最近は採用の書類選考や面接に駆り出されることが多いのですが、採用する側も
大変なんだなと。
採用窓口だけで「新卒」「既卒」「第二新卒」「中途」と何種類もあり、
日本特有の労務制度があるせいで「通年採用」に統一できません。
これは応募者にも不幸なことで、例えば未経験、もしくは実務経験の浅い30歳
くらいの人が応募してきたときに、その会社の30歳の給料テーブルが年収600万円
だとしたら、「実務経験のない奴にそんなお給料はだせん!」という理由で
書類選考から落とされます。
その30歳の応募者が「私は経験が浅いので、新卒と同じ給料で年下が上司になっても
良い」ということでも(実際にそんな謙虚な人はいないのですが)、たいていの
会社は年齢と年収が比例しているので、年収に見合ったスキルや経験がないと
選考の対象になりません。
実際には、面接していて思ったのですが、年齢相応の経験をしていない人は
基本的に「精神的に幼くて、面倒な人」という印象なので、労務制度が変わった
ところで採用される確率は極めて低いですが、すくなくとも選考の対象くらいには
なります。
以上は行政や企業側の問題ですが、明らかに的外れな就職・転職活動をしている人が
多いという労働者側の問題もあります。
専門学校なんかの宣伝文句で、「年齢が高くてもうちに入学すればスキルが身に付き、
すぐに就職できます!」みたいなのありますよね。あれはすごく罪だなと思っていて、
前述の理由で歳をくってしまうと、それだけで選考の対象にならない企業が多いのが
現状です。
あと若い人に言えるのですが、例えば「既卒」といって就職が決まらずに学校を
卒業してしまったパターン。1年間も就職活動をしてどこにも決まらなかったわけ
ですから、率直に言って、「一般的な会社員」が向いていないんだと思います。
そういう人が無理して「一般的な会社員」になっても、肉体的精神的な苦痛で
鬱になってしまう可能性もあるので、別の生き方を目指した方が幸せなんじゃ
ないかなと。
例えば後継者や人手が不足している町工場や職人、料理人、トビ職などに
なった方が良いんじゃないでしょうか。暑苦しいスーツを着た頭の悪いデブ上司に
ネチネチ嫌みを言われるより、厳しい親方に鍛えてもらった方が立派な社会人に
なれそうな気がします。もうそれすら嫌なら、工場のラインで黙々と働いて、
定時に帰って趣味に人生費やすとか。
インターンの大学生なんかでも、何か勘違いしていて、大企業に入れば一生安泰で
30歳で年収600万円、40歳で800万円、あわよくば1000万円とか本気で思っている
人がいます。我々の親の年代はそうだったかもしれませんが、今の20代に
その給料テーブルを用意する企業って、一部上場の大企業でもごくわずか。
で、どうせ40歳くらいでリストラ候補で、運よくて子会社に出向とか。
もちろん既卒になると、優良企業への就職は確率が低いので、下手すると
ブラック企業一直線。
ブラック企業に勤めるくらいなら、職人として手に職をつけたり、ライン工で趣味に
生きたりした方がよっぽど人生有意義じゃないかなと。ブラック企業で働いたって、
安い賃金でこき使われて、ボロボロになって捨てられて一生働けない体になって
しまうので、職人は言うに及ばず、ライン工ののんびり人生の方が下手したら
生涯年収も上になるんじゃないのか。それを学校が無理矢理、どの学生にも
サラリーマンになるしか選択肢がないようなことを言うので(商売上だったり、
先生が馬鹿で他の選択肢を知らないとかの理由で)、可哀想な学生がどこにも
就職できずにズタボロに傷ついて、自分は社会不適合者なんじゃないかと勘違いして
ヒッキーになってしまう。
ネットなんかだと土方やブルーワーカーを馬鹿にする人が多いけど、私から
見れば、彼ら彼女らの方が若いうちに結婚して子供ができて、ミニバンなんか
乗ってバーベキューしていて、普通に楽しそうだと思うのだけれど。
「普通の会社員」になったところで、今の時代は家族を養ったり、車を買える
お給料もらえる人の方が少ないんじゃないのか。
労務制度に問題はあるけれど、労働者側もいい加減に「正社員」という呪縛から
解放された方が人生幸せなんじゃないかと、採用活動をしていて思いました。