トレヴィルの命で三銃士をさがすダルタニアン。
アトスポルトスまではうまくいったものの3人目のアラミスでつまずいた。
(アラミス)目的はなんです?答えなさい。
回想
(トレヴィル)人の心は移ろいやすい。
三銃士が今も変わらぬ忠誠心を持っているとは限らん。
トレヴィルの名はふせまずはさそい出すのだ。
トレヴィルの名前を出すことができないダルタニアン。
さあどうする?
(ダルタニアン)わかりました。
本当のことを言います。
それが身のためだ。
教会の司祭様にたのまれたんです。
司祭様に?はい。
これは司祭様にはないしょにしてください。
「絶対言うな」と言われているので。
司祭様に何をたのまれた?何を?えっ…。
実はあの方はアラミスさんの…おたんじょう会を考えているんです。
おたんじょう会?はい。
アラミスさんにはだまっていてびっくりさせようという計画なんです。
ほらよく言う「びっくりパーティー」ってやつですよ。
わからないな。
ぼくがアラミスさんをさそい出して今夜9時にふん水広場に連れていったらそこにはお友達とかたくさんかくれていていっせいに飛び出して「おめでとう」って言う段取りになってるんですよ。
司祭様がなぜそんなことを?これぼくから聞いたって絶対言わないでくださいね。
後で司祭様におこられちゃうから。
だがわたしのたんじょう日はまだ8か月先だ。
えっ…だってたんじょう日にやるとびっくりしないじゃないですか。
8か月前にやるからびっくりパーティーなんですよ。
ふ〜ん。
理にかなっている。
でしょう!たんじょう日を祝ってもらえるなんて何年ぶりだろうか?今夜9時ふん水広場ですね?うん。
おくれないでね。
(犬の遠ぼえ)ワオ〜ン!だけどさあんなにうまくいくとは思わなかったな。
(プランシェ)ウッキ〜!8か月も前にたんじょう会やるわけないじゃないか。
ねえ?ウッキ!アラミスもたいしたことなかったな〜。
あの人たち本当に伝説の銃士なのかな?ぼくに言わせればただのよっぱらいのおやじと小太りな女ったらしとまぬけな神父さんだよ。
キッキ〜!
(アトス)悪かったな。
ただのよっぱらいで。
い…いつからいらっしゃったんですか?おまえが来るだいぶ前からだ。
信用できない相手と会うときはまず先に乗りこむこと。
これは鉄則だ。
覚えておけ。
覚えておきます。
ぼうず。
おれをだましたつもりだったか?いえ…。
おまえの言葉をうのみにするほどおれはバカじゃないさ。
よいしょっと。
ではなぜここに?だれがおれをおびき出そうとしているのか知りたくなってね。
(ポルトス)右に同じ。
えっポルトスさん。
ハハハハッ。
なんだおまえも来てたのか。
このおぼっちゃんはどうやら自分以外はみんなバカに見えるようだ。
また太ったなポルトス。
太ったんじゃない。
むくんでるんだ。
おまえこそ相変わらず酒くさいな〜アトス。
気をつけろ。
おれに近寄るとよっぱらうぞ。
ハハハハッ。
さてと…。
ぼうや白状してもらおうか。
だれの差し金だ?それは…。
悪いことは言わん。
いたい目にあいたくなければあらいざらい話すことだ。
(アラミス)どうやらびっくりパーティーは中止のようだな。
アラミス!?ごぶさたしています。
おまえもか?はあ…。
ダルタニアン君。
わたしがあんなウソを真に受けたと思ったかね?ふつうびっくりパーティーはたんじょう日の8か月前にはやらない。
バレてたんですね。
なんだみなさん本当は気づいてたんですね。
お見それしました。
ポルトスまた太ったんじゃないか?太ったんじゃない!むくんでるんだ。
(小声で)トレヴィルさんを。
キ〜!
(アトス)さあそろそろ本当のこと言ってもらおうか?だれにたのまれたんだ?おにいさん。
あっひょっとして…。
なんだ?おれわかっちゃった!早く言え。
知ってるか?先月ガストンが殺された。
ガストンが?道ばたでさされて死んでいたそうだ。
犯人は?まだつかまっていない。
ガストンのたましいよ安らかにねむりたまえ。
うわさによればほかにも銃士隊の時の仲間たちがこのところ立て続けにねらわれているって話だ。
だれのしわざだ?何か関係があるんじゃないの?
(アトス)ガストンの件と何かつながりがあるのか?えっそれは…。
(アトス)おれたちをまとめてどうかしようっていうこんたんか?なんとか言ったらどうなんだ!だれにやとわれた?
(トレヴィル)そこまでだ!ダルタニアンたちの前に現れたトレヴィルは銃士隊の制服に身を包みこの間のすがたとはまるで別人のようであります。
(アトス)トレヴィル隊長!あ〜おそいですよまったく。
すまんすまん。
着がえに手間取った。
久しぶりだな三銃士の諸君!お元気そうで隊長。
また太ったな。
これはむくんでるんです。
(ケティ)ミャ〜オ。
(ミレディー)おにいさん。
(ロシュフォール)わたしのことかね?ねえ遊ばない?今は仕事中だ。
なんの仕事?人を待っている。
今日しか会えないの?そんなことないんでしょ?ねえそんなのほうっておいてわたしと遊びましょうよ。
別のえものをさがせ。
時間のムダだ。
わたしだってだれでもいいわけじゃないの。
あなたが気に入っちゃったの。
長いうで。
わたしうでの長い人大好きなの。
その手でいったい何をしてくれるのかしら?行きましょう。
そうだ!その前に何か食べようか?わたしおなかすいちゃった。
何か食べて一ぱい飲んでそれから…。
決まりね?しつこい!だったらしょうがないわね。
いいわ。
お仕事がんばってね。
アデュー!サイフを返せ。
なんの話よ?わたしのサイフを。
失礼なこと言わないで。
あっ…。
うっ!相手が悪かったな。
えいっ。
あらすてき!
(手下)伯爵。
ふん水広場に三銃士が集まりました。
おそくても12時には終わる。
宮廷のうら門へ来い。
わたしは親衛隊長ロシュフォール伯爵。
銃士隊を復活させる。
まさか!まさかではない。
うれしくはないのか?そりゃ願ってもない話ですが…。
しかしわかりません。
なぜ今さら?王妃がそれを望まれているのだ。
王妃が?王妃は枢機卿の親衛隊に対こうしてもう一度銃士隊を作ろうとお考えになられた。
王妃はかつての銃士に手紙を出し参加をよびかけたのだ。
おれには来なかったですよ。
おれの所にも来なかった。
君たちは住所不定だからだよ。
そうか。
おまえの所は来たのか?わたしは世ぞくをはなれた身だ。
手紙は読まない。
ところが王妃の計画に気づいた枢機卿は親衛隊に命じてさそいに応じた銃士たちを殺して回った。
ガストンはそれで。
ああそうだ。
やったのはロシュフォールだ。
おれ住所不定でよかったな〜。
結局もどってきた銃士は一人もいない。
みなリシュリューをおそれているのだ。
なるほど。
そういうわけですか。
そうなのだ。
おまえたちだけがたよりだ。
だったら最初っからそう言ってくれればよかったんですよ。
信じてなかったわけではないのだが念のためと思い策を用いてしまった。
まあ子どもの考えたことだ。
許してやってくれ。
ぼくのせいにしないでくださいよ。
あなたが考えたんじゃないですか。
アトスポルトスアラミス!う〜わ無視だよ。
国王と王妃のためにもう一度力を貸してはもらえないだろうか?答えは決まってます。
もちろんやらせていただきます。
なあアトス。
ウウッ…。
おまえ泣いてんのか?泣いてない!泣いてますよ!この男。
うるさい!おれが…おれがこの日が来るのをどれだけ待ち望んでいたか。
また国王陛下のもとで働けると思うと…むねが熱くなって…。
わかったわかった。
もう何も言うな。
すみません感激屋さんなもんで。
トレヴィル様われらの気持ちは一つ。
われら三銃士命に代えて国王陛下をお守りいたします。
うんうん。
おぬしらの忠誠の心まことにたのもしいぞ。
その言葉しかと受け止めた。
アラミスもなんか言えよ。
お手伝いしたいのはやまやまだがどうも一つひっかかることがある。
(ロシュフォール)相手は三銃士。
けっしてあなどるな。
行くぞ!
(親衛隊)はっ!
(足音)銃士隊の結成は王妃の考えとか?そのとおりだ。
では国王陛下の思いはどこにあるのでしょう?王妃の思いは国王の思いと考えてよい。
何が言いたい?王妃はもともとスペインからとつがれたお方だ。
宮殿の中に味方は少ない。
王妃は銃士隊を再結成させることで枢機卿に対こうしようというのではないだろうか?われらを利用するつもりでは?は〜。
どう思う?う〜ん…。
われらはあくまで国王陛下の家臣だ。
王妃と枢機卿の権力争いにまきこまれるのはすじがちがう。
なんだかむずかしくなってきたぞ。
アトスの意見は?アラミスの言うとおりかもしれん。
しかしおれは思うんだ。
王妃がおれたちを利用しようというんなら利用されてやろうじゃねえか。
おれたちに大事なのは銃士隊を復活させること。
それで国王陛下のおそばにお仕えできるのなら御の字だ。
うん。
確かにそういう考え方もあるな。
あんまり深く考えないほうがいいと思うよ。
そういうことならば…。
うん。
(トレヴィル)話すんだ?
(アトス)すみました。
われら3人喜んでお仕えいたします。
それはなにより。
実はなおぬしたちにもう一つたのみがあるんだ。
なんでもお申しつけください。
ここにおるダルタニアンなんだがこいつをおまえらに預けたいと思う。
(アトス)こいつをですか?えっ待ってください。
(トレヴィル)おまえはだまっておれ!
(アトス)ダルタニアンをわれらに?銃士の見習いとしてきたえてやってもらいたいのだ。
(アトス)それはかまいませんが…。
何者なんですか?このわか造は。
ベルトランのむすこだ。
(3人)えっ!きみはベルトランのむすこか?父をごぞんじなんですか?われらはみなよく知っている。
おれたちはあんたのおやじさんに剣術を習ったんだよ。
ベルトランはわれらの剣術師範だった。
そうなんですか?突くべし!突くべし!払うべし!
(2人)突くべし!突くべし!払うべし!
(笑い声)ベルトランも今はこの世にはいない。
まさか!?ロシュフォールに殺されたのだ。
なるほど。
そういうことですか。
(トレヴィル)ダルタニアンが一日も早く親のかたきをうてるようにおまえたちに教育してやってほしいのだ。
ベルトランから教わったことをそのむすこに伝えろ。
(アトス)りょう解いたしました。
ぼくはロシュフォールをたおすまで故郷には帰らないつもりです。
ロシュフォールは手ごわいぞ。
絶対に勝ってみせます。
どうかぼくに剣術を教えてください。
ダルタニアンよいか?これからはこの3人がおまえの師匠だ。
剣術だけでなく生きていくうえでたいせつなことのすべてをかれらから学ぶのだ。
アトスからは勇気を。
アラミスからはちえを。
そしてポルトスからは…。
ゆとりを学びなさい。
ユーモアの精神ね。
必要なんですか?意外に大事だよ。
わかったかね?ダルタニアン。
はい。
声が小さい!はい!
(アラミス)はっ!
(アトス)むっ!
(ポルトス)う〜ん?どうかされたんですか?アトス!ああ。
ざっと見て何人だ?20人。
いやもっといるかもな。
30人。
一人10人か…。
えっなんのことですか?
(アラミス)どうやらわれらは囲まれているようだ。
えっ?
(足音)気づけば周囲にはロシュフォール率いる親衛隊。
ネズミ1ぴき入れるすき間もありません。
対するこちらは3人の銃士とじいさんと子ども。
いきなりの大ピンチ!ひさびさにうでが鳴るぜ!準備運動準備運動!神のご加護を。
われらに典礼を!アトスもポルトスもアラミスもなんだか楽しそうだけどだいじょうぶか?・「勇気を出して振り返ってごらん」・「そこにはきっと君の仲間がいる」・「恥ずかしいことなんかじゃない一人で」・「生きられるほど人は強くはない」・「あの時、ずっとそばにいてくれたね」・「それが君の永遠の友達」・「あの時、最後まで待ってくれた人」・「それが君の永遠の仲間さ」
本当に見たい番組を視聴者が決める企画オーディション番組…
2014/04/25(金) 00:00〜00:20
NHKEテレ1大阪
新・三銃士「再会の夜」[字]
アレクサンドル・デュマの傑作「三銃士」を、脚本家・三谷幸喜が連続人形活劇として新たに脚色。青年・ダルタニアンが一人前の銃士として成長していく物語。その第四話。
詳細情報
番組内容
アレクサンドル・デュマの傑作「三銃士」を、脚本家・三谷幸喜が連続人形活劇として新たに脚色。青年・ダルタニアンが三銃士たちと出会い、一人前の銃士として成長していく物語。第4話。なんとか三銃士を噴水広場に誘い出したダルタニアンだが、逆に三銃士たちから誰の差し金かと追及される。そこに、元銃士隊長のトレヴィルが現れて事情を説明すると、三銃士たちは再び国王に仕えること、ダルタニアンを鍛えることを誓う。
出演者
【声】池松壮亮,江原正士,高木渉,戸田恵子,山寺宏一,田中裕二
原作・脚本
【脚色】三谷幸喜
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – その他
趣味/教育 – 幼児・小学生
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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