猛暑が続く中、各地でさまざまな勉強会や研修会が開かれている。昨日(8月22日)は愛知県蒲郡市で開かれた私学教職員の研修会に招かれて話す機会があった。与えられた演題は「政府はこうして国民を騙す」。昨年、出版した私の本のタイトルである。
当時と政権は変わっているが、政府とメディア、国民の関係をめぐって変わった部分もあれば、変わっていない部分もある。政府は国民を騙しているのか、いないのか、あらためて考えてみたい。
私が講演で扱った材料は福島第一原発の汚染水問題と消費税、環太平洋連携協定(TPP)、それに集団的自衛権と憲法改正問題だ。
汚染水問題は事故の第2ラウンドの幕開け
まず汚染水問題をどうみるか。流出した汚染水は300トンとされていたが、講演を終えた後になって「新たにタンク2基で流出か」という記事が流れた。
報道によれば、東電関係者は外洋に流れた可能性を認めている。そうだとすれば、大変な事態である。事故の第2ラウンドが始まったと言ってもいい。なぜなら第一に、すでに情報提供を求めている韓国はじめ、欧米にも強い懸念が出ている。つまり事故の影響と被害が国際的に広がり始めた。
第二に、汚染水の流出を止める有効な手段が見つかっていない。半面、地下水の流入は続いている。遮水壁を作るとしても、完成には年単位で相当な時間がかかる。それまで被害の拡大は待ってくれない。そうなると、日本への国際的な批判が高まるのは避けられない。
前回コラムで書いたが、汚染水対策が遅れた本質的な原因は、事故当時の民主党政権が東電を破綻処理せず、会社を存続させたまま事故に対応しようとしたからだ。
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