テーブルの大きさ
今回の計画案の根本的な問題は、計画のテーブルが小さすぎる事です。
杉八は、高円寺中央公園、高円寺中央児童館、高円寺中央会議室に囲まれた、正に高円寺の中央に位置する小学校です。
この場所から小学校をなくすのであれば、統合や対等合併といった方法では、無理なのではないでしょうか?
杉八周辺の町会関係者は、それが判っていたからこそ、平成21年に教育委員会へ提案したのです。「高円寺地域全体での学校再編が必要ではないか」と。
それは、少なくとも小学校6校と中学校2校が関係する再編案となる筈でした。
ところが実際は、再編案は矮小化に次ぐ矮小化を続け、小学校2校と中学校1校の計画案になってしまいました。
これでは、学区の話すら満足にできません。
広域的に解決しなければならない問題が、色々と有ります。
それは、関係3校の中だけでは解決し得ない問題です。
二つの中学校
高円寺地域には、高中、高南中という、2つの中学校が有ります。
2校あわせても生徒数が300人に満たない程の小規模な中学校であり、生徒数が少ないが故にクラブ活動等に支障が出ている現状にあります。
「杉並区立高南中学校の今後の在り方協議会」では、中学校の統合も止む無し、という意見が有ったと聞きます。
「いや、中学校は2校必要だ」と考える方々がいらっしゃるのも、存じ上げております。
私たちとしては、「クラブ活動を通じて社会性を育むためには、ある程度の生徒数が必要なのではないか」と思っておりますが、実を言えば私たちの考えなんて、どうでも良いのです。
一番の問題は、「高円寺地域に中学校は何校必要か」、という議論が全く行われていない事です。
そもそも、今回の計画案の基礎となった案1、案2は、学校選択制を前提とした計画案です。
適正規模の基準に当てはめると中学校1校分に満たない生徒しかいないにも関らず、中学校を選択できるように2校設置する案でした。
ソース:5ページ
http://www.kyouiku.city.suginami.tokyo.jp/education/tekisei/pdf/kouenji/h220628_2.pdf
学校選択制が廃止されようとしている現在、なぜこの様な計画案が進められようとしているのでしょうか?
今回の計画案がこのまま進めば、小さな中学の2校体制が固定化してしまいます。
その事の是非を問う議論は、高円寺地域全体で行わなければならない筈です。
学区のねじれ
まず、今回の計画案において、小中学校の学区がどう規定されているかを説明します。 南北の境界は、桃園川です。
- 杉四の学区(全域)からは、新しい学校に6歳で入学し、9年間過ごします。
- 杉八の学区(北側)からは、新しい学校に6歳で入学し、9年間過ごします。
- 杉八の学区(南側)からは、新しい学校に6歳で入学し、6年間過ごしてから転出し、高南中に進学します。
- 杉三の学区(北側)からは、杉三に入学し、卒業すると新しい学校に転入します。
- 杉三の学区(南側)からは、杉三に入学し、卒業すると高南中に進学します。
さらに、騙し討ちの様な、学校選択の問題が有ります。
必要とされているのは制度としての学区決定であるにも関らず、個人個人の判断としての学校選択の問題へと摩り替えられているのです。
今回の計画案には「現在の杉並第四小学校・杉並第八小学校と高円寺中学校の通学区域が異なる地域は、学校変更について十分配慮した仕組みを検討します。」という記述が有ります。
まず、その対象地域は、どこでしょう?杉四の学区には、そんな地域は有りません。杉八の学区にしか無いのです。口当たりの良い言葉で書かれていますが、その内容は「桃園川より南の地域」という意味です。
では、「学校変更について十分配慮」というのは、どういった意味でしょう?
杉八の学区(南側)から新しい学校に6歳で入学した子は、12歳で転出しないで、9年間通い続ける事が出来る、という意味です。これは、当たり前と言えば当たり前の話です。同じ学校に入学した子の間で、9年間通い続ける子と6年で転出する子の差別が、なぜ起こらなければならないのでしょう?他の子と同じ様に通わせ続けたい、それが親としては当然な感情です。
でも、本来であれば高南中に進学するはずであった子が、高南中には行かなくなります。その事によって発生する問題は、どう解決するのでしょう?これに関しては、次節で詳述いたします。
さらに、同様な話は、杉三の学区に関しても存在します。
学校選択制が終了した後でも、「理由のある学校選択」は認められる事となっています。
(逆に言えば、理由すら判らないまま学校を選択できる今の制度が、どれだけ非常識な制度だったか、という事ですが。)
12歳から新しい学校に転入するのであれば、小学校の入学時点から新しい学校に通わせたい、それが親としては当然な感情です。
そして、今回の計画案に記載されている通り、「義務教育9年間を見通した一貫性のある教育が施設分離型と比較し、より充実する施設一体型の学校」を選択したいのであれば、学校選択の正当な理由として認められる筈です。
しかしながら、桃園川北側は、杉三の学区のボリュームゾーンです。
ここを失った場合、杉三は廃校になる可能性すら有るのではないでしょうか?
中学校のバランス
現在の高円寺地域では、2つの中学校が、全体で300人程(つまり、各校で150人前後)の生徒を分け合う形でバランスが取れております。この現状においてすら、人数が少なくてクラブ活動の選択肢が限られ、また団体競技での大会出場が困難な状況にあります。そこに、新しい学校が出来たら、このバランスは、どうなるでしょう?
まず、建設期間の問題が有ります。
今回の計画案には記載されていませんが、「高円寺地域の新しい学校づくり計画策定準備会」では議論されていました。
そこで出された結論とは、
「建築期間中は校庭にプレハブを建ててそこで授業を行なう。グランドは使えないが、それはやむを得ない。」
というものでした。
つまり、プレハブで授業をおこない、ほぼグランドをつかえない状態で建築期間の2年間をすごさなくてはいけないのです。グランドの半分がプレハブの校舎で満足な体育は可能なのでしょうか?
部活はどうなるのでしょう?
この事実が地域に知られてからの高中の生徒数はどのように変化するのでしょう?
そして、開校後は、どうなるでしょう?
杉八の卒業生の8割が、高南中に進学しています。それが現状です。
杉八の卒業生の8割が、高南中に進学しています。それが学区だからです。
杉八の卒業生の8割が、高南中に進学しています。重要なので、もう一度書きました。
それなのに何故、杉八と高中での小中一貫が進められるのでしょうか?
杉八の学区(南側)から新しい学校に入学した子が、そのまま新しい学校に9年間通い続けた場合、本来であれば高南中に進学するはずであった子が、高南中には行かなくなります。
それは自動的に高南中の学区が失われる事を意味します。
ただでさえ少ない生徒が、さらに失われてしまいます。
何れにしても、犠牲になるのは当の中学生です。
思春期の難しい時期にクラス替えもできず、部活の選択肢も極度にすくない中学生活を送らざるを得ないのです。
「新しい事にチャレンジしたい」という大人の思いによって、中学生の思春期が犠牲になってしまうのです。
(なを、「高円寺地域の新しい学校づくり計画策定準備会」に関しては議事録も公開されていないため、傍聴した人間の記憶に頼って記述しております。ご了承下さい。)
いびつな学区
杉八小から新しい学校予定地までは、700メートル有ります。
つまり、小学校を700メートルも移動する事になるのですから、杉八小の学区をそのまま新しい学校の学区とした場合、学区が非常にいびつな形となります。
新しい学校へ通うよりも、近隣小学校の方がはるかに近くなってしまうのです。
実際に、直線距離を測ってみますと、
新しい学校の予定地から900mの地点で杉並区立第三小学校まで300m、
同じく900mの地点で杉並区立第十小学校まで300m、
1000mの地点で杉並区立第六小学校(杉六小)まで400m、
1100mの地点で杉並区立堀之内小学校(堀之内小)まで500mとなります。
「家から杉六小までは500mで行けるのに、新しい学校まで1キロ以上歩いた上に、環状七号線を渡って通わなければならない」いった状況が起こってしまいます。
さらに、学校変更の選択肢としては馬橋小も存在します。
(その場合、環七を渡らずに通学できるというメリットが有ります。)
ここまでの説明で、第一分区に有る全ての小学校に加え、堀之内小の名前まであがっています。
これは、第一分区全体よりも大きな範囲です。
地図を見ても、杉八小は高円寺地域の中央に位置する小学校です。
この場所から小学校をなくすのであれば、まず「高円寺地域全体」で新しい学校づくりを真剣に話し合い、この町と学校の未来像を「高円寺地域全体」で共有する必要が有ると私たちは考えるのですが、いかかでしょうか?
小学校と町会と子ども
杉八の学区の南端側から見れば、新しい学校は小学生に通わせるには遠すぎます。
もっと近くに区立小学校が有るのに、なぜ環七を渡ってあんな遠くまで通わせなければならないのでしょう?
今回の計画案通り学区の変更が無いままであれば、この地域の子どもの多くが色々な理由をつけて周辺の小学校に通う事になることが予想されます。
そうなると、その町会は、子どもの通う小学校と接点の無い町会になってしまいます。 小学校と町会と子どもという三位一体の関係から子どもが抜けてしまうのです。
これは一見たいしたことのないように思われるかもしれませんが、町会の未来にとって恐ろしい事です。 大半の子供達が地域と関わりなく育った時、およそ十年後、二十年後、誰が地域を背負っていくのでしょう?
環七渡って体育ですか?
今回の計画案では「新しい学校の位置」について、「校地面積や建築規制等から十分な施設計画が可能となる現在の高円寺中学校の校地を活用します。」と書かれています。
しかし、それは本当でしょうか?
以前に教育委員会が作成した資料によれば、高中の敷地は必要面積の67パーセントしか有りませんでした。
小学生用の校庭と中学生用の校庭を並べると、もう、校舎を建てる余地が無いのです。
今回の計画案においても、数字は記載されておりませんが、「杉並第四小学校の校地・校舎の活用について検討します。」とされております。
ソース:7ページ
http://www.kyouiku.city.suginami.tokyo.jp/education/tekisei/pdf/kouenji/h220628_2.pdf
常識的に考えて、「学校の位置」とは「校舎の位置」という意味です。そうだとすれば、高中の敷地からはじき出されるのは、中学生用の校庭です。 体育の時間毎に中学生が環七を駆け足で渡るというのは、どうなんでしょうか?
そして子どもは減って行くの?
杉並区行政経営懇談会で使用された資料では、高円寺の子どもは減りません。 杉並区7地域の中で唯一、子どもが減らない地域とされています。
ソース:資料11の9ページ
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=307010
この地域に住んでいる私たちとしては、子どもの数が増えて行く可能性すら実感しております。
教育委員会は「子どもの数は減り続ける」事を前提に計画案を作成されている様ですが、そう判断される根拠は何でしょうか?
また、「子どもの数が増える可能性」を視野に入れられているとしたら、増えた場合の対応策はお持ちなのでしょうか?
どれだけの時間
「耐用年数が切れるから、もう時間がないんだ」
そんな話を、あちこちで聞きました。
でも、耐用年数とは、そもそも何でしょう?
「耐用年数」の50年というのは、法人税を課税する際の減価償却計算で使う法定耐用年数を目安としています。「建造物の寿命」とは全く違った言葉なのです。
そもそも、平成10年度の税制改革によって学校法人への減税が行われるまで校舎の法定耐用年数は60年でしたし、耐震改修も済ませた校舎が、なぜ改築時期なのでしょうか?
ソース:12ページ
http://www.kyouiku.city.suginami.tokyo.jp/education/tekisei/pdf/kentou/01.pdf
話し合う時間を切り上げる根拠として、「耐用年数」とは便利な言葉かも知れません。 しかし、なぜこんなに急ぐ必要が有るのでしょう?
いくつの問題
本来であれば、この計画案を公開した時点で
- これから解決すべき問題点のリストアップ
- 問題点を解決していくタイムスケジュール
「問題点すら明らかになっていない」
これが、今回の計画案で最大の問題点です。
さらに、解決するための時間も足りません。
「問題先送りのまま計画案を進めるのは最悪の選択である」
と、私たちは考えています。