長谷川幸洋「ニュースの深層」
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TPP協議は継続だが、アジア太平洋全体の連携強化を鮮明にした日米共同声明を評価する

2014年04月26日(土) 長谷川 幸洋
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中国を注意深くけん制した                           photo gettyimages

日米首脳会談の共同声明がようやく発表された。主役である安倍晋三首相とオバマ米大統領の会談が終わった後、脇役にすぎない両国の閣僚が環太平洋連携協定(TPP)をめぐって夜を徹した交渉を続けた末、声明発表にこぎつけるという異例の展開である。

TPP交渉決着へ一歩前進

これを見ただけでも、両国がいかにTPPをまとめたいかがよく分かる。首脳会談の「陰の主役」である中国をけん制するために、日米としては、なんとしても強固な絆でアジア太平洋地域の連帯感をアピールしたかったのだ。

これまで何度も書いてきたように(たとえば、2013年8月23日公開コラム)、TPPは貿易自由化と中国をにらんだ安保防衛という2つの側面がある。ロシアによるクリミア侵攻という「あからさまな力による現状変更」の試みが中国を一層、刺激しかねない局面で、日米関係を軸にしたTPPは一段と重要になっていた。

結末は協議継続という形になったが、声明は「TPPに関する2国間の重要な課題について前進する道筋を特定した」と述べている。一歩前進であるのは間違いない。最終合意までには曲折があるだろうが、これで基本路線ははっきりした。日米両国はなんとしても交渉をまとめる方向だ。

声明は尖閣諸島の防衛について、あらためて大統領によるコミットメントを明確にした。さらに日本の集団的自衛権の行使をめぐる検討についても「歓迎し支持する」と書き込んだ。これらはもちろん、日本にとって大きな成果である。

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