歴史に対する憧れと深い知識を持ったアイドルの養成所。
それが日本史研究の殿堂高橋歴史女学館である。
日本史の殿堂高橋歴史女学館へようこそ。
館長の高橋です。
ここは日本初の歴史アイドル養成学校です。
早速ですがこれから1年間この女学館で学ぶ3人の生徒を紹介しましょう。
込山榛香です。
これから楽しく日本史を勉強していきたいので笑顔を絶やさずそして失敗を恐れずに頑張っていきたいと思います。
はい土保瑞希です。
私は3人の中だと最年長なのでみんなをまとめながら皆さんが日本史を好きになって頂けるように楽しく学んでいきたいと思います。
よろしくお願いします。
はい向井地美音です。
私は科目の中で日本史が一番好きなので次は「日本史が一番得意だ」って言えるぐらい一生懸命勉強していきたいです。
よろしくお願いします。
君たちはみんな高校生でありそしてAKB48のメンバーだよね。
(3人)はい。
たくさんのメンバーがトップを目指して総選挙で競い合っているとか。
はい。
200人以上のメンバーが毎日頑張っています。
そうですか。
200人以上もいるんだ。
そうなんです。
芸能界は「弱肉強食」。
しれつな生存競争に生き残った者だけが大スターになれる。
君たちが生き残るために必要な事それは一芸に秀でる事です。
それが歴史アイドルですね。
そのとおり!君たちはこの高橋歴史女学館で日本の歴史を学び最強の歴史アイドルいわゆる歴ドルになって厳しい芸能界を生き残っていくんだよ。
(3人)はい!ここで今回学ぶべき重要ポイントを見てみよう。
今回の時代と「三つの要」。
今回の時代は…はるか昔です。
2つの時代は何がどのように違いそしてどのようにして移り変わっていったのでしょう。
なんとそこには鍋料理のルーツが大きく関わっていました。
今回押さえるべき「三つの要」は…知られざる鍋料理の起源に近づいていきましょう。
鍋といえばやはり土鍋。
寒い時にはこれが一番。
これに熱かんキュッと一杯…。
あっ講義中講義中。
失礼しました。
君たち高校生にとってもこの鍋料理身近な存在なんじゃないですか?
(込山)鍋は囲んで楽しく食べられるので私は家族でよくみんなで食べます。
やっぱり鍋っていいですよね。
最高です。
実は今回我々が学ぶ旧石器時代から縄文時代への移り変わりにこの土鍋のルーツが深い関わりを持っているんです。
それでは「三つの要」に沿って見ていこう。
その一!今からおよそ2万年前の旧石器時代。
地球は最終氷期といわれる時代の中でも最も気温の低い時代に当たり大陸は巨大な氷河に覆われていました。
日本列島に当たる地域は大陸と陸続きでした。
氷河のため海水が減り海面は今より100m以上下がっていたのです。
対馬海峡も今より狭く陸続きだったという説もあります。
平均気温は現在より7℃以上低く日本は今のシベリアと同じような気温だったと考えられています。
旧石器時代人々の食料となったのはナウマンゾウオオツノシカなどの大型動物でした。
長野県北部の野尻湖。
ここはナウマンゾウが発掘された事で有名な湖です。
これまで5万〜3万年前のものと思われるナウマンゾウやオオツノシカの骨や角が数多く発見されています。
こうした出土物から野尻湖は旧石器時代の人々が狩りをした場所と考えられているのです。
そのころ用いられた道具は石器でした。
細石器は小型の刃先で骨や木の枝の先に埋め込み槍として用いたと考えられています。
このような道具を使い人々は狩りをしながら転々と移動生活をしていたのです。
今回特別に旧石器時代に使われていた石器類。
これみんな石をたたいて作った打製石器。
これ見て下さい。
尖った頭と書いて尖頭器。
尖頭器といいます。
ほら尖ってますね。
尖ってます。
実はこれこういう木の先に結び付けて大型動物に向かってだ〜んと投げて槍として使ったようです。
すごい。
こうやって…大変そうだね投げるの。
旧石器時代から縄文時代へどのように移り変わっていったのかそこに大きく関わっていたのが気候の変化であります。
旧石器時代は氷河時代だった訳ですね。
ちょうどここら辺かな。
これが最終氷期。
これで終わりますね。
そのあと地球は温暖化していくんですね。
この気候変動が時代を変える原動力となり時代は旧石器時代から縄文時代へと変わっていきます。
ここで「三つの要」その二を見てみましょう。
最終氷期が終わり地球は急速に温暖化が進みました。
そのため海面は上昇し日本海は拡大します。
更には日本海に暖流が入り込むようになりました。
それが環境の変化をもたらします。
日本海側では冬の雪の量がそして太平洋側では雨が多く降るようになり温暖で湿潤な気候へと変わっていきます。
こうして現在まで続く豊かな森林が生まれたのです。
狩りの対象はゾウやオオツノシカといった大型動物からイノシシやシカ鳥など中型で動きの素早いものに変わりました。
そうした獲物をしとめるために作られたのが弓矢です。
矢の先端に付ける石鏃つまり石の矢じりは縄文時代から見られるようになりました。
狩猟の変化だけでなく豊かな森林が広がったためドングリをはじめクリやきのこゼンマイやフキノトウなどの山菜といった豊富な森林資源の採集ができるようになります。
一方温暖化による環境の変化は海面の上昇によってももたらされます。
関東地方では陸地の低い所が海に沈んでいき関東平野の奥まで海が入ってきました。
これが縄文海進です。
およそ5,500年前最も温暖化が進んだ時期には埼玉県の東半分にまで海が進入していました。
その埼玉県富士見市にある水子貝塚です。
数回の発掘調査で竪穴住居跡が見つかった事から海の幸を求めて当時の人々が集まり村を形成した跡と思われます。
こちらは貝塚で出土した貝殻の分厚い層貝層断面です。
シジミやハマグリカキなどさまざまな貝が見つかっています。
豊富な海と山の幸。
環境の変化に伴って食生活が豊かになり移動生活から定住生活へ人々の暮らしも大きく変わったのです。
今回特別に縄文時代に使われていた石器類これも用意しました。
旧石器時代の打製石器と比べて何か違いあるかな?すっごいちっちゃくなりました。
これね石鏃。
石の矢の先っぽですね。
これが尖頭器ですよ。
前はこれで大きい動物を追ってた訳ですけどだんだんこういう小さい矢じりを矢の先につけて…。
なるほど〜。
すばしっこい動物とかだとやっぱり弓の方がいいですか。
環境の変化によって道具も変化する事がよく分かりました。
そして道具が変化すると時代も変わるんですね館長!そのとおりなんですよ。
その象徴ともいえるものがあります。
向井地君ちょっとそれ持ってきて。
はい。
はいこれ。
はい。
石器時代から縄文時代へその変化の象徴とは…。
せ〜の。
そのとおりなんです!土器の誕生には縄文時代の環境と暮らしが深く関わっています。
今回はそれについて君たちが調べてくれたんだね。
はい。
「三つの要」その三「縄文人の生活」は私たちが実際に体験してきたので是非ご覧下さい。
(3人)どどん!3人が訪れたのは東京・多摩市にある…
(3人)こんにちは。
こんにちは。
案内して頂くのは縄文時代に詳しい武内さんです。
ここでは旧石器時代から縄文時代にかけておよそ1,000万点の出土品を保存展示しています。
縄文時代というとやはり一番有名な縄文土器になります。
これが本物の縄文土器になります。
予想よりも大きいんですね。
(武内)そうですね。
この土器皆さん今だったら何に使いますか?
(武内)花瓶。
花を生けたり。
こんな形の土器が本当にお鍋になるのでしょうか。
その真相を探るため展示館の隣にある縄文の暮らしを体験できる場所に行く事になりました。
おっ竪穴式住居。
(込山)教科書とかに載ってるやつ。
(武内)そうです。
ここにあるのが竪穴住居といわれています。
実はこの場所縄文時代の遺跡の上に当時の竪穴住居を再現しているのです。
すごい!これは土器ですか?
(武内)はいそうです。
水を張ってたき火でお湯を沸かしているところです。
花瓶のような細長い形はたき火の熱を側面から受けるのにちょうどいい形だったんですね。
ちなみにこの土器はレプリカです。
縄文の人たちは何を食べてたんですか?それについては今からご紹介しますね。
(3人)やった〜。
これが今回ご用意頂いた食材です。
まずはシメジやマイタケといったきのこ類。
コゴミやタラノメセリといった山菜類。
そしてイノシシの肉は狩りをして得ていました。
どれも縄文時代からあったと思われる食材です。
この中に…水の中にって何か入ってますか?実は今日この中には昆布が入っています。
海草は昔からありますからね。
昆布だしのお湯の中に食材を入れました。
しばらく煮ると…土器の中に変化が…。
あっこの白いのアクですか?そうですね。
こういった食べ物を入れていくとアクが浮いてくるので…このアクをきれいに取ります。
そして縄文時代も使われていたお塩を味付けに入れれば…。
これで完成です。
イエ〜イ。
完成した料理は竪穴住居の中で試食する事にしました。
食べてみましょうか。
縄文人が食べた鍋料理。
見かけはお雑煮やお澄ましのようですがお味の方は…。
うん。
今と変わんないです。
(武内)そうですか?はい。
おいしい。
(武内)よかったです。
お肉も豚肉とあまり変わらない感じでおいしいです。
山菜も普通の野菜みたいな感じですね。
縄文人にとって土器は必需品だったって事ですね。
いや〜今の鍋と違ってこういう形してたのがどうしてこんな形なのかというのがよく分かりました。
周りから火が来るように作られていた。
感想どうですか?私はですねこんな昔から今と変わらない鍋料理を食べていた事に驚きました。
私は自分たちの手で食べ物やおうちとか全部作って毎日がキャンプみたいで楽しそうだなと思いました。
はい。
そして土器の登場が人々の生活をどう変えたのかまとめました。
まず煮る・ゆでるという新しい調理法で食文化が豊かになりました。
またアク抜きができるようになりそれまで食べられなかった物が新しく食べられるようになりました。
土器に入れてものを運んだり貯蔵したりする事もできるようになりました。
食器にも使えたと考えられています。
定住した住居の中心に作りつけの炉を置くというスタイルが定着しました。
いや〜みんなご苦労さまでした。
もしかしたらあの土器を使ってお酒とか漬物とか発酵食品を作っていたかもしれないですね。
そうやって考えるとすごいですね。
歴史とは暗記するだけでは駄目だと思うんですよ。
何かを推理していく事がとっても大事だと思うんですね。
私は歴史の楽しさっていうのは本当は歴史というのは分かっていない事の方が多い。
それをどう推理していくかという事だと思っております。
旧石器から縄文時代について学んできましたが我が女学館の特別講師であります尾先生に更に趣のある深〜いお話をお聞きしましょう。
皆さんこんにちは。
(4人)こんにちは。
今回は氷河時代の約2万年前の日本列島の姿を見ました。
これがその当時の地図です。
つながってますね。
(尾)ところでこの地図を逆さにしてみましょうか。
(込山)逆さにしただけでだいぶ印象が変わりますね。
日本に見えないです。
こうなると不思議ですね。
(尾)大陸から動物がそして…確かにここの人はここ何があるんだろうって目で見ますよね。
行ってみたくなりますね。
現在のような日本列島になってからも…はい。
そうかぁ。
その当時は日本海なんですね。
(尾)そうなんですね。
近世に至るまで日本海側がいわば日本の玄関口として発展していくんです。
ほう〜。
(尾)地図の方向を変えるだけでも日本列島の形が新鮮に見えましたよね。
だいぶイメージが違いますね。
(尾)そうですよね。
同じように歴史を…
(尾)これから1年間そういう事も意識して学んでいってもらいたいと思います。
(3人)はい。
尾先生ありがとうございました。
(3人)ありがとうございました。
今回は…という事が分かってもらえたと思います。
鍋料理はその象徴だったのかな?館長。
おなかもすいたしそろそろお鍋食べましょうよ。
いいですね鍋。
はい!私が鍋奉行。
はいどうぞ。
おお〜。
(3人)わあ〜。
(3人)おいしそう。
頂きます。
2014/04/25(金) 14:00〜14:20
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 日本史「旧石器から縄文へ」[字]
旧石器時代から現代まで、日本の社会はどう変わったのか?どうして変わったのか?日本史研究の殿堂、高橋歴史女学館でその謎に迫る。【出演】高橋英樹・AKB48
詳細情報
番組内容
旧石器時代と縄文時代。二つの時代は何がどのように違うのか? 旧石器時代は平均気温が現在より7度以上低い寒冷な時代だった。その後1万数千年前から地球は温暖化する。気候や地形、食糧の変化に対応し、人々は弓矢や土器などの新しい道具を作り出していった。今回は、旧石器〜縄文時代を、気候の変動という視点でたどっていく。
出演者
【講師】高等学校教諭…尾