歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!私の部屋にようこそ!歴史大好き歴史アイドルの小日向えりです。
私は日本の戦国時代や幕末中国の「三国志」が大好きなんですけど世界史はまだまだ分からない事がいっぱいです。
そこでこのお部屋に世界中からさまざまなゲストをお招きしてそれぞれの国の歴史を教えてもらう事になりました。
今日は太平洋の向こう側からお客様がいらっしゃいます。
楽しみですね。
Welcome!Hi.Hi!Howareyou?I’mfine,thankyou.IamPatrick.Nicetomeetyou.
今日のゲストはアメリカ人のパトリック・ハーランさん。
お笑いコンビパックンマックンのパックンとして人気。
語学番組を中心に活躍中です
お土産を持ってきました。
はい。
ジャン!ポテトチップス?そうなんですよ。
ポテトチップスアメリカが発祥の地であって…。
確かにアメリカといえばポテトチップスというイメージ。
ありがとうございます。
このポテトチップスの原料でございます。
じゃがいもですよね。
いや…英語で言っただけじゃないですか。
じゃがいもチップスと言ってないから。
このじゃがいもなんですけどこれがポテトチップスの原料になっただけではなくいろんなところでいろんな役割を果たしているんです。
という事で今日はじゃがいもにまつわるエピソードを使っていろんな世界史を勉強しようと思ってる。
じゃがいもから世界史を…。
そのとおりです。
面白そう。
題して…グローバルヒストリーですか。
そして今回は心強い助っ人をお呼びしております。
こちらです。
ジャン!ジョン・F・ケネディさん。
ご存じです?はい。
若くして大統領として活躍された方で確か暗殺されましたよね。
このケネディ大統領とじゃがいもとは知られざる深い関係があるのです。
深い関係?そうなんです。
何ですか?それはご本人に語って頂きましょう。
え?ComeonJohn!Tellusyourstory.私はジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。
アメリカ合衆国第35代大統領である。
後に人類の偉業へと発展する私の声明がこれだ。
1969年7月アポロ11号は月面への着陸に成功。
私の公約どおり人類は月にその第一歩を記したのだ。
さてこの月着陸とじゃがいもに歴史的つながりがあったといったら君は信じる事ができるだろうか?答えはイエスである。
じゃがいもの原産地は南米のアンデス山脈だ。
それが長い年月を経て世界に広まった。
煮たり焼いたりフライにしたり。
じゃがいも料理の種類は豊富。
今や世界中の人たちがじゃがいもを食べている。
そしてこのじゃがいもが私の大統領就任にも深く関わってくる。
今日はじゃがいもと月着陸との関係から世界の歴史をひもとこう。
じゃがいもとケネディさんがどう関係するのかも全く想像つかないんですけど。
…どういう存在ですか?ケネディ大統領はアイルランド系アメリカ人。
僕もご先祖様がアイルランドから来た訳ですよね。
そうなんですか。
そうなんです。
そしてケネディ大統領はハーバード大学出身。
僕も実はハーバードに行ってるんですよ。
僕が住んでいた時の寮が実はケネディ大統領が住んでたビルだと。
学生時代に住んでた場所が同じ場所。
そうなんですよ。
すごい!結構何ていうんですかね…選ばれた存在ですよあそこに暮らせるのは。
ところでこのじゃがいもとのつながりって何が関係あるんですか?まあそれは本人に聞きましょう。
John,tellustherestofthestory.じゃがいもは南米アンデス山脈が原産。
標高4,000m近い高地に自生していた。
雨が少ない上に昼夜の温度差が激しいため小麦もとうもろこしも育たない過酷な環境である。
これはアンデスで使われていた…紀元前からアンデスでじゃがいもが食べられていた事の証拠だ。
このじゃがいもが世界へ進出するきっかけは15世紀に訪れた。
ヨーロッパは大航海時代のさなかである。
1492年イタリア出身のコロンブスがスペインの援助を受けアメリカ大陸への到達を果たす。
このころアンデスを治めていたのがインカ帝国である。
国土は現在のペルーを中心に南北4,000kmに及び最盛期には1,600万もの人口を抱える巨大な帝国だった。
インカ帝国の時代に行われていたインティ・ライミ。
冬至の日に太陽の復活を祈願する儀式だ。
奉納されるじゃがいも。
帝国を支える重要な食料それがじゃがいもだった。
しかしこのインカ帝国に危機が訪れる。
フランシスコ・ピサロ率いるスペイン軍の侵略だ。
インカの豊富な黄金を奪うためである。
数万人のインカ軍に対しスペイン軍は僅か200人足らず。
しかし南米にはいなかった馬や鉄の兵器鉄砲や大砲まで駆使するスペイン軍はインカ軍を圧倒する。
1533年インカ皇帝は処刑されインカ帝国は滅亡したのだった。
スペイン人たちは金銀をはじめさまざまなものをヨーロッパに持ち帰った。
この時じゃがいもも初めて大西洋を渡ったのだ。
じゃがいもはこのあと世界中に伝わり全人類の財産になっていく。
じゃがいもって今世界中で食べられてますけどもともとは南米のアンデスの方からなんですね。
スペイン人なんですけど何で何百万人もいる原住民をそんなに簡単に征服できたかっていいますともちろんそれは軍力の差もあった。
それよりも恐ろしかったのは…病気にかかっちゃったんだ。
そうなんですね。
インフルエンザとかはしかやおたふく天然痘など。
ヨーロッパ人はみんなそれに接してるから免疫は出来てる訳ですね。
南米の方には免疫力はなくて新しく入ってきたその病気にはすぐかかってそれによってインカ帝国などが滅亡したと言っても過言ではないですね。
でもかわいそうな話ですね。
そうなんです。
じゃがいもを教えてあげたりとか金銀を持ってかれた代わりにもらったものが病気…。
菌ですそうなんです。
なるほど。
そしてそのじゃがいもの歴史とそのあとのヨーロッパアメリカの展開はどうつながっているのか。
John,comeon!Tellusthewar.16世紀にヨーロッパに渡ったじゃがいもだが最初は食用ではなく主に家畜の餌として用いられていた。
その転機は17〜18世紀に訪れる。
このころヨーロッパでは多くの戦争が起きていた。
宗教の対立からいくつもの国々が争う時代を迎えていたのだ。
戦争による食糧不足だけでなくこの時期は小氷期とも呼ばれ寒冷な気候が襲っていた。
戦争と寒さのダブルパンチで飢きんが頻発した。
食糧不足を解消する方法としてプロイセン国王フリードリヒ2世によって出されたのがじゃがいも令である。
それまで家畜の餌だったじゃがいもを国王自ら国民に食べる事を強制した。
じゃがいもの持つ利点に注目したのだ。
そもそも地面の下で育つじゃがいもは寒さに強い。
しかも収穫は小麦のおよそ10倍だった。
プロイセン国王のじゃがいも令は国民を食糧難から救った。
更にフランスやロシアもじゃがいも栽培に乗り出す。
その後ヨーロッパの人口が増加した要因の一つがじゃがいもの普及だとする説さえあるのだ。
じゃがいもがたくさんの人の命を救ったんですね。
そういう事ですね。
日本でも同じ時期18世紀ごろに大飢きんが起きてるんですよ。
ほう。
「享保の大飢きん」っていって将軍の徳川吉宗が「さつまいもを食べよう」と働きかけたんですよ。
痩せた土地でもよく取れる作物があるのを見つけてそれで飢きんを乗り越えたんですよね。
似てますよね。
似てます。
ところでケネディさんはまだですか?さっきからじゃがいもからなかなかケネディに行かないんですけども。
じゃあJohn,it’syourturn.ヨーロッパの西の端大西洋に浮かぶアイルランド島。
実は私の曽祖父の故郷である。
これは島の南部の町に今も残る私の祖先の家だ。
私の3代前のケネディ一家はこの部屋をあとにアメリカへ移住した。
そこにはじゃがいもが大きく関係しているのだ。
カトリックのアイルランドとプロテスタントのイギリスとの間には宗教的な対立があった。
カトリック弾圧の任に当たったイギリスの…アイルランドに攻め込み教会を破壊し信者を虐殺した。
アイルランドを征服し植民地としたのだ。
アイルランド人は農地を没収され小作農となった。
収穫した穀物のほとんどは地主に納めなければならない。
そのため条件の悪い土地に自分たちのためにじゃがいもを植えるようになった。
アンデス原産のじゃがいもは寒く痩せた土地でも育った。
私の祖先が生き延びたのもじゃがいものおかげといっていいだろう。
ところが1845年じゃがいも疫病が発生し国じゅうのじゃがいもが一斉に枯れてしまった。
人々を飢えが襲った。
これがじゃがいも飢きんである。
100万を超える人々が犠牲になった。
生き残った者のうち150万の人々は海を越えアメリカを目指した。
1848年私の曽祖父もこの中にいたという訳だ。
彼らはその後のアメリカ社会を支えていく事になる。
時代は20世紀。
いよいよ私の出番だ。
1961年私はアイルランド系カトリック初の合衆国大統領となった。
このころ世界はアメリカを中心とした資本主義陣営とソ連を中心とした社会主義陣営が対立する冷戦の時代だった。
ソ連はアメリカよりも先に人工衛星の打ち上げに成功。
そこで私は宣言したのだ。
こうして私は巨額の国家予算を投じアメリカの威信を懸けた宇宙開発に乗り出す。
しかし1963年11月22日私は遊説中志半ばにして暗殺されてしまう。
(銃声)
(発射音)私の志を引き継いだアメリカは1969年7月見事月面への着陸に成功し人類は月にその第一歩を記したのだ。
じゃがいものおかげで私の祖先が生き延びそして私が誕生したからこそ人類の月着陸は成功した。
歴史とはしばしばこのように芋づる式に展開する事をご理解頂けただろうか。
このじゃがいもがなければケネディ大統領も誕生しなかったかもしれないし更にはアポロ11号が月に行く事もなかったかもしれないんですね。
そうなんですね。
じゃがいもすごいですね。
見直しました。
ハハハ…。
どんなに低く見積もってたのじゃがいもの存在を。
でもじゃがいもだけじゃなくて人も移動してるんですね。
そうなんですね。
…と思うとやはり歴史って面白いですよね。
面白いですね〜。
世界ってつながってますね。
ジョン!お願いします!ジョン知ってんのかな。
ジョンも知らないみたいです。
すみません。
アメリカの人でも…。
あっ先生が呼んでる。
ちょっと聞きに行ってきますね。
そこにルーフバルコニーがありまして。
そこに先生がいるんですか?はい。
いつもそこで待っててくれてるんですよ。
面白い設定だね。
ルーバルには先生。
やっぱりこちらにいらっしゃいましたね。
どうしました?お座り下さい。
はい。
じゃがいもが日本に来たのはいつなんですか?日本に来たのはですねちょうど日本が江戸時代に入る前後つまり16〜17世紀にかけてのその辺りの時代ですね。
それを地図で説明したいと思います。
まず15世紀にヨーロッパの人たちが大西洋に乗り出していく訳です。
スペインやポルトガルは南米の方にまで向かう訳ですね。
特に銀が大量に産出されてたという事もありここを征服します。
更にスペインはメキシコも征服する訳ですがフィリピンの今のマニラと太平洋航路がつながる訳ですね。
そうすると東アジアと南北アメリカ大陸がつながる。
更には16世紀17世紀になると東インド会社というのがヨーロッパの国で作られていきます。
彼らが南北アメリカから産出される銀をインドや東アジアまで運んでいってここでアジアの産物を手に入れてヨーロッパに持っていく。
そういう意味で15〜17世紀にかけて世界をぐるっと一周する大きな流れが出来る訳です。
金銀とかそういう作物とかいろんなものが海を渡って行き交ってたんですね。
そうですね。
それでじゃあなぜじゃがいもがこの話と関係あるか。
実はオランダ東インド会社はジャカルタという所にアジアの拠点を置きます。
このジャカルタから長崎に江戸時代に入ってきたという。
そしてこのジャカルタは実は当時の日本には「じゃがとら」という名前で入ってきます。
じゃがとらが日本に入ってきて…そこに由来があったんですか。
はい。
世界のつながりが分かりました。
そうですね。
金や銀や人や物や病気まで世界が一体化する事によって移動していく。
それが今の私たちの生活にとても深くつながってる。
グローバルヒストリー。
なるほど。
そう思うとすごく歴史が楽しくなりますね。
そうですね。
また分からない事があったら聞きに来ます。
はいどうぞ。
さあえりちゃんケネディとじゃがいものグローバルヒストリーいかがでしたか?じゃがいもとか病気とか…すっごい興味深かったです。
ほかのものも調べてみようかなって…。
コーヒーでも紅茶でも。
どこから生まれたとか調べてみると面白そうですよね。
いいですね。
今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
いや〜面白かった。
いく?はい。
スペイン人によって略奪された金銀と一緒にヨーロッパへ渡りました。
その後じゃがいもはヨーロッパ中に広がりました。
じゃがいもだけでなく…2014/04/25(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「世界史への招待」[字]
歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つ多彩なゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…人類の月面着陸とジャガイモの意外な関係は?
詳細情報
番組内容
学習ポイントは「身近な食物の由来から世界史をひも解こう」「国や地域を超えた歴史のつながりをたどってみよう」「日本との関係に目を向けてみよう」。内容は「南米原産のジャガイモ/大航海時代に欧州へ/インカの滅亡」「ドイツで食糧難を救う/同時期に日本でも…?」「アイルランド飢きんとアメリカ移民…ケネディ大統領」。【司会】小日向えり【ゲスト】パトリック・ハーラン【講師】水島司(東京大学教授)
出演者
【講師】東京大学教授…水島司,【ゲスト】パトリック・ハーラン,【司会】小日向えり,【語り】大塚芳忠
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
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