富岡製糸場:「売らない、貸さない、壊さない」保存に功績
毎日新聞 2014年04月26日 23時48分(最終更新 04月27日 01時10分)
富岡製糸場が創業当時の姿をほぼそのまま残して保存されてきたのは、民間に払い下げられた後、1939年に経営を引き継いだ繊維会社「片倉工業」の存在がある。87年の操業停止後も当時の経営者は「売らない、貸さない、壊さない」の3原則を掲げ、2005年に富岡市に移管するまで、億単位の維持費を毎年負担してきた。世界遺産登録勧告を受けて、岩井賢太郎市長は「製糸場をしっかり守ってくれた片倉工業に心から感謝とお礼を申し上げたい」と述べた。
製糸場とともに「絹産業遺産群」を構成する「田島弥平旧宅」(伊勢崎市境島村)も田島家代々の努力で維持されてきた。現在もこの旧宅に暮らす7代目当主、田島英雄さん(53)は「ここでは研究を通じて品質の良い蚕種を作り、広めてきた歴史がある。世界遺産登録に向けて良い結果が出た。本当に良かった」と喜んだ。【田ノ上達也】