現存する国内最古の地下街とされる東京・銀座の三原橋地下街で、唯一営業していた「三原カレーコーナー」が27日、最後の営業を終え、50年の歴史に幕を下ろした。

 閉店を惜しむ人たちが長蛇の列をつくり、常連客らは名物のカツカレーの味を楽しみながら昔話に花を咲かせていた。

 店は東京五輪が開かれた昭和39年、店主の吉田信三さん(71)の母、冨久子さんが開業。店を継いだ吉田さんは、常連客のサラリーマンらに喜んでもらおうと、毎週金曜日を「カレーの日」として割安で提供してきた。

 27年に誕生した地下街は、映画館「銀座シネパトス」や飲食店などが入り、多くの人でにぎわってきたが、地権者の都が取り壊しを決め、昨年3月に映画館が閉館すると他の店も次々に閉店。営業していたのは吉田さんの店が最後だった。

 高校時代から通っているという東京都中央区の会社員、山田剛さん(56)は「たくさんの楽しい思い出が詰まっている。おふくろの味がするカレーも大好きだった。閉店は寂しい」。

 吉田さんは「たくさんの人に愛されてこれまでやってこられた。ここは閉店するが、できるだけ早く銀座で新しい店をオープンしたい」と話した。