警視庁捜査一課9係 2014.04.25

大樹君とも仲直りできたんだ。
なんだ…何か知ってるのか?ううんなんでもない。
(小宮山志保)今ふ頭公園に着きました。
え?ええ。
一人ですよ。
うっ…ああっ…。
ああ…。

(救急車のサイレン)
(矢沢英明)ICUって…。
(浅輪直樹)面会謝絶だそうです。
(矢沢)なんすかこれ。
なんでこうなるんすか!小宮山さんの携帯です。
最後の着信は午後9時53分。
登録されてない番号からでした。
という事は誰かに呼び出されて刺されたって事?
(青柳靖)なあ村瀬。
お前一緒じゃなかったのかよ。
(村瀬健吾)別行動取ってました。
何やってんだよお前!
(加納倫太郎)青柳君。

(パトカーのサイレン)第一発見者はこの下に住む住人です。
大きな物音と叫び声を聞いて通報したそうです。
(志保)犯人の目撃情報は?今のところありません。
(村瀬)ちょっと邪魔。
監視カメラは?あっ監視カメラ?ありません。
(青柳)邪魔って言った?今。
今邪魔って言われたよな。
はい邪魔って言われました。
すみません。
すみません…。
なんで最近村瀬偉そうなんだよ。
小宮山さんが主任になってからですよ。
主任になったのは小宮山さんで村瀬じゃないでしょ。

(矢沢)正面から刃物で刺されてますね。
(青柳)部屋の中まで入ってこれて目の前で刺したって事は顔見知りの犯行かな。
ここにいましたか。
えーちょっといいですか。
こっちが25.5センチの靴。
でこっちが28センチの靴。
でも玄関に置いてあるガイシャの靴は全部27センチだったんですよ。
っていう事は同居人が2人って事?だとしたら重要参考人ですよね。
うん。
何見てるんですか?随分シャレた洗剤使ってるんだなあと思って。
(冨樫龍二)もうあの部屋には戻れねえな。
(麻生道昭)ああっ…もう!
(物が崩れ落ちる音)
(矢沢)ちょっと!
(2人)なんだよー!びっくりするよ。
もう…!なんだ?これ。
(矢口)現場にあった携帯電話契約者の住所バラバラでした。
いわゆる飛ばし携帯ってやつです。
二課に問い合わせたところその内のいくつかが振り込め詐欺に使われた番号と一致しました。
振り込め詐欺?
(志保)じゃあ被害者は詐欺をやってたって事?
(青柳)いやあまあね…。
お疲れさまです。
(志保)あっお疲れさま。
遅いぞ浅輪。
あっすみません。
被害者の指紋から身元が割れました。
はい。
飯野剛。
10年前の爆破事件の主犯とされ指名手配されていた男です。
爆破事件?はい。
10年前建設会社の敷地内で爆破事件が起きました。
社員一名が死亡一緒に居合わせた経理部長がケガをしています。
そしてこの爆破はですね午後1時に起きましたけれども前日の夜監視カメラに実行犯と思われる男が侵入するところが映っておりました。
これが飯野剛です。
彼はもともとこの建設会社で働いていましたが事件の半月前に横領の疑いをかけられて解雇されています。
まあ逆恨みって事か。
彼が主犯って事は共犯もいるわけだよな。
待ってました。
はいこちら。
同じく元社員で飯野と一緒に解雇されている麻生道昭という男です。
麻生は都内の店舗を回って爆弾の材料を調達していた事がわかっています。
でさらに爆発物の部品の中からもう一人別の人物の指紋が検出されました。
少なくとも3人が関わってたって事ね。
うん。
この麻生と飯野に関しては継続的に捜査は行われていたんですけどもこの10年友人も家族も誰一人姿を見ていないそうです。
現場で見つかった靴確かサイズは3種類って言ってたよな。
つまりあの部屋には飯野を含め3人の男がいたって事か。
(青柳)なるほど。
読めてきましたよ。
10年前の爆破事件を起こした3人はあの部屋で一緒に逃亡生活を送っていたと。
そこで振り込め詐欺をやって稼いでたって事ですね。
じゃあ飯野が殺されたのは仲間割れって事ですかね。
(志保)浅輪君。
はい。
(志保)係長と一緒にこの10年前の爆破事件もう少し掘り下げてもらえる?了解。
で青柳さんと矢沢さんは…。
現場から見つかった携帯電話の発信履歴から振り込め詐欺の被害者を当たってみます。
振り込め詐欺の?おお振り込め詐欺ってよATMの限度額が引き下げられてから7割が現金の手渡しになってんだってよ。
そっか。
手渡しって事は被害者は犯人の顔見てる可能性ありますもんね。
いやだからって飯野たちも手渡しだったとは限らんだろ。
じゃあアパートにあった3足のきれいな靴はなんのためかな。
靴?なるほど。
手渡しする際に相手が信用するような人物になりすますための小道具ってわけね。
ああ!今日の青柳さん冴えてる!今日だけじゃねえだろ。
うん。
まあ誰かさんと違うからな。
建設会社行ってきます。
(志保)あっお願いします。
じゃあ2人はその線お願いします。
私たちは同居人を知ってる人がいないか彼の行動範囲を調べましょ。
(村瀬)了解。
矢沢。
飯野の手帳の中にいくつか電話番号が書かれてた。
ついでに当たっとけ。
はい。
え?なあ。
なんであいつあんなに威張ってんの?悔しかったんじゃないですか?やっぱりそう思う?ええ。
上野麗子さんですね。
警視庁捜査一課9係小宮山といいます。
今ある事件を捜査中でしてこのお客に見覚えないですか?
(上野麗子)あっさあ…。
どうして私に?ああ…。
これこの人の部屋で見つかったレシートなんですがレジを打ったのがあなただと伺ったものですから。
あっ本当。
連れがいたかどうか調べてるんですが…この男とか。
すみません。
毎日何百人分も打つのではっきりとは…。
(志保)そうですか。
(青柳)あっいいえこちらこそお忙しいところ申し訳ございませんでした。
今後もその調子でお気をつけくださいませ。
いえわたくしは本物…。
(電話の切れる音)「お前こそ本物の警察か」だってよ。
詐欺師じゃねえっつんだよ。
(矢沢)青柳さんが丁寧に話すから怪しまれるんですよ。
(青柳)しかしこれ自分で言い出したとはいえ地味な仕事だなあおい!あと何百件あるんですかね。
頑張りましょう。
(携帯電話)え?
(携帯電話)どうします?
(携帯電話)急ぐんだよ。
もしもし。
(小谷良政)あの…先日お電話頂いた小谷ですけども。
ようやく残りの金が用意出来まして…。
(佐久川篤)殺された!?飯野がですか?ええ。
その件についてこの男の話も伺いたいんですが。
(佐久川)飯野と同じプロジェクトにいた麻生ですね。
そのお2人爆破事件の直前に横領容疑で解雇されてますよね。
ええ。
あと伊東という男も。
伊東?解雇されたのは3人ですか?ああでも伊東は爆破事件とは関係ないと思いますよ。
解雇されてすぐに亡くなりましたから。
亡くなったっておっしゃいますと?自殺です。
自殺!?実はあの横領個人的には濡れ衣だったんじゃないかと思うんですよね。
僕の前任の部長なんですが相当無理やり材料費を削らせてたんです。
その直後ですよ。
飯野たちが横領の疑いをかけられて解雇されたのは。
この部長は今は?
(佐久川)去年の暮れに病気で亡くなりました。
部長爆破事件の時現場にいたでしょう。
あれ本当は部長を狙ったものだったんじゃないでしょうか。
(爆発音)
(佐久川)部長が昼休みいつもあの中庭のベンチでタバコを吸う事はみんな知ってましたから。
ただの腹いせじゃなかったみたいですね。
けどさあ会社で予算管理なんかやってる人がどうやって時限爆弾なんか作れたんだろう。
だからその…例の3人目の人物に頼んだんじゃないですかね。
爆弾の部品から指紋も出てきたわけだし。
飛ばし携帯に架空口座。
素人じゃなかったかもしれないですね。
飯野が言ってた番号じゃ開かねえぞ。
えっ!?クソッ!あいつに金の管理なんてさせるんじゃなかったな。
(村瀬)どこにも映ってないな。
念のため他の日の映像も見せてもらえますか?
(上野哲也)ああ…はいはい。
えーっと…。
あれ?この方さっきのレジの方ですよね?ご夫婦だったんですか?ああ…ええ。
あれ?そういうお二人は?うん?えっ…?いやいや。
わたくしどもは別に…。
そうですよ。
誰でもいいってわけじゃないんですから。
えっ?えっ?すみません。
あの…お似合いに見えたものですから…。
(上野)あるのはこれだけです。
はい。
拝見します。
(早瀬川真澄)直接の死因とは関係ないので検査まではしてませんが遺体には特徴的な肌荒れが見られたのでおっしゃるようにアレルギー体質だったと思います。
やっぱりそうですか。
なんでわかったんですか?現場にあった洗剤。
だけどその前に使ってたのは普通の合成洗剤。
普段からアレルギーに気を使ってたとは思えないんだよね。
値段だって随分違うのにどうして変えたんだろうなって。
それって事件になんか関係あるんですか?いや…。
けどどうして変えたんだろうなと思って。
いやだからいつも使ってるやつが売り切れだったから別のやつを買ったんじゃないですか?何か気になるようならもう少し調べてみましょうか?あっいえ…。
(小谷)詐欺!?あのお買い得物件がですよ?はい。
残念ながら。
(小谷)そんなバカな…。
だって手付けがいるからってもう60万も払ってるのに…。
(小谷佳江)あんた何やってるのよ!もう!お前だって大喜びで賛成したじゃないかよ!まあまあお二人!ちょっとお二人とも…。
どんな男だったか教えて頂けますか?えーっと…。
(青柳)詐欺の被害者の話をもとに作った似顔絵。
(志保)じゃあこれが3人目の仲間?
(青柳)多分な。
そっちはどう?いやこっちはまだ…。
ダメね。
飯野たちが使ってたスーパーに行ってきたんだけどレジ係も監視カメラもダメだった。
あっそう。
気にするな。
警察には地味な捜査をしてくれる地味な刑事も必要だ。
あっそうそうそうそう!これいつの電話番号ですか?東京の市内局番が3桁のって20年前ですよ。
何!?あるあるこういう見落とし。
特に手柄に焦ってる時な。
私は別に手柄に焦ってるわけじゃないですよ。
ほらほらほらほら!行くわよ。
ねっこれ。
行こう。
(伊東美代子)飯野さんとは同期で時々2人で飲んだ帰りにうちにも泊まりに来てたんですよ。
爆破事件以降にお線香をあげにきたなんて事は?お通夜が最後です。
そうですよね…。
あれ洗剤ですよね?お供えに洗剤ですか?これ息子の婚約者が持ってきてくれたんです。
今でも命日になると訪ねてきてくれて…。
(美代子)私にくれたものなんですけどやっぱりまず息子にと思って。
すみません。
見た気もしますけどやっぱり覚えてないとしか…。
あれ?ちょっと失礼。
何か?これ値上がりしたんですか?値上がり?いいえ。
小宮山君ちょっと…。
えっ?いいから。
ちょっとすみません…。
もういいだろう。
このスーパーに手がかりはない事がわかったんだ。
せっかく似顔絵が手に入ったんだから逃走経路を探ろう。
そっちは青柳さんたちが当たってるじゃない。
なんで可能性のある方を向こうに任せるんだよ。
前から言おうと思ってたんだけど同じ部署内で競い合うなんてバカバカしいから。
チームとして純粋に事件解決だけを考えるべきよ。
誰も競うなんて言ってないだろ。
とにかく私が主任の間は方針に従ってもらいます。
(携帯電話)はい。
「もしもし主任。
青柳です」さっき現場の最寄り駅前の旅行代理店から通報があって麻生…麻生道昭の名前で船の予約があった。
明日の18時有明埠頭発那覇行き。
(志保)そうわかった。
青柳さんか。
麻生が船の予約をしてたって。
聞こえてた。
有明埠頭だな。
ちょっと…!行かなくていいからね。
なんで?私たちは後方支援よ。
港直近の所轄湾岸中央署に応援要請しないと。
確か船便を予約したのは麻生って言ってたよな?それがどうかしたの?悪いが別行動をとらせてもらう。
えっ?ちょっと!明日の18時ですよね?これちょっと早すぎません?向こうだって警察が動く事ぐらい予想するだろ。
下見に来るかもしれねえよ。
あ〜おなかすいたなあ。
ちょっとなんか買ってきてくださいよ。
明日の出航まで二手に分かれよう。
18時に有明埠頭だ。
遅れるなよ。
本当にこのまま逃げ切れるんでしょうか?わかってるだろうが仮にどっちかが捕まるような事になってもお互い完全黙秘だぞ。
心配すんな。
10年前は飯野に片棒を担がされただけだ。
詐欺や今回の事さえ認めなきゃいい弁護士送り込んでやる。
わかってます。
でも明日うまく逃げられたとして金もない中この先どうするんです?ロッカーが開かない以上どうしようもないだろ。
クソッ…あの手帳さえあれば…。
(冨樫)手帳?明日18時です。
湾岸中央署員の応援よろしくお願いします。
はいどうも。
(ため息)
(携帯電話)はい。
もしもし?麻生たち予定どおり現れてくれますかね?しかしおかしくないかい?何がですか?麻生って指名手配されてるんだろ?そんな人間が船便の予約実名でするかな?いやまあそれはそうですけど…。
放っておくわけにもいきませんからね。
あれ?ただいま。
主任もう帰っちゃったんですかね?うっ…ああっ…。
ああ…。
(携帯電話)はい。
もしもし!?浅輪君!えっ?はい!小宮山さんが倒れていたのは有明西ふ頭公園です。
着信があった電話は過去に振り込め詐欺で使われていた番号と同じでした。
(青柳)やっぱりあいつらが…。
浅輪君。
麻生たちにやられたとして小宮山君一体なんのために行ったのかね?犯人に聞けばわかりますよ。
おはよう。
出航まで5分ですね。
来ますかね?現れました。
麻生です。
1人…?1人ですね。
もうちょっと待ってみましょう。
もう1人まだですかね?麻生だよな?イテテテ…イテッ!いつまで黙ってるつもりだ?悪いんだけど…。
時間がねえんだよ!おい矢沢!オラッ!やめろ。
悪いな。
こいつ友達が死にかけて気が立ってるんだよ。
まあここでケガされても困るし。
な。
話す気がねえんだったらお前帰っていいや。
何言ってるんですか?いいよ帰っていいよ。
その時は俺も辞表出してくるからさ。
(青柳)外でゆっくり話そうか。
な。
外でゆっくりケガさせてやるからよ。
いや帰れよ。
帰っていいって言ってんだよ。
おかえりなさい。
主任刺したのってもう1人の方だったのかな?ああ…そもそも小宮山君何調べてたの?村瀬さんの話によりますと麻生たちの目撃証言を得るためにスーパーに行ったそうなんですよ。
村瀬君?昨日から全然連絡つかないんですよ。
今回の件自分の責任だと思ってるんじゃないですかね?今日は店長お休みだそうです。
あそう。
どうします?変だよね。
え?この…レシートより2割高いんだよ。
これだけじゃない。
これも…。
これも…。
(ため息)知りませんよ。
特売日だったんじゃないですか?特売日?大体これ今必要ですか?今大事なのは3人目の男を捜す事じゃないんですか?あっすみません。
はい。
あのこの店って特売日ってあります?ええ。
毎月25日ですけど。
25日…?あっちょっと教えてもらっていいですか?はい…。
待ってたよ。
どうしてこの場所が?飯野の手帳に書かれてた番号は電話番号なんかじゃなかった。
(村瀬の声)3桁はロッカー番号。
4桁は暗証番号。
そして…。
「T03」は地下鉄の駅番号だ。
うわあ!港に引きつけておいて自分は空港から高飛びか。
なんで麻生を追わなかった?あいにく1つのヤマを取り合わないっていうのがうちの主任の方針でな。
わかった…。
飯野は俺がやった。
この…。
飯野だけじゃないだろう!違う!10年前の爆破事件に俺は絡んじゃいない。
なんだと?
(冨樫の声)飯野たちと知り合ったのはそのあとだ。
俺はただの金貸しだった。
3年前のあの日麻生が金を借りに来た。
一見して訳ありだってわかったよ。
(村瀬の声)それで通報すると強請って詐欺をやらせたわけか。
(冨樫の声)あいつらだって生きてく金が必要だった。
(飯野剛)もう限界だ。
こんな生活…。
逃げるために犯罪を重ねるなんて…。
じゃあどうするんだ?自首する。
(刺す音)
(飯野)ううっ!なんで刺した?俺の相方なんで刺した!刺した?待てよ。
なんの話だ?何!?今日はお二人ともお休みだって聞いたものですから。
あの話って…。
あの…。
小宮山君から聞いてご存じだと思いますが…。
男が殺された部屋に残ってたレシートです。
あの…全ての商品が2割引きになってるんです。
けどあのスーパー特売日って25日ですよね毎月。
あっ…。
ところがこれ13日なんですよ。
13日で全ての商品が2割引きになってるんですよ。
あっそれはあの…。
「SW」。
これ社員割引ですよね?でこの数字は社員ナンバー。
007は…。
あなた。
この商品を買ったのは…。
麗子さんあなたですよね?粉せっけん気になってたんです。
どうして今まで使っていた粉せっけんを急に変えたのか。
あなたが買ってあげたんですよね?これ。
飯野の肌荒れ気にして。
伊東朋宏さんの実家にも同じものがありましたよ。
お母様が昔の婚約者が買ってきてくれたと言っていました。
昔の婚約者平川亜希子さん。
あなたの本名ですよね?あなたは当時帝都理科大化学科の研究室にいましたよね?つまりあなたには爆弾の知識があったっていう事です。
指紋照合したらすぐわかるんですが…。
必要ですか?いえ。
おっしゃるとおりです。
麗子?飯野さんとは伊東さんのお通夜で会いました。
(麗子の声)伊東さんは桔梗の花がとても好きだったんです。
伊東の命は汚したまま終わらせません。
たとえ脅してでも濡れ衣を晴らしてみせます。
(麗子の声)飯野さんの話を聞いて協力したいと自分から言いました。
飯野さんの計画は爆弾を使う事で会社を脅して不正と濡れ衣を認めさせる事でした。
もともと誰かを殺すつもりなんてなかったんです。
でもそんな時間に爆破したらどうなるかぐらい…。
(麗子の声)爆発させるのは翌日の深夜の予定でした。
私が内緒でタイマーの時間を変えたんです。
経理部長がいつも昼休みそこでタバコを吸うって伊東さんから聞いてましたから。
じゃあ最初から殺すつもりだったって事ですか?濡れ衣なんか晴らしたってあの人が帰ってくるわけじゃない。
脅すだけじゃ気が済まなかったんです。
ところが亡くなったのは別人だった。
あなたは名前を変えて逃亡生活に入った。
生活費を稼ぐために働き出したスーパーで上野さんに出会い一緒に暮らすようになった。
逃げ惑う生活に疲れたんです。
この人と一緒にいれば少しは警察の目も欺けるんじゃないかと思って。
おかげで何年かは何事もなく暮らしてました。
でも去年の暮れ突然家に麻生が来たんです。
(麗子の声)詐欺の手伝いをしないとこの人に何もかも話すって。
それから飯野たちのところに出入りするようになった。
はい。
上野さん。
今の話どの辺まで知ってました?私は…。
この人はつい最近まで何も知りませんでした。
知った時には私を警察に売ろうとしたくらいですから。
警察に売る?私が時々いなくなるのを浮気だって勘違いしてこの前飯野さんの部屋までつけてきたんです。
それで昔の事知られちゃって。
それから何日もしないうちに刑事さんたちが職場に来たもんだから怖くなって…。
(麗子の声)あの刑事さんを呼び出して全部話そうとしたんです。
(麗子の声)だから私は…。
(刺す音)10年も逃げ続けたからこそ今さら捕まりたくなかったんです。
無関係の人を巻き込んでおきながら申し訳ありませんでした。
お二人今日休んでこういう打ち合わせをしてたんですか?はあ?上野さんあなたの事も調べさせて頂きました。
あなたも帝都理科大の卒業生ですよね。
在籍が91年の4月から95年の3月。
3年間ダブってるんですよね。
その頃からのお知り合いですか。
なんの話ですか?小宮山君にかけた電話あれオレオレ詐欺に使われた飛ばし携帯。
飯野の部屋にあったものです。
あれを持ち出せるのはあなたですよね?っていう事は小宮山君に電話をしたのは上野さんじゃなくてあなたっていう事ですね。
あぁ…飛ばし携帯を使ったのは所在を隠すため。
店の電話や家の電話を使えば警察に踏み込まれる。
そうすると上野さんに迷惑がかかる。
それと同時に飯野と関係者であるという証明にもなる。
それもあったんじゃないんですか?証明なんて…。
なんのためにわざわざ…。
もし自首したいと思っていたとしたらどうでしょう?レシートの事から真相が明らかになるのは時間の問題だと考えたあなたは上野さんに迷惑がかかる前に小宮山君に自ら名乗り出ようとした。
そしてそのあとを上野さんがつけていた。

(麗子)あっあなた…何やってんのよ!どこだ!?どこだ?レシート!レシートどこだよ!何やってんのよ!逃げて…。
あと俺…俺なんとかするから。
ちょっと…早く!上野さんをかばうためにとっさにその場を離れた。
違うんです。
この人は私と違ってそんな事が出来る人じゃないんです。
それ桔梗ですよね?伊東さんの仏前にも供えてありました。
私飯野や伊東さんのお母さんに対するあなたの心遣いを見ててあなたが人の命の重さに感じ入られない人間じゃないって思ってるんですよ。
嘘です。
最初から殺す気だったなんて…。
本当はタイマーの午前と午後を間違えただけなんです。
刑事さんたちの目を僕に向けさせないためにわざと嘘をついているんです。
あなた…!おっしゃるとおりあの刑事さんを刺したのは僕です。
全て話して頂けますか?彼女と再会をしたのはアルバイトの面接の時偶然でした。
(上野)ごめんなさいねバタバタしてて。
えっと…中川麗子さん。
亜希子さん?人違いです。
すみません。
あっ…。
平川亜希子さんですよね?いえ…。
(上野の声)忘れるはずありません。
大学時代ずっと片思いしていた人でしたから。
どうして名前を変えているのか。
その時は借金取りに追われてるからって話でしたがなんか…別の事情があるんだろうとは思ってました。
だけどそれよりまた彼女のそばにいられる事が嬉しかった。
一緒に仕事をするうちにどんどん彼女にひかれていってしまって…。
ある日結婚を前提に交際を申し込んだんです。
私結婚は出来ないんです。
どうして?なんか事情あるの?ごめん!そうじゃないよね。
俺の事が…。
違うんです!私…人を殺したんです。
今なんて…?
(上野の声)それから事件の事婚約者の事全部聞きました。
最初は信じられませんでしたが警察のサイトに彼女が言ってたとおりの事が載ってて…。
(タイマー音)
(爆発音)今までだましていてごめんなさい。
私お店辞めます。
警察に通報するならしてください。
すみません。
僕のうちに来ないか?
(上野の声)その方が警察の目もごまかせるんじゃないかって彼女には言いました。
本当はただいてほしかったのです。
周りには結婚したと偽って一緒に暮らし始めました。
刑事さん僕は全部知っていながら匿っていたんです。
彼女との暮らしは僕にとってかけがえのないものでした。
僕はどうしても…どうしても失いたくなくて…。
申し訳ありません。
どうして…!私たち本当の夫婦じゃないのよ。
あなたには関係ない事じゃない。
あの…向こうの部屋に写真ありますよね。
ああいう写真って新郎新婦が並ぶんじゃないんですか?どうしてあなたは並ばなかったんです?あのウエディングドレスは彼女のたった1つの持ち物でした。
多分前の方に作ってもらったものなんでしょう。
その彼女の気持ちを思うと僕はどうしても隣に並ぶ事が出来なかった。
桔梗には変わらない心って意味があるそうですね。
結局…僕はずっと片思いだったんです。
ちょっと…!おい!麗子…。
違うの!私ならとっくに変わってる。
今本当に大事なのはあなたなのよ!あなたなのよ!
(泣き声)
(携帯電話)はい。
浅輪です。
わかりました。
小宮山さん…。
ICU出ました。
係長…。
大丈夫?うん平気。
だけどちょっとうらやましいような話ね。
いいなぁ…。
私も誰かにそこまで愛されてみたいもんだわね。
はぁ…。
小宮山君。
ん?どうしたの?これ。
イテッ!え?いや…。
あの…階段で足を滑らせてね。
ハハハッパートナーがケガして入院してるっていうのに…。
本当私の周りにはろくな男がいないんだから。
(矢沢の咳込み)あっ主任いました?いや屋上にはいねえな。
えっ!?だって看護師さんが屋上にいるって。
いないから。
下探そう。
えーまた下下りるんだ。
もうひざが…。
大丈夫ですか?肩貸します。
売店でアイス買ってやるから。
2014/04/25(金) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
警視庁捜査一課9係[再][字]

「逃亡者の殺意」

詳細情報
◇番組内容
規格外の捜査官7人で織りなす最強捜査チーム9係、ふたたび始動!先の読めない展開と、重厚かつ濃密な人間ドラマにさらなる磨きをかけた刑事・群像劇シリーズ第8弾!
◇出演者
渡瀬恒彦、井ノ原快彦、羽田美智子、吹越満、田口浩正、津田寛治、原沙知絵 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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