韓国南西部・珍島(チンド)付近で旅客船セウォル号が沈没した事故で、日本で大ヒットした曲「千の風になって」の韓国語版が各地の追悼行事などで流されている。テノールの男性歌手、イム・ヒョンジュさんは近く追悼曲として発売し、収益金の全額を事故の遺族に寄付するという。

 「千の風」は、作者不詳の英語詩を作家の新井満さんが訳し、曲をつけた。死者が、自分はお墓にはいない、風になって空を飛んでいる、と生者に語りかける内容。テノール歌手の秋川雅史さんが「私のお墓の前で泣かないでください」と歌い、日本でヒットした。

 韓国では同じ曲に、韓国語版の歌詞をつけて、事故の前から発売されていた。歌詞は日本語版とほぼ同じだが、歌い出しが「私の写真の前で泣かないでください」となっている。事故後、テレビで盛んに流れたり、各地の追悼行事で歌われたりしている。

 イムさんは韓国メディアに対し、「歌が遺族と国民を少しでも慰められることを願う」とコメントした。(珍島=広島敦史)