(風間)
新宿高層ビルの下
いつもの女の子がやって来た。
かわいい笑顔。
今日も頑張ろう
200円のお返しになります。
わざわざありがとうございます。
全国の路上でホームレスの人たちが自立を目指して売っています
累計621万部。
去年創刊10周年を迎え若者を中心に支持されています。
人気の連載に「ホームレス人生相談」のコーナーがあります。
さまざまな人生経験から語られる飾らない言葉
人生心配や後悔も多いけど必ずやり直す事ができる
毎日同じ時間同じ場所に立ち続けみつけた幸せの物語です
僕たちはみんなつらい事悲しい事悔しい事にぶつかり前に進めなくなってしまう時があります。
そんな時見えない壁を壊してくれるのは誰かが言ってくれた何気ないひと言かもしれない。
ある朝ふと思いついた小さな気付きかもしれない。
再び一歩前に踏み出すヒントを探る「ブレイクスルー」。
今日の主人公はこの雑誌販売をきっかけに自立を目指す人たちです。
駅から5分ほどの場所にある築40年の木造アパートです。
この部屋を借りているのは去年の秋までホームレス生活を送っていた…家賃4万円お風呂なし共同トイレの6畳一間。
吉澤さんがやっと手に入れた自分の城です。
部屋でくつろぐためのひと吹き。
バラの香りがお気に入りです。
雑誌を売って得た収入月およそ9万円をやりくりして始めたアパート生活。
自分の力で部屋を借りるのは15年ぶりの事です。
毎朝7時吉澤さんの仕事は仕入れから始まります。
家から歩いて30分の事務所にはいつも一番乗り。
雑誌は買い取り制でその日の売れ行きを予想して仕入れます。
(取材者)何冊仕入れるんですか?
(吉澤)今日は15ですね。
昨日雨で残ったから。
いくらかね。
25ぐらいいつもあれば大丈夫ですからね。
定価は350円。
1冊売ると180円の利益が出ます。
朝の通勤ラッシュ前にいつもの場所へ。
ここが吉澤さんの青空店舗です。
まず商品棚の掃除から。
朝8時半に開店。
毎日10時間立ち続け売れるのは20冊ほど。
お客さんの多くは通勤やランチタイムに通りかかる人たちです。
あら!すごくうれしい。
若いから要らないかな?疲れているサラリーマンにはアメのサービスも。
何か食べてきた?はいおいしいものを。
吉澤さんが路上販売を始めてこの春で2年。
常連さんも増えました。
吉澤さんは栃木の出身。
10歳で父親を亡くし中学を卒業すると職を求めて上京しました。
稼ぎのいい仕事を求めて職を転々。
50歳で露天商を始めましたが失敗。
63歳でホームレスとなりました。
「ビッグイシュー」の販売は生きるためにと始めた仕事でした。
ここで思いがけない出会いがありました。
この日吉澤さんはある常連さんを待っていました。
アメどうする?要らない?母親と2人暮らしの優凜花ちゃん。
吉澤さんをおじいちゃんと慕っています。
1年ほど前から月に何度も会いに来てくれます。
あっち行けこっち行けとかね。
優凜花ちゃん親子が来るようになって吉澤さんは毎日この場所に立つ事にお金を稼ぐ以上の何かを感じるようになりました。
吉澤さんが宝物を見せてくれました。
(取材者)これはどういった方たちなんですか?今年お客さんからもらった40通の年賀状です。
6畳一間の部屋がくれたもの。
それは誰かとつながっている幸せでした。
ビッグイシューとお客さんにこうやって縛られてって言ったらおかしいですけどそれがあるからこそ仕事がずっと続けられると思いますよ。
仕事にお客さんとの信頼に縛られているから生きていける。
大雪じゃない以外は大体いらっしゃる。
吉澤さんは今日も路上に立ち続けています。
今のVTR見てたらもちろん「ビッグイシュー」の魅力もそうだと思うんですけどあれはもう吉澤さんの魅力で買ってる人たちが多いのではないかっていう…。
ホントそうですね。
…っていうかホントきれい事じゃないかもしれないけれども温かい。
…でつながってる。
そこにいる事でつながっているっていうのがね…。
そう思います。
ホントに目の前を…もちろん新宿で働く人たちなので目にも留めないで歩く人たちもいればあそこで人としての会話をしてからまた仕事に戻っていったりとか仕事に向かう人たちっていう何て言うんですかね。
そこに一時の人間らしさみたいなものを何か吉澤さんが生んでるような感じがすごいありましたよね。
あのビル街にね。
ホント生き生きとした空気があそこに流れてるって…。
あの子どもがまたかわいい。
おじいちゃんと孫の関係っていうね。
バブル崩壊から始まった長い景気の低迷。
日本版「ビッグイシュー」は厳しい時代の中から生まれました。
大阪ではおよそ1万人が仕事を失いホームレス状態となっていました。
当時都市計画のプランナーをしていた…路上生活する人たちを見過ごしたまま開発を進める事に違和感を覚えていました。
このままではいけない。
支援策を考える中で知ったのがイギリスで誕生した「ビッグイシュー」でした。
佐野さんは日本でもやろうと決意。
ホームレスが働く訳がないという批判が集まる中でスタートを切りました。
本日はビッグイシューの代表佐野章二さんにお越し頂いてます。
こんにちは。
佐野と申します。
佐野さん今VTRにあった一番最初は誰もが失敗するってみんなから反対されましたが最初は。
ホームレスの人が働かないのでホームレスをやってるんだ。
いわゆる自業自得論っていうのがあるんですね。
だからホームレスの状態は自業自得だと。
そういう人たちに別に手を差し伸べる必要はないと。
そういう考え方が支配的でしたね。
ホームレスの方々がこの人たちは怠け者ではないんだって気付いた瞬間みたいなのはあったんですか?初めて説明会やった時に「ビッグイシュー」って売れるか売れないか分かんない訳じゃないですか。
あの時やったのは見本誌でね見本誌の表紙がイギリスのロックスターのOasisなんですね。
おじさんたち売る気満々だからね「こんなもんお前売れると思ってんのか」と。
「お前だったら何冊売れるんや」とか迫られましてねその時迫られて非常に困りました。
Oasisを説明すればするほどおじさんたち分かんなくなるので。
分かんなくなるんだけどね僕はすごく追及されながら困ったなと思いながらこの人たちとはやっていけるよっていうのは内心思いましたね。
熱さにっていう。
彼らは僕のビジネスのパートナーなんです。
だから彼らが「佐野さんこんなもん売れへん。
わしは嫌や」ってストライキされたら僕は3日後に首つらんならん立場ですよね。
そういう意味でビジネスパートナーなんですね。
佐野さんは毎月ホームレスの人たちと会議を開き雑誌の内容や販売方法について意見を聞いています。
こうした現場の声から人気の連載が生まれました。
全国の読者から寄せられた悩みや相談に各地の販売者たちが答えます。
18歳浪人生からの相談。
「大学生活を送る友人たちがうらやましく自分の人生は1年遅れになる気がして卑下してしまいます」。
「『人生1年遅れ』で悩めるなんて若者の特権ですよー。
僕の人生なんて何周遅れなんだろう」。
深い。
深い。
何かやっぱり人生横の広がりも大事ですけど縦軸の深さ深度っていうのがホント大事だなっていうのをこれ見て思いました。
やはり同じ事を別の人が言うのと今のVTRの方が言うので重みが違うんですよね。
説得力がね。
説得力が。
この「ホームレス人生相談」は「ビッグイシュー」の中でもやっぱり人気の連載ですか?人気コーナーです。
どうして初めにやったかと言いますとみんな販売者は男の販売者が多いんですけどね若い女性と長時間話し込んでるんですよ。
だからちょっと僕は彼らをサポートする立場として心配になるじゃない。
「今何話してたん?」「いやいや彼女は最近ね離婚しはったらしい。
それでいろいろ悩み聞いてたんや」ってこういうふうに言うんですよね。
現場で悩み相談みたいな事が起きてる訳ですか。
最後に「おっちゃんどうしたらいいと思う?」ってこう言われる。
それが一番困るんです。
それはもう一番自分がホームレス状態ですから言う資格ないっていうのはよく分かってる訳ですね。
その時始まる言葉がね「ほんならな俺みたいにならんためにはな…」とこういうふうにしゃべりだすんです。
だからね普通人生相談っていうのは偉い人が上から目線で言うじゃないですか。
我々のホームレス人生相談は失敗した人がどん底からね「ほな俺みたいにならんためにはな」っていう下から目線の人生相談なんですね。
深くうなずいてましたけれども。
いや実は私その相談をしに行った一人で…。
そうなんですか!いやいやいやいやそれは。
よく本当にホームレスのおんちゃんとかに話してるうちにポロポロポロッと秘密にしたい事とかその場だけで話せる。
…で温かい受け取り方をしてくれるホームレスの方々とね当事者。
いやいやよかった。
ちょうど今日は裏付けが得られて僕は勉強になりました。
バッティングセンターで盛り上がる仲間たち。
お疲れさまでした〜!どうでした?100キロはやっぱ当たんない…。
2年前から「ビッグイシュー」を販売している…販売者と事務所のスタッフで作った野球部の集まりです。
この日は一人200円ずつ集めた部費でバッティング練習。
井手さんの仕事場は奈良市郊外の駅前広場です。
どうもおはようございます。
笑顔で挨拶をしながら売るのが井手さんのスタイル。
一日30冊を目標に毎日10時間夜8時まで立ち続けます。
200円のお返しになります。
わざわざありがとうございます。
(取材者)あの方はよく買っていかれる…?懸命に自立を目指す井手さん。
忘れられないつらい過去があります。
母子家庭で育った井手さんは中学を卒業後家計を支えるため建設会社に就職。
しかし長続きせず一人上京しました。
15年後母親から「病気になったから帰ってきてほしい」と連絡がありました。
しかしこの時井手さんは体を壊して失業。
ホームレス状態でした。
このままでは迷惑をかけるだけ。
ビッグイシューで働き自立できたら母親の面倒を見ようと考えていました。
1年後アパートを借り母親に連絡すると1週間前に亡くなったと知らされたのです。
すいません。
今日は井手満男さんにもお越し頂きました。
よろしくお願いします。
(井手)よろしくお願いします。
井手さんいろいろな事があって今ここにいらっしゃると思うんですけれども。
そうですね。
今まですごく…ちゃらんぽらんって言うのはおかしいですけどすごく中途半端に生きてきて初めて自分の中で人生に挫折した。
そこでホームレスになったんですけどもじゃあここで人生をやり直そう。
やり直しておかんの笑顔を見るんが俺のゴールやろうなっていうのんでビッグイシューを始めたんですね。
なのでそこで母親の死を聞いた時っていうのは自分の人生を全否定されたという感覚がすごくあったので衝撃とかよりも「明日から俺どうしようかな」。
ごはんを食べるとかっていうんじゃなくて生きていけるのかなっていうのがすごく大きかったですね。
支えにしてきた軸がボキッと折れた瞬間ですよね…。
(井手)僕その時にアパートで11階なんですけどここから落ちたらおかんに会えるんちゃうかなって思うのがホントに正直なところだったんですけどでも明日僕の持ち場に行ったら僕を待ってくれてる人がいるんだよねって自分の中で自問自答するところがあったのでなんとかその時は自殺をっていう選択肢がなかったんですけど。
先ほども話してたみたいに人とのつながりっていうのが改めて大切なんだなって今の話を聞いて…。
(井手)そうですね。
なのでそういう意味を踏まえてホームレスになって俺って幸せなんちゃうかなって思います。
お母様を亡くされた時に井手さんのゴールはそこじゃないという言葉があってこれからの目標とか新しいゴールっていうのは何でしょう?私みたいに一度つまずいた人間もしくは今つまずきそうになってる人たちのためにカフェーみたいなものを作りたいなってずっと思ってるんですよ。
そこが僕のゴールなのでそこに向けて今一日一日生きてると思います。
カフェービッグイシューみたいな。
代表がもし許してくれるんなら。
ありがとうございます。
(取材者)頑張って下さい。
ありがとうございます。
2014/04/28(月) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー「file3 路上でみつけた“幸せ”」[字][再]
新企画ブレイクスルー。第3回は、若者から熱い支持を受ける路上販売の雑誌。ホームレスの自立を支援し累計621万部。風間俊介(俳優)安藤桃子(映画監督)音楽:若旦那
詳細情報
番組内容
ハートネットTVの新企画「ブレイクスルー」。壁にぶつかって悩んだとき一歩前に進むためのヒントを探る番組。第3回は若者から熱い支持を受ける路上販売の雑誌「ビッグイシュー」。ホームレスの自立を支援して10年、累計621万部を達成。同じ場所、同じ時間、路上に立ち続け気づいた幸せのカタチとは。どん底を見たからこそ語れる言葉、人生の真理とは。【出演】風間俊介(俳優)、安藤桃子(映画監督)、【テーマ曲】若旦那
出演者
【出演】風間俊介,映画監督…安藤桃子
ジャンル :
福祉 – その他
ドキュメンタリー/教養 – その他
福祉 – 障害者
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:25637(0×6425)