浦野直樹
2014年4月27日07時12分
埼玉県小川町発注の水道工事を巡る入札不正問題で、町の調査に不正を認めた業者は指名停止となったが、否定した業者は処分を受けなかった。「正直者が馬鹿を見る不平等な処分だ。告発する人がいなくなる」。朝日新聞に不正を告発し、自らも処分を受けた業者は憤る。
朝日新聞の報道を受けて、町は入札に参加した7者らから聞き取りを実施。不正への関与を否定した3者には応札額を積算した経緯がわかる書類の提出も求めた。精査した結果、書類に不適切な点はないと判断。3者は応札額を自ら算定し、それが結果的にネット上のサーバーに残された一覧表で示された数字と一致したと結論づけた。
だが、7者のうち4者が不正を認めているなかで、否定した3者への聞き取りは1~2回だけ。提出された書類は「業者が『入札前に作った』と説明し、それに合致する内容だった」(影沢政司副町長)として入札前に作られたと判断した。町が不正に加わっていないと判断した根拠は、主に業者から提出された書類なのだ。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「談合を疑う状況にありながら、不正を認めた業者だけを処分するのは公正にもとる。突き詰めた調査をして自らに火の粉が飛んでくるのを避けているとも映る」と指摘する。
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朝日新聞社会部
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