東海大五女子サッカー部創設 福岡から次のなでしこを
福岡から次代のなでしこを! 全国高校選手権に過去14度の出場を誇るサッカー界の強豪、東海大五(福岡県宗像市)が今春、女子サッカー部を創設した。初年度は1年生16人が入部。男子部を長年指導してきた平清孝総監督、山辺武彦監督の下で日本一を目指す。
女子サッカー界は「なでしこジャパン」が2011年のワールドカップ(W杯)を初制覇し、今月のU-17(17歳以下)女子W杯でも「リトルなでしこ」が優勝。さらなる底辺拡大へ、福岡発の新たな取り組みが注目を集めそうだ。
■1年生16人で発足
真新しい黄色のユニホームに身を包み、少女たちが懸命にボールを追う。今春、16人で発足した東海大五女子サッカー部は、男子部員が練習する隣で汗を流す。「全員で切磋琢磨(せっさたくま)して、3年後には日本一になる」。1期生のリーダーを務めるDF岩崎星(あかり)は初々しく意気込みを口にした。
メンバーのほぼ全員がサッカー経験者だ。岩崎は静岡・藤枝順心など県外の強豪校への進学を考えていた。それでも「地元の伝統校でサッカーがしたい」と東海大五を選択。兄が東海大五OBのMF松本和(ひより)も「応援で試合をよく見ていて、パスサッカーに憧れた」と入学を決めた。
2011年の女子W杯でなでしこジャパンが初優勝。女子サッカーの注目度は飛躍的に高まったが、昨年度、福岡県で女子サッカー部がある高校は7校だった。本格的な強化に取り組む学校もなく、優秀な人材は県外に流出。その1人がU-17女子W杯でMVPに輝いた日本代表の主将MF杉田妃和(ひな)で、北九州市の二島中を卒業後、藤枝順心に進学した。
こうした状況を見かねて動いたのが、東海大五の平総監督だ。「流出を止めれば、いいチームをつくることができる。九州の女子サッカー界の発展につながる」。男子の山辺コーチを女子の監督として、昨春から創部へ向けて準備。県内を中心に有望選手を勧誘し、平総監督の「初年度は11人いれば」という想定を上回る16人が集まった。
■根性は男子以上!?
発足したばかりとはいえレベルは高い。入学直後、男子の1年生と8対8のミニゲームをやらせると、互角に近い戦いを演じた。「それなりの技術があるうちの男子とやっても遜色ない。倒されても起き上がって取り返しにいく。男子よりすごい」。男女両部の指導にあたる平総監督もド根性ぶりに目を丸くする。
1969年創部の男子は攻撃的なパスサッカーで全国屈指の強豪に成長した。女子もその伝統を継承し、パス中心のスタイルで勝負する。山辺監督は「まずは県で優勝し、九州大会で上位を目指す。最終的に日本一という選手の夢をかなえてあげたい」とシナリオを描く。公式戦初戦は5月4日に開幕する県総体。生まれたての「なでしこ予備軍」が歴史の第一歩を刻む。
=2014/04/17付 西日本スポーツ=