲しくて生石灰を塗って…。
息子は知りません…!一人でやりました。
今まで黙ってたのは…主人が残してくれた生命保険欲しかったからです…。
(岡島)出ませんか?はい。
岡島です。
どのあたりで犯行が行われたか詳しく訊いてもらえませんか?…えぇ。
どうぞ。
あぁありがと。
検事さんこんな時に引き出物なんか…。
あのどうかお仕事でない時に…。
何をしおらしいことを…。
これ大丈夫。
精神集中になるからよ。
それよりおみゃあさん式場決まったのきゃ?はいっ!高山観光ホテルです。
ふ〜ん。
あ…あの一度下見を…。
あぁええよ。
どうせ明日あの…昼飯食いに行くから。
赤かぶさん!あぁ!どうだった鑑識結果?はぁ…なんせ夜なので明日の朝もう一回調べるそうですが血痕は全く出てきませんでした。
嘘をついておりますな早川千寿。
しかし…自白犯人が2人となるとこりゃややこしいな。
いや…データは揃った。
起訴!…吉沢君!起訴状を書いてちょ!どっちを起訴するんですか?早川千寿。
死体遺棄につき刑法第190条。
殺人については起訴しないのですか?殺人については2人とも嘘をついとる。
それを究明するには死体遺棄から始めるしかにゃーでよ。
ま任せなさい。

(葉子)あたし早川千寿の弁護人として選任届出してきました。
は〜大変だなぁも。
早川千寿は罪を認めとるでよ。
それは検察官及び捜査員の不当な逮捕拘留と取調べのせいじゃないんですか?大体何で死体遺棄だけで起訴するの?そういうことは法廷で明らかにしますでなぁも。
ご用がお済みでしたらさっさとお引き取りください。
言われなくたって長居はしたくありません!大体今回のお父さ…!検事さんのやり方ホント強引過ぎる!ちゃんと小野奈加子が死体遺棄も殺人も自白してるんでしょ?死体遺棄については自白証拠共早川千寿の犯行であることは明白だでよ。
じゃあ殺人は!?法廷で明らかにしますでなぁも。
もう…。
お疲れさま。
どうもすみませんでした。
じゃあ社長それでお願いしますで。
任せといてください。
あ…それじゃま…。
やぁ葉子ちゃん。
社長またお世話になります。
よろしくお願いします。
また裁判別居ですか?えぇ弁護人と検事は一緒におられんて不自由でなぁも。
おまけにお互いに突っ張り合うでよ…!あ…葉子…。
それでは…どうも。
息が切れる…!そんな貧乏ったらしくせかせか歩かんともっとゆとりを持ちゃあせ!何をのん気たらしい!勤務中だわ!ほ〜らほら綺麗な萩だわぁ!アハハ…!もっとゆっくり行きましょう。
(お囃子)あぁほら!どっかで盆踊りの笛太鼓の稽古しとるで〜。
なぁ聞こえるでしょ?ひぃふぅみ…。
葉子の依頼人おみゃあさんだでも?私は千寿さんを信じとる。
つらい相談にみえたのにちっとも力になれんで私もつらかった。
ほんだで裁判では私が力を貸してあげてゃあ。
ほんでもおみゃあさんは検事だで葉子の力を借ります。
今度の裁判は難しい!検事にも弁護人にも難しい。
罪を告発するだけでは夫婦の愛とか警察官としての早川君の人間性が見えてこんでよ…。
葉子のヤツわしに勝つまでは結婚せんなんて調子いい意地張ってるようではだちかんわ!大人の裁判やりたいんだがよあいつが下手こいて壊しやせんかとそれが心配なんだ。
あなたの娘を信じなさい。
私は葉子を信じとる。
ほんでもっておみゃあさんのことも。
被告人は被害者であり夫である早川宣和当48年の死体を腐食の目的をもって硝酸混入の生石灰で塗り固め発見を避けるために岐阜県大野郡丹生川村乗鞍岳山頂の鶴ヶ池付近の湿地内に遺棄したものである。
罪名罰状死体遺棄。
刑法第190条。
罪状認否の前に検察官に釈明を求めます。
この殺人・死体遺棄に関して犯行を認めている別な被疑者小野奈加子がおります。
それなのになぜ被告人を起訴したのですか?被告人も殺人・死体遺棄を認めとるで。
ではなぜ死体遺棄のみを起訴したのですか?供述と証拠が一致しとるで。
では殺人罪の方は?裁判でおいおいはっきりさせます。
それで殺人罪まで負わせるつもりですか?じゃあこれ違法じゃないですか!?現在では死体遺棄でしか立件できせんのです。
(裁判長)法廷は死体遺棄で裁判を進めます。
わかりましたね?ではしかるべく。
ただし私の発言を記録にとどめてください。
私…裁判も弁護もしていただく必要ありません。
夫を殺して死体捨てました。
弁護人は無罪を主張します!被告人は混乱しているのです!強引な捜査取り調べ起訴のせいです!被告人は全く任意に供述したんだわ。
あんなこと言っちゃいけないわ。
私が…やったんです。
母も私もあなたがご主人を殺して捨てるなんて絶対信じない!ねぇどうして…?どうしてそんな嘘つくの?私疲れてますので失礼します。
小野奈加子証人喚問します!え…?嫌です!やめてください!彼女の供述読んだわ…。
ご主人殺したのは確かに及川よ。
それを証言させる。
これであなたは無罪。
夫を殺したのは私です!弁護なんかしないでください!すいません!すいませんどなたか!どうしました!?
第二回公判で赤かぶ検事は思いがけない証人を出廷させました
早川武男君に訊きますが6月26日の夜お母さんの行動を見るか聞くかしやぁしたか?僕は一浪中で夜は部屋で受験勉強していて精神集中に音楽流してますので何も…知りません。
しかしトイレに立つとか夜食を取るとかしなかったのきゃ?母親は夜食を用意して先に寝ますので姿は…見たことないです。
あくる日の朝お母さんは何しとりゃした?僕は4時に寝て8時に起きます。
母親は朝食を作って仕事に出ます。
顔会いません。
6月26日の夜はいつもの夜ではにゃーんだよ。
お父さんが殺された日だ…!本当に何も知らんのきゃ!?
(葉子)異議あり!誘導尋問です!では質問を撤回し尋問を終わります。
主尋問は終わりなんですか?…はい。
やる気ないんですかねぇ…。
(裁判長)では弁護人反対尋問を。
…ありません。
(裁判長)では証人ご苦労様でした。
あ〜!次の証人に関連して再主尋問があるかもしれんでよ在廷しとってちょ。
証人は傍聴席で待機してください。
次の証人どうぞ。
何でこの人が来たんです!?検察側の証人なんです。
嫌です!早川さん…。
(千寿)その人のいうことなんか聞きたくありません!出て行かせてください!被告人は静かにしなさい。
裁判長さん!その人は嘘つきです!
(千寿)出てって!出てってください!!お母さん違う!それは違う!傍聴人は静粛に!この人はお母さんに罪がかからないようにしてくれてるんだ!もう黙ってらんないよ…。
僕だけ逃げてらんないよ…!この人やお母さんが罪になるなら僕も罪を負う!
(裁判長)傍聴人静かにしなさい!裁判長!極めて重大な発言がありましたのでこの3名を在廷のまんま順次尋問をお許し願いたい。
被告人側は認めません!強引過ぎます…!この事件2つの殺人2つの死体遺棄は流れは1つですが犯行・犯情は複雑でこの3名が深く関わってつながっとるでよ順次尋問が絶対に必要です。
被告人側は拒否します!拒否しますよね…?お母さん…。
では…どうぞ…。
この3人への尋問を許可します。
3人が3人とも自分に罪があると言うとる。
罪は3つかもしれんが真実は1つだわ。
そこを見極めたい。
ではまず小野証人…早川宣和氏を殺害に至った経緯を話してちょうだいやすか?早川さんは遊びでなく刑事として及川のことを探りに店へ来てました。
私はそれに気付かず私に好意を寄せてくれてると思ってました…。
それが…間違いの始まりだったんです。
まともな生活じゃないわよ…。
あんたなんかに見当もつかないだろうけど普通の生活がしたい…。
好きな人と2人っきりで…。
君の決心しだいじゃないのか?簡単に言わないでよ!でもそうよね…簡単なのかな…?ちょっとまとまったお金があればカタつくのに…。
そのお金がないから縁切れないのかな…?500万欲しい…。
500万!あいつへの手切れ金に…!えらく具体的だな…。
あいつ役所から工事の仕事とるのに役人につかますお金がいるのよ。
…よそう。
つまんないわよねこんな話。
まぁ話して気が楽になるなら話せばいいさ…。
私のこの話を手掛かりに早川さんが及川を検挙して起訴に持ち込んだんです。
裏切られたと思ったわけか…。
刑事さんとは思ってませんでしたから。
仕返しをしようと思ったのきゃ?一言…言ってやりたかっただけです。
口のうまい人だから刑事やってられるのね…。
この歳になってまた男で勉強さしていただきました。
人間一生勉強ですね。
…さよなら。
この電話が早川さんを呼び寄せてしまったんです。
及川が狙ってるとは知らずに…。
(早川)君には本当にすまなかったと思ってる…。
いや…言葉で詫びて済むことではない…。
人間として…誠意を見せたい!…で死体遺棄は?及川がやりました。
んにゃ〜…早川千寿がやったんでねぇか?誘導尋問です!殺しも死体遺棄も自分がやったと早川千寿は自白しとる。
いいえ奥様は刑事の妻としてご主人の名誉を守ろうとしておられるのです。
私みたいな女のところで死んではいけないんです…。
でも奥様…もうおわかりですよね?ご主人は刑事として人間としてまっすぐに行動なさって死なれたんです。
お母さん…もう僕をかばわなくていい。
早川千寿さん…。
もう警察官の妻という裃は脱ぎゃあせい!その手の傷はどうしやぁた?おみゃあさんには妻として母親としていや人間として真実を話す義務があると思うんだがよ。
早川が仕事となると家に帰ってこないのは慣れてました。
仕事のお金を持ち出すのも慣れてました。
夫婦でいると慣れるものなんです…。
でも奈加子さんのところに通い詰めて500万円という借金をこしらえたのには耐え切れませんでした…!何度も奈加子さんのマンションの周りを探り絶対いるという時を狙って会いに行ったんです…2人に。
それがあの夜でした…。
お母さん…!…武男!お母さん出かけるの見て…お父さんとここの女と対決するんなら…お母さん助けよ…。
そう思って…。
じゃあ…手伝って…。
こんなとこで殺されて…!見つかったらお父さんの恥だわ!さぁ…!武男!
(千寿)早川の遺体を車に隠しあくる日の朝生石灰と硝酸を買い集めて乗鞍へ向かいました。
乗鞍は早川がとても好きな山でよく行ってたんです。
お母さんはね父さん愛して…結婚して…21年…21年一緒にいたのよ…。
どんな酷い夫でも21年暮らしてきた人に恥かかせたくない…!まして…警察官なのよ…!許してください…。
人に知られず…早く消えてもらうためなの…。

(千寿)思いもかけず涙が出て止まりませんでした。
でも…許されない罪だったんですね…。
でも…黙ってるしかなかった…。
黙ってるしか夫の名誉は守れません。
そして…手伝わせた武男も守れません。
驚いたのは1億円という保険を夫がかけてくれているのを知った時です。
私のことを…武男のことを思っていてくれたんだ…。
身にしみて嬉しく…辛くて…。
八つ裂きにされる思いでした…!それでも黙ってるしかなかったんです!その夫の優しさのためにも。
ところがその及川って人が死んでるのが見つかって小野奈加子さんが捕まって「及川を殺した…その及川が奈加子さんのところで夫を殺した」そう自白され私…私…自分が殺して捨てたそう言うしか夫を守れなくなったんです…。
お母さんごめんな…。
僕が悪いんだ。
お母さんを助けろそう言いに行ったんだ。
奈加子さんのところへ…。
そこで第二の殺人が起こってまった…。
新しい罪が増えてまった…。
小野証人…話してちょ。
あの後あたし…いえ及川とあたしは見てしまったんです。
早川さんを運び出す2人を…。
連れ出したんだな…。
カーペットは替えんといかんな。
壁は…拭いてみるか。
何ボヤボヤしとる!血の跡隠せ!
(及川)何だその金…?「せめて君を助けたい。
あげられないが貸します」「五百万円あります」
(及川)500万…?やめて返して!早川さん…本当に心配してくださったんだわ…。
いただいときゃええが…。
これでパスポートでも買ってフィリピンあたりに逃げよう。
一緒に来い。
向こうで楽しく暮らそう。
嫌っ!早川の金で2人で逃げるんだ…。
面白いぎゃ!俺は幽霊だぎゃ!怖いもんなんかねぇぞ。
…俺に付いて来い。
早川さんを失った…いえ死なせたつらさ…及川にまた捕まってしまったつらさ…そして奥様が口をつぐんでられるのに乗っかって黙って逃げてるつらさ…。
酔って忘れるしかない毎日でした…。
そして検事さんが及川の幽霊を聞きに来た夜武男さんが来ました。
何なのよ!?あんた待ちなさい!母を助けろ。
…来い!警察に一緒に来い!嫌だぁ!やめてー!だちかん!殺して口塞がな…!嫌ぁ!親を殺して子どもまで殺す気!?嫌やめてお願いだから…!うるせぇ!あなた帰りなさい!このことは忘れるのよ…いい?後始末はあたしがするから…早く帰りなさい!お母さんのことね…?もし…もし罪になるようなことがあったらあたし自首して助けるから。
及川がやったって言うから。
早く帰んなさい!!でもあたしの罪は検事さんには暴かれてしまいました。
あたしって…本当に駄目な女…。
奥様をかえって苦しめてしまって…。
いいえ…。
あなたは私の罪まで被ろうとしてくださった…。
奥様…。
ご主人はまっすぐな方で…。
あたしへのお詫びにお金を貸してくださろうとした…。
本当にそれだけです。
その優しいお気持ちだけ…それだけをあたしに残してください…!はい…。
主人はまっすぐないい警察官だったんですね…。
そばにいたのに気が付かなくて…あの人を孤独にさせていたのかもしれません…。
それなのにあんな酷いことを…!今は夫に許しを請いたい…その気持ちでいっぱいです…!民謡『真室川音頭』…の文句の中に「あの時会わなきゃただの人会うても惚れなきゃただの人」「惚れても添わなきゃただの人」「添うても別れりゃただの人」というのがあります。
人と人との出会い別れ偶然と必然…人間の営みの不確かさ頼りなさを誠に見事に表現しちょるとわしは思うんでありますが。
愛というものも誠に儚いものであります。
ちょっとした疑いが元で簡単に変わってしまう…。
今度の事件は…愛を疑って憎しみを生ぜしめ…それが原因だとわしは考えるんだがよ。
愛が生んだ疑いや憎しみは裁けやせん!ただ…それから生まれた罪は裁かれなければなりません!ただ今の尋問によって新たに判明した事実に基づき素因を取り下げ2つの殺人2つの死体遺棄については改めて起訴してぇと思っております!た〜ぬき!えっ!?最初からああやってまとめて3人尋問するつもりだったんでしょ?いやわしはただ流れに任せただけの話だで。
ふ〜ん…。
やられたなぁやっぱり大だぬきねぇ!おみゃあさんもよ…せいぜい子だぬきくらいにはなってちょーよ。
…んもう!
そして20日後3人に判決が言い渡されました
奈加子が及川を死に至らしめたのは武男を救うための正当防衛とし不起訴
これで事件は解決。
でも…

(笛の音)あぁ吉沢君!はいっ!二度目のお色直しも済んだしホッとしたでよ。
まぁおみゃあさんも1杯飲みゃあせ。
あ〜いい!まだお酌してまわらなきゃならないんで。
あそういやよ…。
わしの渾身のバードカーヴィング…立派なもんができたぎゃー!尾長のつがいよ。
大変だったんだからよこれは…。
あの毎日拝見してましたから…。
…あそうだったな。
そういやそうだ。
おみゃあさんそろそろほら仲人余興の番だで!
(拍手)本日はおめでとうございます!えー最近あたくし担当いたしました事件で夫婦というものについてしみじみ考えさせられました。
愛というものについて…。
えーそれでは吉沢君ご夫妻に捧げます『真室川音頭』ひとつ皆さん元気におはやししてちょうだい。
「そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃ…」「あの時会わなきゃただの人」「会うても惚れなきゃただの人」おい…最後の文句何て言った?え〜添うても別れりゃただの人。
いか〜ん!…禁句!「添うても別れりゃただの…」
(一同)あ〜〜!!
(理沙)あ!おじさまおばさまいらっしゃいお疲れ様でした!
(春子)お〜おすっかりええ女将さんぶりだわな。
何かすっかり色っぽぅなったようでにゃーの。
え〜?葉子に爪の垢でも飲ませたいなぁ。
ええからええから。
葉子頑張ってますか?頑張りすぎだで…。
まんだこの人に勝つまでは嫁にも行けせん言うとるで…。
じゃあおじさま負けてあげれば?ん?そうすれば葉子もお嫁に行かざるをえないでしょ?そうなったらなったで何のかんの言うて嫁なんか行きゃせん!おまけに家にゃ息子がとぐろ巻いとるし…。
なぁ春子…。
いつになったら夫婦2人でゆっくりできるか…。
あのなぁも…。
ん?本当に夫婦でのんびりしてゃーと思うとりゃーすの?そりゃあ思うとるよ。
ふ〜ん…。
何だいその顔は…?今度のことで思ったんだけどよ夫婦っていうのは長年連れ添うてもちっとも相手のことがわからんもんだわなぁも…。
これ死ぬまでわからんことかもしれんわな…。
おみゃあさん…何か隠し事しとりゃあせん?いや…。
隠し事しとったら今のうち吐いたらどうや?んなもの何もありゃせんが!何ぞあるでしょ?何もにゃあって!何かあるでしょ!実はよ…。
ん…?おみゃあさんが作る飯がずーっと不味いけど我慢しとったんだけどそれ知っとりゃしたか?うわっ!2014/04/28(月) 13:05〜14:56
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和久峻三ミステリー 赤かぶ検事