富岡製糸場:受け入れ態勢に課題も…観光客詰めかけ混雑
毎日新聞 2014年04月26日 21時24分(最終更新 04月26日 23時45分)
群馬県富岡市の富岡製糸場と、周辺の絹産業遺産群が世界遺産登録を勧告された26日、製糸場には2000人超の観光客が詰めかけた。日本の近代化の夜明けをもたらしたとして歴史の教科書に登場する富岡製糸場。地元は登録を機に活性化を期待するが、観光客の受け入れ態勢を巡る課題も浮き彫りになっている。【塩田彩、畑広志、尾崎修二】
◇GW初日、2600人
ゴールデンウイーク(GW)初日とあって、製糸場は午前9時に開門して間もなく観光客の列ができた。「世界遺産登録が正式決定すれば混雑する。その前に来ようと思っていた」。東京都世田谷区の会社員、平川仁彦さん(55)は、たまたま訪れた日が勧告と重なった。製糸場近くの和菓子販売店の店員、新井さつきさん(42)は「これからお客さんも増える。頑張らないと」と気合を入れた。
午後には製糸場内が観光客であふれ団子状態に。前がつかえて立ち往生したり、人が多すぎてガイドの声が聞こえなかったりした。市は今後、混雑時の入場制限を検討する。この日の来場者は2638人で昨年のGW初日の2.6倍に達した。
製糸場の課題は建物の老朽化と観光客の受け入れ態勢だ。板張りの床が抜ける恐れがあり、安全を確保するため内部公開は現在ごく一部に限っている。市は約100億円で建物全体を補修し、30年かけて全体公開を目指す。また製糸場周辺は幅6メートルほどの狭い道が多く、駐車場は民間を含めてあちこちに分散し計800台分程度。昨年のGWで1日3000人以上が訪れた時、周囲の道路は車でごった返した。