阿部
「暮らしを便利にしてくれるパソコンや、スマートフォンのアプリ。
ゲームから地図、家計簿まで、さまざまな機能のものがあり、利用者は増え続けています。」
鈴木
「IT業界はスマートフォンなどの普及に伴って、今後も大きな成長が期待されています。
ところが業界では、アプリの開発にあたる高度な技術を持った人材が足りない、厳しい状況に陥っているといいます。
現状を取材しました。」
阿部
「暮らしを便利にしてくれるパソコンや、スマートフォンのアプリ。
ゲームから地図、家計簿まで、さまざまな機能のものがあり、利用者は増え続けています。」
鈴木
「IT業界はスマートフォンなどの普及に伴って、今後も大きな成長が期待されています。
ところが業界では、アプリの開発にあたる高度な技術を持った人材が足りない、厳しい状況に陥っているといいます。
現状を取材しました。」
今月(4月)、都内で開かれたアプリのコンテストです。
予選も含めると、参加したのは全国の高校生から大学院生まで600組。
自分たちで開発したアプリの技術の高さやアイデアを競います。
ゲームやスポーツの指導者向けのアプリなど、幅広い作品が出品されました。
優勝した学生
「世界中の人に使われるアプリを作りたいと思っていて、今後も改善して良いアプリにしていきたい。」
このコンテストを主催したのは、大手IT企業などで作る業界団体。
去年(2013年)初めて開き、今年(2014年)が2回目です。
IT技術者が不足する中、すぐれた人材を発掘しようとしているのです。
日本マイクロソフト 加治佐俊一CTO
「多様なニーズに対して、アプリを作っていくことに関して、まだまだ遅れている。
高度な人材が必要。」
独立行政法人の情報処理推進機構が、IT関連の企業を対象に行った調査です。
人材が不足していると答えた企業は、5年前の49%から去年は82%に急増しました。
人材不足のきっかけは、スマートフォン用のアプリ市場の急速な拡大です。
アメリカの調査会社の推計では、国内のアプリの売り上げは去年までの1年間で3倍に広がっています。
膨張するアプリ市場に対し、IT業界では人材確保が追いついていません。
ゲームアプリで急成長した大手インターネットサービス会社です。
研修を受けているのは、この春にIT技術者として入社した47人。
プログラミングなどの実践的な技術を学んでいます。
ところが、このうちおよそ10人はソフト開発の経験がありません。
企業間の獲得競争が厳しいため、技術のある人材だけでは採用枠を埋められないのです。
新入社員
「この会社も文系職で就活をしていた。」
新入社員
「大学院では生物を勉強してきたので、ほぼ初心者と言っていいレベル。」
人材不足は、経営にも影響を及ぼしています。
この会社では事業拡大の一環として、体に身につけるウェアラブルと呼ばれる情報端末向けのサービスや、教育の分野などに乗り出すことを検討していました。
しかし技術者が足りず、一部の教育サービスしか実現できていません。
何とか人材を確保しようと、この会社では他の企業からの技術者の引き抜きを進めています。
アプリの品質管理の責任者を務めるこの男性は、大手光学機器メーカーから転職しました。
前の会社で通信システムの開発を務め、インターネット関連の高度な技術がありました。
会社では、さらに5人を他社から引き抜きたい考えです。
しかし見込みは立っていません。
ディー・エヌ・エー 木村秀夫執行役員
「(人材不足で)そもそもサービス作れない。
人間がエンジニアリングを使ってサービス生み出す側面あるので、企業の根幹が揺るがされる。」
こうした人材不足は、他の業界にも波及し始めています。
こちらの大手人材仲介会社には、IT業界に人材を奪われた自動車メーカーや電機メーカーからの求人が殺到しています。
車のエンジンや家電の出力を制御するコンピューターのソフトの開発者の場合、求人倍率は7.72倍。
ひとりの技術者を7、8社が奪い合う状況です。
さまざまな機器のIT化が進む中、専門家は、官民をあげてIT技術者の育成に新たに取り組む必要性を指摘しています。
NTTデータ経営研究所 三谷慶一郎パートナー
「IT産業だけの話ではなくなると思っていて、どんな産業にもITが入ってくるならば、どこでも出てくる話だし、従来型のやり方をしていると厳しい。」
成長が期待される一方で、すぐれた技術者をどう確保するか。
IT業界の必死の取り組みが続いています。