文・高津祐典 写真・早坂元興
2014年4月28日02時42分
夏目漱石の「こころ」が100年ぶりに連載されている。漱石は作品の冒頭、鎌倉の海で語り手の「私」と「先生」を引き合わせた。なぜ鎌倉なのか。政治学者の姜尚中さん(63)は海岸を歩き、グローバル化が進む現代にもつながる意味を語った。
強い日差しが波間にはじけた。4月なのに、上半身裸で砂浜を駆ける男性までいる。浜風に吹かれ、姜さんは心地よさそうにつぶやいた。「都会の喧噪(けんそう)から離れられます。当時と変わらない雰囲気でしょうね」
作中の「私」は、西洋人を連れた「先生」を浜辺で見かける。声をかけた「私」は「先生」と海を泳ぐ。漱石は《強い太陽の光が、眼の届く限り水と山とを照らしていた》と描いた。作中、最も明るい風景だ。
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