舛添都知事:北京訪問 託された「重い土産」安倍政権批判

毎日新聞 2014年04月27日 08時34分

中国の汪洋副首相(右)と会談する東京都の舛添知事=北京・中南海で2014年4月26日(代表撮影)
中国の汪洋副首相(右)と会談する東京都の舛添知事=北京・中南海で2014年4月26日(代表撮影)

 東京都の舛添要一知事が26日、中国・北京訪問の全日程を終えた。尖閣諸島領有権や安倍晋三首相の靖国神社参拝を巡って日中の相互不信が際限なく高まるなか、都知事として18年ぶりに北京市に招待され、就任2カ月半で一定の存在感を示した。その一方で、中国側から安倍首相への厳しい批判を聞かされ「首相に伝える」と返答。「重たい土産」も持たされた。今回、舛添氏の力で開かれた扉は、日中関係改善への入り口となるのか。

 【北京・工藤哲】舛添氏の訪中について、中国側は友好都市関係にある北京市の王安順(おうあんじゅん)市長にとどまらず、共産党政治局委員(計25人)の一人、汪洋(おうよう)副首相との面会もセットするなど、重視する姿勢を見せた。ただ一方で、安倍首相への不満を伝え、都市間交流は重視しつつも歴史問題で引き続き日本をけん制する立場を崩していない。

 「現在、日中間で一番大きな問題が首相の靖国神社参拝問題だ」。舛添氏によると、26日に汪氏と会談した際にこう指摘され、「日中の協力関係を阻害するような動きを、日本の政治家は慎まなければならない」とクギを刺された。舛添氏は「首相に伝える」と応じた。中日友好協会会長の唐家セン(とうかせん)元国務委員からも厳しい指摘を受けた。

 安倍首相に対する中国側の強い不信は日程にも影を落とした。当初は李源潮(りげんちょう)・国家副主席(政治局委員)との会談が準備されたが、直前で変更され、再調整で汪氏との面会が決まった。日中関係筋は「汪副首相は李副主席よりやや格下ポストで、日米首脳会談に対する中国側の反発が背景にある」と指摘する。

 汪氏は会談で「日中の自治体間の協力を中国政府も支援し、その基盤を作る」と述べた。中国側は「都市間、民間の交流は継続する」との立場で、安倍政権への評価と切り離し、大気汚染や交通渋滞対策などで多くの経験を持つ東京都との交流は強化していく方針とみられる。

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